なぜ「金利が上がると銀行株に有利」といわれる?


銀行の主なビジネスの1つは、預金などで調達したお金を企業や個人に貸し出し、その金利差から利益を得ることです。金利が上昇すると、貸出金利や保有する有価証券の運用利回りが上がり、銀行の収益改善につながることがあります。

 

ただし、預金金利など銀行側の調達コストも上昇するため、「金利が上がれば必ず銀行の利益が増える」という単純な関係ではありません。

 


MUFGの株価は数年間で大きく上昇


MUFGの株価はここ数年、上昇傾向にあります。2023年の終値は1211.5円、2024年は1846円、2025年は2493円でした。そして、2026年9月30日の終値は3700円となっています。

 

こうした株価上昇を見れば、「金利上昇局面だから、これからも銀行株は上がる」と考えたくなるかもしれません。しかし、過去数年間上昇したことと、今後も上昇することは別問題です。

 


MUFGには配当金もある


MUFGの株主には、2027年3月期の予想として、1株あたり96円の配当金が支払われ、配当利回りは2.68%となっています(9月30日時点)。仮に500万円を投資し、この利回りで配当を受け取れるとすると、受け取れる配当金の金額は次のとおりです。

 

・500万円×2.68%=13万4000円

 

保有しているだけで年間10万円を超える配当が期待できる点は魅力に感じるでしょう。

 


配当13万円でも株価が下がれば簡単にマイナスに


注意したいのは、配当金と株価の損益は別だということです。例えば、500万円投資した後に株価が20%下落したとします。この場合の株式の評価額は400万円となり、100万円の含み損です。

 

年間13万4000円の配当金を受け取ったとしても、単純計算では約86万6000円のマイナスが残ります。MUFGほど時価総額が大きな企業であっても、株価が大幅に下落しない保証はありません。「配当があるから株価下落は気にしなくてよい」と考えるのは注意が必要です。

 


「年間96円の配当」も将来ずっと保証されるわけではない


また、配当金は、預金の利息のようにあらかじめ保証されているものではありません。業績や経営環境、会社の配当方針などによって、将来増配される可能性もあれば、減配される可能性もあります。

 

銀行の場合、金利だけでなく、景気悪化による貸し倒れの増加、国内外の金融市場の変動、保有有価証券の損益など、さまざまな要因が業績に影響します。そのため、「96円×保有株数の配当が今後もずっと続く」ことを前提に資金計画を立てるのは避けたほうがよいでしょう。

 


一括投資でなく分割投資も検討したい


500万円というまとまった資金を一度に一社へ投資すると、その企業の株価が下落したときに資産全体が大きな影響を受けます。

 

対策として、500万円を何回かに分けて購入すれば、購入時期の分散が可能です。また、銀行株だけでなく、異なる業種の株式や投資信託などに資金を分ければ、特定企業や業界への集中を抑えられます。

 

もちろん、分散すれば損をしないというわけではありません。しかし、「金利上昇だから銀行株」と1つのテーマだけに500万円を集中させるより、特定の予想が外れた場合の影響を小さくしやすくなるでしょう。

 


まとめ


金利上昇は、貸出金利や運用利回りの上昇を通じて銀行の収益にプラスとなる場合があります。また、予想配当利回り2.68%で500万円を投資した場合、単純計算では年間約13万4000円の配当です。

 

ただし、株価が20%下落すれば100万円の含み損となり、1年分の配当では補えません。配当金自体も将来にわたって保証されているものではありません。

 

「大企業だから」「金利上昇局面だから」「配当があるから」といった理由だけで判断せず、株価下落や減配の可能性も考え、購入時期や投資先を分散することも検討するとよいでしょう。

 


出典


株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ 配当情報

 

執筆者 : 三浦大幸

2級ファイナンシャルプランニング技能士/ITパスポート/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など


情報提供元: ファイナンシャルフィールド
記事名:「 【三菱UFJ銀行】「金利上昇=銀行株が安心」と“500万円分”購入した友人…「配当で年13万円あるから暴落しても大丈夫」と言いますが、ずっと安泰ですか? 時価総額上位でも“一括投資は危険”な理由 」