網膜画像診断装置市場、2035年に86億6,000万米ドルへ拡大予測|SNS Insider調査
Dream News 2026年10月26日 10:30:00
市場調査会社SNS Insiderは、網膜画像診断装置市場(Retinal Imaging Devices Market)に関する調査結果を発表しました。同社の推計によると、世界市場規模は2025年の42億米ドルから2035年には86億6,000万米ドルに拡大し、2026年から2035年の年平均成長率(CAGR)は7.50%となる見通しです。糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、緑内障などの眼疾患への対応が重要になるなか、網膜の状態を詳細に評価できる画像診断機器への需要が高まっています。
網膜画像診断装置は、眼底の画像や網膜組織の断層像などを取得し、眼科医による疾患の発見、病状の評価、治療後の経過観察を支援する医療機器です。眼底カメラ、光干渉断層計(OCT)、OCTアンギオグラフィー(OCTA)など、異なる特徴を持つ画像技術が利用されています。高齢化に伴う眼科診療の需要増加や、糖尿病患者に対する定期的な眼底検査の重要性が、関連機器の導入を検討する背景となっています。
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網膜疾患の早期発見と継続的な診療を支える画像診断技術
糖尿病網膜症や加齢黄斑変性などの疾患では、網膜や眼底の状態を確認し、症状の進行に応じて適切な診療につなげることが重要です。画像診断装置は、眼科専門施設だけでなく、糖尿病診療と連携した検査体制においても活用されています。
従来の眼底写真では網膜表面の状態を観察できますが、OCTでは網膜の断層構造を把握できるため、疾患の評価に異なる情報を提供します。さらに、OCTAは造影剤を使用せずに網膜や脈絡膜の血流に関する情報を得られる技術として利用されています。ただし、検査ごとに得られる情報や適応が異なるため、医療機関では患者の状態に応じた適切な撮影方法を選択する必要があります。
近年は、眼底写真、OCT、OCTAなどを組み合わせた診断システムへの関心も高まっています。複数の画像情報を連携させることで、医療従事者が疾患の状態を評価する際に必要な情報へアクセスしやすくなる可能性があります。
OCT装置が2025年に38.60%の市場シェアを獲得
SNS Insiderの分析によると、2025年の装置タイプ別市場では光干渉断層計(OCT)システムが約38.60%の売上シェアを占め、最大の分野となりました。OCTは網膜の各層を断層画像として評価でき、糖尿病黄斑浮腫、加齢黄斑変性、緑内障などの診断や経過観察に利用されています。
一方、OCTアンギオグラフィー(OCTA)システムは、2026年から2035年にかけて年平均9.85%の成長が予測され、装置タイプ別で最も高い成長率が見込まれています。OCTAは網膜血管の状態を非侵襲的に評価する手段の一つであり、血管性病変に関する情報の取得に役立ちます。
こうした技術の進歩により、眼科医療機関では従来の撮影装置の更新に加え、撮影機能の拡充や画像データを統合して管理する仕組みの導入が検討されています。
糖尿病網膜症が最大の用途分野、加齢黄斑変性は高成長を予測
用途別では、糖尿病網膜症が2025年に約41.20%の市場シェアを占め、最大の分野となりました。糖尿病網膜症は視力障害につながる可能性があるため、糖尿病患者の眼底状態を定期的に評価することが重要です。眼底カメラやOCTなどの画像診断技術は、必要な検査や専門医への紹介を判断するための情報を提供します。
一方、加齢黄斑変性の用途分野は、2026年から2035年にかけて年平均9.30%の成長が見込まれています。高齢者人口の増加に加え、疾患の状態を継続的に確認するための画像診断技術への関心が市場を支える要因となっています。
エンドユーザー別では、病院が2025年に約47.80%の市場シェアを占めました。一方、外来手術センターは年平均9.60%で成長すると予測されています。
接続方式別では、スタンドアロン型システムが2025年に約61.30%のシェアを占め、クラウド接続型システムは年平均11.40%で成長すると見込まれています。画像データの共有や遠隔での評価を支援する仕組みは、診療施設間の連携を検討するうえで重要な技術領域です。
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米国の網膜画像診断装置市場、2035年に26億8,000万米ドルへ
SNS Insiderによると、米国の網膜画像診断装置市場は2025年の14億1,000万米ドルから2035年には26億8,000万米ドルに達し、2026年から2035年にかけて年平均6.60%で成長すると予測されています。
米国では、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性に対応する眼科専門医療機関が広く存在しており、眼底撮影やOCTを用いた診断への需要が継続しています。また、一般診療や地域医療の現場で網膜画像を取得し、専門医による評価や適切に承認されたAI解析につなげる取り組みも市場の注目分野です。
2024年5月には、Notal Visionの在宅用OCTシステム「SCANLY Home OCT」が米国食品医薬品局(FDA)からDe Novo承認を取得しました。この技術は、滲出型加齢黄斑変性の患者が自宅で網膜画像を取得し、医療従事者の管理のもとで病状を継続的に確認するための選択肢を広げるものです。
今後は、診断機器の性能だけでなく、在宅での検査結果を診療現場へ適切に共有する仕組みや、患者の状態に応じた画像評価の方法が重要になると考えられます。
北米市場は2025年に世界最大の39.80%の売上シェアを占有
北米は2025年の世界市場において約39.80%の売上シェアを占め、最大の地域市場となりました。米国は北米市場の約84.60%を占めており、網膜専門医療施設の集積や眼科診断技術の普及が需要を支えています。
同地域では、糖尿病網膜症の検査体制の充実に加え、複数の画像診断技術を組み合わせた医療機器の活用が進んでいます。カナダでも、糖尿病に関連する眼疾患の検査や眼科診療機器の更新が、関連装置の需要を検討するうえで重要な要素となっています。
北米では今後、既存装置の更新やソフトウェア機能の追加に加え、診療情報システムとの連携、画像データの共有、適切なAI解析の活用などが市場の技術的な焦点になると考えられます。
欧州市場ではドイツが23.90%を占め、眼科検診の高度化が進展
欧州は世界第2位の地域市場であり、ドイツ、英国、フランスなどが主要な需要国となっています。SNS Insiderの分析によると、2025年にはドイツが欧州市場の約23.90%を占めました。
ドイツでは、眼科専門医療施設や高度な診断機器の利用環境が、OCTやその他の網膜画像診断装置の需要を支えています。英国では、糖尿病眼科検診プログラムを通じて、糖尿病患者の視力障害を予防するための眼底画像検査が重要な役割を担っています。
欧州市場では、医療機器規制への適合、画像データの適切な管理、医療施設のシステムとの連携も機器選定の判断材料です。病院や眼科診療施設では、測定性能だけでなく、検査効率や長期的な運用コストを考慮した設備投資が求められています。
アジア太平洋市場は年平均9.75%の成長予測、日本でも網膜画像診断の高度化に注目
アジア太平洋地域は、2026年から2035年にかけて年平均9.75%で成長すると予測され、世界で最も高い成長率が見込まれています。2025年には中国が地域市場の約33.40%を占め、医療機関の整備や網膜画像診断装置の供給体制の発展が市場を支えています。
インドや東南アジアでは、糖尿病網膜症の検査体制の拡充や地域医療施設への診断技術の導入が重要なテーマとなっています。眼科専門医が十分に配置されていない地域では、持ち運び可能な眼底カメラや遠隔画像評価技術などが、検査へのアクセス改善に役立つ可能性があります。
日本では、眼科診療施設でOCTや眼底撮影装置が広く利用されており、既存設備の更新、高解像度撮影技術の活用、画像データの管理効率化が重要な検討領域となっています。高齢化に伴い、加齢黄斑変性や緑内障などの疾患を継続的に評価する診療体制の維持も重要です。
日本の医療機器メーカーや関連技術企業にとっては、画像診断装置の高度化に加え、AIを活用した画像解析、眼科診療システムとの連携、アジア太平洋地域における検査機器の需要拡大などが事業機会となる可能性があります。
なお、9.75%という成長率はアジア太平洋地域全体の予測値であり、日本単独の成長率を示すものではありません。
AI画像解析とクラウド接続技術が網膜検査の新たな可能性を広げる
網膜画像診断装置の技術開発では、撮影画像の高精細化に加え、人工知能(AI)による画像解析やクラウドを利用したデータ共有への関心が高まっています。こうした技術は、適切な条件下で眼疾患のスクリーニングや診療情報の整理を支援する可能性があります。
特に、糖尿病網膜症の検査では、承認された用途の範囲内でAIを利用して眼底画像を評価するシステムが活用されています。ただし、AIの性能や対象となる疾患、必要な医療従事者の関与は製品によって異なるため、個別の規制上の位置付けや臨床的な妥当性を確認する必要があります。
また、クラウド接続型の診断システムでは、画像データを複数の医療施設で共有したり、専門医による遠隔評価につなげたりすることが可能です。一方、患者情報の保護や通信環境、既存の電子カルテとの互換性なども導入時の課題となります。
高機能装置の費用と診療環境への適合が導入課題に
高性能なOCTやOCTA装置は詳細な診断情報を提供する一方、導入費用や保守、ソフトウェア更新に伴うコストが発生します。小規模な眼科診療施設では、診療件数や必要な検査機能を考慮し、装置の導入によって得られる利点と総保有コストを比較することが重要です。
また、遠隔画像評価やAI解析を利用する場合には、診断支援技術としての適切な運用、画像品質の管理、患者データの安全な取り扱いが求められます。装置メーカーにとっては、撮影性能の向上だけでなく、医療現場での使いやすさと継続的な技術支援を提供することが重要になります。
主要企業の技術開発と競争環境
世界の網膜画像診断装置市場には、Carl Zeiss Meditec、Topcon Healthcare、NIDEK、Heidelberg Engineering、Canon、Optos、Revenio Group、Visionix、Optomed、Kowa、Santecなどの企業が関わっています。各社は眼底カメラ、OCT、OCTA、広角眼底撮影装置など、異なる製品分野で技術開発を進めています。
2026年4月には、Revenio GroupがVisionixの買収に合意したと発表しました。この取引は、OCT関連技術を含む眼科診断製品のポートフォリオを拡充する取り組みの一つとして位置付けられます。
今後は、複数の画像診断機能を統合した製品の開発や、撮影した画像を診療現場で効率的に活用するためのデジタルシステムが競争上の重要な領域になると考えられます。
調査レポートについて
SNS Insiderの「Retinal Imaging Devices Market」レポートでは、2025年を基準年として2035年までの市場規模と成長見通しを分析しています。装置タイプ別では眼底カメラ、OCT、OCTA、蛍光眼底造影装置、走査レーザー検眼鏡、広角・超広角眼底撮影システムなどを対象としています。
用途別では、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、緑内障、網膜剥離などの診断関連市場を分析しています。また、病院、眼科診療所、外来手術センターなどのエンドユーザー別需要に加え、スタンドアロン型、ネットワーク接続型、クラウド接続型の市場動向も取り上げています。
地域別では北米、欧州、日本を含むアジア太平洋、中東・アフリカ、中南米を対象に、市場の成長要因、競争環境、技術動向、今後の事業機会について分析しています。
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情報提供元: Dream News