SiCパワー半導体市場、2035年に332.9億米ドルへ、EVと200mmウェハが成長を牽引
Dream News 2026年10月06日 11:00:00
SiCパワー半導体は、高い絶縁破壊電圧、低いスイッチング損失、優れた熱伝導性を備え、従来のシリコン系デバイスでは対応が難しかった高効率・高電圧アプリケーションを支えています。特に、800V電気自動車(EV)アーキテクチャへの移行、200mmウェハ製造能力の拡大、350kWを超える高出力急速充電設備の普及、再生可能エネルギー用インバーターへの採用拡大が市場の成長を後押ししています。
さらに、自動車メーカー、ウェハメーカー、半導体デバイス企業による垂直統合も進んでいます。米国CHIPS法や欧州のIPCEIなどの産業政策も、国内製造能力の拡大やサプライチェーンの強化を支援しています。高温環境に対応する焼結パッケージや新しいモジュール設計も進展しており、SiC技術の適用範囲は自動車から充電インフラ、産業機器、データセンターへ広がっています。
2026年5月には、Infineon TechnologiesがHybridPACK Driveファミリーに1300V SiCモジュールを追加しました。同製品はEVインバーター向けに設計され、最大205℃の動作温度に対応することで、高温環境におけるSiCモジュールの性能向上を目指しています。
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SiCパワー半導体市場の主要トレンド
800V EVプラットフォームへの移行が、自動車向けSiCデバイスの調達構造を変化させています。高電圧化によって充電時間の短縮と電力変換効率の向上が期待できるため、SiC MOSFETの採用が拡大しています。
同時に、150mmから200mmウェハへの生産移行が進み、1枚のウェハから取得できるチップ数の増加による製造コスト低減が期待されています。350kWを超える急速充電器では、電力変換装置の小型化や冷却負荷の低減が重要となるため、SiCの採用が拡大しています。
データセンターでも新たな需要が形成されています。高電圧DC配電や高効率電源シェルフへの関心が高まり、電力損失と熱負荷を抑えられるSiCデバイスが注目されています。
米国SiCパワー半導体市場の見通し
米国SiCパワー半導体市場は、2025年に約6.4億米ドルとなり、2035年には約79.6億米ドルに達すると予測されています。2026年から2035年までのCAGRは約28.6%となる見込みです。
米国ではCHIPS法による支援、国内ウェハ製造能力の拡大、EV工場の生産設備更新が市場を押し上げています。特に中西部では自動車産業の電動化に伴い、SiCインバーターやパワーモジュールへの需要が拡大しています。さらに、データセンター事業者による800V DC電力配電方式への関心も新たな需要源となっています。
2026年7月には、米国商務省CHIPS Program OfficeがBoschに対して2億2,500万米ドルの直接資金支援契約を締結しました。この支援は、カリフォルニア州ローズビルにおける総額20億米ドル規模のSiC投資を支援するもので、同月にはサンプル生産も開始されました。
SiCパワー半導体市場のセグメンテーション分析
ウェハサイズ別では、6インチが2025年に約71.0%を占め、市場をリードしました。 6インチウェハは、結晶成長や製造プロセスが成熟しており、既存設備との互換性や歩留まりの予測性にも優れています。そのため、現在の量産プログラムでは依然として主要な基板サイズとなっています。
一方、8インチウェハは今後最も高い成長が期待されています。200mmウェハでは1枚当たりのチップ取得数が増えるため、製造設備の償却負担を抑えやすく、大量生産時のコスト効率を高められます。大手SiC企業による200mm対応工場への投資拡大や、ウェハ研磨、結晶成長技術の改善も、この移行を支えています。
エンドユーザー産業別では、自動車分野が2025年に約60.0%で最大の構成比を占めました。 EVメーカーが800V駆動システムを採用する中、SiCはインバーターの電力損失を抑え、航続距離の向上、充電時間の短縮、冷却システムの小型化に貢献しています。乗用車だけでなく、商用EVや電動バスへの採用拡大も市場需要を支えています。
急速充電インフラは最も速い成長が予想され、CAGRは約27.0%となる見込みです。400kWから500kW級の充電設備では高効率な電力変換が重要となり、SiCの低損失特性が設備の小型化や冷却負荷低減に寄与します。充電事業者と半導体メーカーによる共同開発も市場拡大を促進しています。
デバイス種類別では、ディスクリートMOSFET/JFETが2025年に約42.5%で最大の市場構成比を占めました。 設計自由度が高く、幅広い電力変換システムに組み込みやすいことが採用を支えています。トレンチゲート構造やJFETカスコード構成の改良も、性能向上に寄与しています。
一方、パワーモジュールは最も速い成長が見込まれています。モジュール化によって熱経路を最適化でき、システム設計や認証プロセスを簡素化できるためです。自動車用トラクションインバーター、再生可能エネルギー用インバーター、産業用電源などで需要が拡大しています。
地域別分析
アジア太平洋地域は2025年に54.5%の市場シェアを占め、世界市場をリードしました。 中国のEV生産規模、日本のSiC結晶成長技術、韓国のパワーモジュール製造基盤が地域市場を支えています。中国では国内SiC基板の生産能力が拡大しており、サプライチェーンの垂直統合も進展しています。中国はアジア太平洋地域の収益の約38.0%を占め、EV生産と国内半導体製造能力の拡大が需要を支えています。
北米は最も高い成長ペースが期待され、2035年までのCAGRは約28.6%となる見込みです。 CHIPS法による製造支援、国内ウェハ生産能力の拡大、EV関連工場の設備更新が成長要因となっています。米国は北米市場の約88.0%を占め、SiCデバイスメーカーによる設備投資やデータセンター向け高電圧電源の採用拡大が市場を支えています。
欧州では、自動車のCO2排出規制と再生可能エネルギー設備への投資がSiC需要を押し上げています。 ドイツは欧州市場の約34.0%を占め、自動車製造とパワーエレクトロニクスの産業基盤が市場を支えています。フランスやイタリアでも再生可能エネルギー向け電力変換装置やワイドバンドギャップ半導体への投資が進んでいます。
中東・アフリカとラテンアメリカでは、再生可能エネルギー設備とエネルギー効率化への投資が市場形成を支えています。 UAEは中東・アフリカ市場の約32.0%を占め、持続可能なインフラへの投資が需要を後押ししています。ラテンアメリカではブラジルが約35.0%を占め、再生可能エネルギー設備の拡大や自動車部品製造が需要に寄与しています。
市場の成長要因と課題
EVの電動化はSiCパワー半導体市場における最大の需要創出要因の一つです。800VシステムではSiC MOSFETが従来のシリコンIGBTと比較して電力損失を抑えやすく、航続距離や充電性能の向上につながります。また、200mmウェハへの移行によって量産効率の向上と単位コスト低減が期待されています。
一方、SiC結晶における欠陥密度やウェハ歩留まりは依然として課題です。基板品質のばらつきは製造コストに影響し、価格重視の用途ではシリコン系デバイスとの競争を難しくする可能性があります。さらに、SiCチップとパッケージ材料の熱膨張係数の違いによる熱疲労も、長期信頼性を左右する重要な技術課題となっています。
今後は200mmウェハ量産化、データセンター向け高電圧DC電源、急速充電設備、高耐圧・高温デバイスが主要な成長機会となります。特に自動車向けで蓄積された信頼性評価やパッケージ技術を他の高電力用途へ展開できる企業には、新たな事業機会が生まれると考えられます。
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競争環境
SiCパワー半導体市場では、Infineon Technologies、STMicroelectronics、Wolfspeed、onsemi、ROHM、Semikron Danfoss、Mitsubishi Electric、Fuji Electric、Toshiba Electronic Devices &Storage、Microchip Technology、Qorvo SiC、GeneSiC Semiconductor、Littelfuse、Navitas Semiconductor、Power Integrations、Hitachi Energy、Global Power Technologies Group、StarPower Semiconductor、BYD Semiconductor、CRRC Times Electricなどが主要企業として事業を展開しています。
競争の中心は、SiC基板の品質、200mmウェハ製造能力、デバイスの電力密度、パッケージ信頼性、量産歩留まり、長期供給能力へ移っています。大手メーカーはウェハからデバイス、モジュールまでの垂直統合を進める一方、自動車メーカーとの長期供給契約や共同開発にも注力しています。
2026年にはInfineon Technologiesがメガワット級充電システム向け電力変換器へのSiC技術供給を開始し、2025年にはオーストリアのフィラッハ工場で200mmウェハ技術を基盤とするSiC製品を展開しました。2024年にはSTMicroelectronicsが次世代EVトラクションインバーター向けSiC技術を発表し、onsemiも韓国・富川のSiC施設を拡張しました。
これらの動きは、SiCパワー半導体市場の競争軸が単純なデバイス性能だけでなく、製造規模、サプライチェーンの安定性、パッケージ技術、顧客認証、長期供給体制を含む総合的な製造・技術基盤へ移行していることを示しています。今後、EV、急速充電、再生可能エネルギー、データセンターの各分野でSiC採用が進むにつれ、200mm生産能力と高信頼性モジュールを確保した企業の競争力がさらに重要になるとみられます。
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情報提供元: Dream News