母が亡くなったあと、実家の固定電話や新聞、ケーブルテレビの契約がそのまま残っていました。本人が亡くなっていても、解約するまでの料金は相続人が支払う必要があるのでしょうか?
亡くなった人の「支払う義務」も、原則として相続の対象になる
民法896条では、相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定められています。現金や預貯金などのプラスの財産だけでなく、死亡時点ですでに発生していた未払い料金などの債務も、原則として相続の対象です。
たとえば母が亡くなる前の月の固定電話料金やケーブルテレビ料金が未払いであれば、その支払い義務は、相続をした人が引き継ぐ可能性があります。相続人が複数いる場合には、誰が実際に支払うかを相続人同士で整理する必要があります。
死亡後の料金は「契約がいつ終わったか」で考える
一方、死亡後に発生した料金は、「本人が亡くなった」という事実だけで一律に決まるわけではありません。重要なのは、それぞれの契約が死亡によって終了する契約なのか、解約手続きをするまで続く契約なのかという点です。
固定電話、新聞、ケーブルテレビなどは、事業者や契約内容によって死亡時の取り扱いが異なります。
たとえば、死亡後も契約が有効に続き、サービスが利用できる状態のままであった場合、解約までの料金を請求されることはあり得ます。反対に、規約上、契約者の死亡で契約が終了するものや、死亡日にさかのぼって精算できるものも考えられます。
そのため、「亡くなった日以降は絶対に払わなくてよい」「解約日まで必ず全額払う」と決めつけるのは避けた方がよいでしょう。
まずは死亡日を伝え、解約日と請求対象期間を確認する
請求書が届いたら、すぐに支払う前に、事業者へ契約者が亡くなったことを伝えましょう。
そのうえで、契約終了日はいつになるのか、死亡後の利用料金はどこまで発生するのか、必要書類は何かを確認します。戸籍関係書類や死亡の事実が分かる書類、契約者番号などを求められる場合があります。
特に注意したいのは、口座振替やクレジットカード払いです。口座が凍結されたりカードが止まったりすると、料金が未払いのまま積み上がることがあります。
実家を整理するときは、通帳や郵便物だけでなく、毎月引き落とされていたサービスを一覧にして確認すると見落としを減らせます。
相続放棄を考えている場合は、安易な対応に注意
亡くなった人に多額の借金があり、相続放棄を検討している場合には、個別の料金をどのように扱うかも慎重に判断した方がよいでしょう。
相続放棄は家庭裁判所で行う手続きで、相続財産の扱い方によっては別の問題が生じる可能性もあります。判断に迷う場合は、家庭裁判所や弁護士など専門家へ相談するのが安全です。
「使っていなかった」だけでは料金がゼロになるとは限らない
母が亡くなったあと誰も実家に住んでおらず、固定電話もテレビも使っていなかったとしても、それだけで基本料金などが自動的にゼロになるとは限りません。多くの継続サービスでは、実際の使用量だけでなく契約が続いていること自体に料金が設定されているからです。
そのため、死亡後の実家を片づける際は、電気・ガス・水道だけでなく、固定電話、インターネット、新聞、ケーブルテレビ、動画配信、見守りサービスなども確認しておくとよいでしょう。少額の月額料金でも、数カ月放置すれば負担は大きくなります。
まとめ
母が亡くなった時点ですでに発生していた未払い料金は、原則として相続の対象となる債務です。一方、死亡後に発生する固定電話や新聞、ケーブルテレビなどの料金は、契約が死亡によって終了するのか、解約まで継続するのかによって扱いが変わります。
「本人が亡くなったから払わなくてよい」と自己判断するのではなく、各事業者に死亡日を伝え、契約終了日と請求対象期間を確認しましょう。実家の整理では、毎月支払いが続いている契約を早めに洗い出すことが、不要な料金の発生を防ぐポイントです。
出典
e-Gov法令検索 民法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー