レポートオーシャン株式会社プレスリリース : 抗体薬物複合体市場、2035年453.9億米ドル規模へ|CAGR 12.30%、高精度な薬物送達技術と新規ADCパイプライン拡大ががん治療市場を牽引
Dream News 2026年09月30日 11:00:00
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次世代ADCは「どのがんを狙うか」から「どのように薬剤を届け、どこまで治療指数を高めるか」へ競争軸を変える
抗体薬物複合体市場の今後を左右する最大のテーマの一つが、次世代ADCの設計技術です。従来のADCでは、オフターゲット毒性、リンカーの安定性、ペイロード送達量、腫瘍内への十分な薬剤到達、耐性などが開発上の課題となってきました。そのため現在は、切断型・非切断型リンカー、部位特異的結合、高DAR設計、トポイソメラーゼ阻害剤やオーリスタチンなどの高活性ペイロード、デュアルペイロード、新規腫瘍抗原を組み合わせる研究が進んでいます。特にTROP2、Nectin-4、B7-H3、ROR1、MUC1など、新たな標的を取り込むことで、乳がんや血液がんを中心とした従来のADC市場から、肺がん、尿路上皮がん、卵巣がん、胃がん、その他の固形がんへ適用範囲が広がっています。企業にとっては、単一製品の販売拡大だけでなく、抗体・リンカー・ペイロード・標的抗原を組み合わせた技術基盤そのものが競争力を左右する局面に入っています。
2025年のDATROWAY承認はADCの適応症拡大を象徴、TROP2標的療法が肺がん領域にも進出
抗体薬物複合体市場商業化を考えるうえで、2025年に相次いだDATROWAY(datopotamab deruxtecan-dlnk)の米国承認は重要な動きです。米国FDAは2025年1月、第一三共のDATROWAYを、既治療の切除不能または転移性HR陽性・HER2陰性乳がんに対して承認しました。さらに同年6月には、EGFR標的療法およびプラチナ製剤ベースの化学療法を受けた局所進行または転移性EGFR変異陽性非小細胞肺がんに対して迅速承認を付与しています。 これは、TROP2を標的とするADCの臨床的・商業的な適用範囲が乳がん領域を越えて広がっていることを示す動きです。今後は、特定の抗原を発現する患者をバイオマーカー検査で選択し、治療ラインや併用療法まで含めて最適化する精密腫瘍学との統合が、市場アクセスと製品価値を左右する重要な要素になると考えられます。
二重特異性ADCが次の成長テーマへ、NEOK Bioの臨床開発は「二つの標的」で従来型ADCとの差別化を狙う
抗体薬物複合体市場では、単一抗原を認識する従来型ADCだけでなく、二つの腫瘍関連タンパク質を同時に狙う二重特異性ADCも注目を集めています。NEOK Bioは2025年11月に7,500万米ドルのシリーズA資金調達を発表し、ROR1とB7-H3を標的とするNEOK001、EGFRとMUC1を標的とするNEOK002の2つの二重特異性ADCを開発しています。同社は2026年1月にNEOK001についてFDAのIND承認を取得し、同年3月にはNEOK002についてもINDクリアランスを発表、さらに2026年5月には両リードプログラムの第1相臨床試験開始を発表しました。 二重標的化によって腫瘍選択性や細胞内取り込み、薬剤耐性への対応を高めるという開発思想は、ADCの次世代化を象徴するアプローチの一つです。ただし、これらは依然として臨床開発段階にあるため、実際の安全性、有効性、治療指数、製造性、商業的優位性については今後の臨床データによる検証が必要です。
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主要企業のリスト:
● Zai Lab Ltd.
● WuXi XDC
● Takeda Pharmaceutical Co. Ltd
● Synaffix BV
● RemeGen Co., Ltd
● Pfizer Inc. (Seagen Inc.)
● Mersana Therapeutics Inc.
● MacroGenics Inc.
● Lonza Group AG
● ImmunoGen Inc.
● GSK plc
● Gilead Sciences Inc.
● Genmab A/S
● F. Hoffmann-La Roche Ltd
● Daiichi Sankyo Co. Ltd
● Catalent Inc.
● Bristol-Myers Squibb Co.
● BioNTech SE
● BeiGene Ltd.
● AstraZeneca plc
● Astellas Pharma Inc.
● Amgen Inc.
● ADC Therapeutics SA
● AbbVie Inc.
● その他の主要なプレイヤー
ADCと標的タンパク質分解を融合するDACへ、2026年のRoche・C4 Therapeutics提携が示す新たな技術競争
2026年には、ADCと標的タンパク質分解(TPD)を組み合わせる「Degrader-Antibody Conjugate(DAC)」という新しいモダリティにも注目が集まりました。C4 TherapeuticsとRocheは2026年4月、DACの発見・開発を目的とする新たな提携を発表し、2つの腫瘍学標的を対象としたプログラムに加え、3つ目の標的に対するオプションを設定しました。C4 Therapeuticsは分解剤ペイロードの開発を担い、Rocheは抗体の選択・設計および抗体への結合を担当する計画で、C4 Therapeuticsは2,000万米ドルの契約一時金に加え、開発・承認・販売マイルストーンとして10億米ドル超を受け取る可能性があります。 この動きは、ADCの競争が「抗体+細胞毒性ペイロード」という従来の構造だけにとどまらず、標的タンパク質分解など別の創薬技術との融合へ向かっていることを示しています。市場参入を検討する企業にとっては、単一製品の開発能力だけでなく、異なる創薬プラットフォームを組み合わせる技術力と外部提携力が重要な評価軸となります。
高い研究開発費と臨床リスクは成長市場の裏側、Mersanaの事業再編が示すADC開発の資本効率問題
一方で、抗体薬物複合体市場の高成長見通しだけを捉えることはできません。ADCは抗体、リンカー、ペイロード、DAR、安定性、毒性、製造プロセスなど複数の技術要素を同時に最適化する必要があり、一般的な低分子医薬品とは異なる開発・製造上の複雑性を抱えています。臨床試験で安全性や有効性を十分に示せなかった場合、これまでの研究開発投資が大きな損失につながる可能性もあります。実際、Mersana Therapeuticsは2025年5月、B7-H4を標的とするADC「Emi-Le(XMT-1660)」に資源を集中するため、約55%の人員削減、研究活動の縮小、社内パイプライン開発の停止を含む戦略的再編を発表しました。 この事例は、ADCが高い市場成長性を持つ一方、バイオテクノロジー企業にとっては資本効率と開発優先順位の管理が極めて重要であることを示しています。今後の競争では、パイプラインの数を増やすだけでなく、臨床成功確率、製造スケール、提携による資金調達、適応症拡大の可能性を含めたポートフォリオ管理が市場競争力を左右するでしょう。
セグメンテーションの概要
製品別
● カドサイラ
● エンヘルツ
● アドセトリス
● パドセブ
● トロデルヴィ
● ポリヴィ
● ブレンレップ
● その他
標的抗原別
● HER2
● CD30
● TROP-2
● CD22
● ネクチン-4
● BCMA
● その他
ペイロード/技術別
● オーリスタチン系[MMAE/MMAF]
● マイタンシノイド系[DM1/DM4]
● カリケアマイシン
● トポイソメラーゼ阻害剤[DXd]
● その他
リンカータイプ別
● 切断可能
● 非切断可能
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適応症別
● 乳がん
● 血液がん
● 肺がん
● 膀胱がん/尿路上皮がん
● 卵巣がん
● その他
エンドユーザー別
● 病院
● 専門医療施設とがんセンター
● その他
2025年は商業化、2026年は次世代技術、2030年代は適応症と治療ライン拡大が市場の焦点に
抗体薬物複合体市場の成長シナリオを時間軸で見ると、2025年は既存ADCの承認・適応拡大が進む商業化フェーズ、2026年は二重特異性ADCやDACなど次世代技術の臨床開発が加速する転換期として位置付けられます。2026年にはNEOK Bioが2つの二重特異性ADCを臨床段階へ進め、C4 TherapeuticsとRocheがDAC領域で提携するなど、ADCの設計思想そのものを広げる動きが確認されています。 2030年代に向けては、乳がんや血液がんなど既存の主要適応症に加えて、肺がん、尿路上皮がん、消化器がん、婦人科がんなどへの展開が市場規模を左右する可能性があります。同時に、バイオマーカー、コンパニオン診断、治療ライン、併用療法、償還制度までを一体的に捉える必要性が高まります。したがって、2035年に453.9億米ドル規模が見込まれる市場では、単純なADC製品数の増加ではなく、「より正確に標的化し、より高い治療指数を実現し、より広い患者集団へ届けられるか」が企業価値を決める重要なテーマとなります。
抗体薬物複合体市場:日本で次に成長余地が大きいのはどこか?抗体薬物複合体市場の未開拓領域と2035年までの事業機会
● 抗体薬物複合体市場で最大の未開拓機会は「新しい標的」と「新しい治療領域」の組み合わせにある――既存HER2・TROP2中心から次世代ADCへ競争軸が移る中、経営層が注目すべき領域とは
日本の抗体薬物複合体(ADC)市場では、既存の主要標的やがん種における適応拡大だけでなく、まだ臨床・事業化の余地が大きい新規標的の開拓が中長期的な競争力を左右する可能性があります。2026年には日本でADCの新たな適応承認が進む一方、AMEDの創薬支援テーマでも腫瘍間質線維芽細胞やIL-7R、GPCRなどを標的とした新規ADC研究が確認されており、研究開発の対象が従来型の標的から次世代ターゲットへ広がっていることが示されています。 特に、腫瘍微小環境、希少がん、血液がん、治療抵抗性腫瘍など、患者層が限定される一方で高いアンメットニーズを抱える領域では、標的抗原の選択、抗体の特異性、ペイロード、リンカー設計を組み合わせることで差別化された開発戦略を構築できる余地があります。経営レベルでは、単に「ADCを保有しているか」ではなく、どの標的・どの患者集団・どの治療ラインを狙うのか、さらに既存治療との併用やバイオマーカーによる患者選択まで含めて評価することが、日本市場における次の成長機会を見極める重要な視点になります。
● ADCの価値は創薬候補そのものから「製造・CMC・コンジュゲーション基盤」へ広がる――日本企業に残されたサプライチェーン型の成長余地をどう捉えるか
抗体薬物複合体市場の拡大に伴い、競争領域は新薬候補の研究開発だけではなく、抗体、リンカー、ペイロード、結合技術、分析、品質管理、無菌製造など複数の工程へ広がっています。AMEDも次世代抗体医薬品について、国産の創出だけでなく製造技術の強化と製造技術プラットフォームの実用化を重要なテーマとして位置付けています。 これは日本の事業会社やCDMO、原材料・分析機器・製造設備企業にとって、ADCそのものを開発しなくても市場成長を取り込める可能性があることを意味します。特にADCでは、抗体と低分子薬物を結合するコンジュゲーション工程や製品品質を安定的に管理するための分析・プロセス技術が重要になるため、再現性、スケールアップ、品質管理、製造リードタイムを改善できる技術は、今後のサプライチェーン競争において差別化要因になり得ます。したがって日本市場を評価する際には、製薬企業の売上だけを見るのではなく、ADCバリューチェーン全体で「どの工程に技術的ボトルネックが存在するのか」「国内で不足する機能は何か」「海外依存度を低減できる領域はどこか」を分析することが、未開拓市場を発見する上で重要になります。
● 「ADC+診断」の統合が日本市場の次の事業機会になる――バイオマーカー、コンパニオン診断、患者選択を含む精密医療エコシステムへの展開
ADCの成長を単独の医薬品市場として捉えるだけでは、日本における潜在的な事業機会を十分に把握できません。ADCでは標的抗原の発現状況や患者特性が治療選択に関係するため、病理診断、バイオマーカー検査、コンパニオン診断、データ解析など周辺領域との連携が市場形成を左右する可能性があります。特に、適応症が拡大するにつれて「どの患者に投与するのか」という選択精度が重要になり、製薬企業、診断企業、病院、検査会社、データプラットフォーム企業の連携余地が広がります。第一三共のADCポートフォリオでもHER2など複数の標的を対象とした開発が進み、2026年には日本で新たな適応が承認されています。 この流れを踏まえると、日本の未開拓機会はADC製品そのものだけではなく、治療前の患者識別から治療後のモニタリングまでを含む「ADC治療エコシステム」に存在すると考えられます。今後、製薬企業や診断企業が市場参入を検討する際には、医薬品単体の市場規模だけでなく、診断・検査・データ・臨床支援を含めた周辺市場との接続性を評価することが、長期的な収益機会を見極める上で重要です。
● 日本市場では「適応拡大」が新薬投入と同じくらい重要になる――既存ADCの治療ライン・がん種・患者集団を広げることで生まれる市場機会
抗体薬物複合体市場では、新規製品の上市だけでなく、既存ADCの適応症・治療ライン・患者集団をどこまで拡張できるかが市場成長を大きく左右する可能性があります。2026年には日本でEnhertuおよびDatrowayについて新たな乳がんの一次治療適応が承認され、EnhertuについてもHER2陽性固形がんなど複数の適応拡大が進められています。 これはADC市場の競争が「新製品を開発する競争」から「一つのADCプラットフォームを複数の臨床ニーズへ展開する競争」へ広がっていることを示す重要な動きです。経営戦略の観点では、対象患者数だけを基準に市場を評価するのではなく、一次・二次以降の治療ライン、併用療法、早期がん、転移性がん、バイオマーカー陽性・低発現患者などに分解し、それぞれの臨床開発難易度と市場アクセスを比較する必要があります。特に既存ADCについては、追加適応によるライフサイクルマネジメント、リアルワールドデータの活用、治療アルゴリズムへの組み込みが、2030年代に向けた事業価値を左右する重要なテーマとなります。
● 2030年代の抗体薬物複合体市場で競争優位を決めるのは「製品数」ではなくプラットフォーム力――研究・製造・診断・提携を一体化できる企業に新たな成長余地
2035年に向けて抗体薬物複合体市場が拡大する中、日本で大きな事業機会を生み出すためには、単一のADC候補を保有するだけではなく、研究開発から製造、診断、臨床開発、ライセンス、販売までをつなぐプラットフォーム型の事業基盤を構築できるかが重要になります。第一三共が複数のDXd ADCを中心とした研究開発戦略を進めていることからも、ADC競争が単一製品型から複数候補・複数適応を組み合わせるポートフォリオ型へ進展していることが確認できます。 一方、日本の未開拓領域には、大学・研究機関発の新規標的、バイオベンチャーの創薬技術、CDMOの製造能力、診断企業のバイオマーカー技術を組み合わせる余地があります。経営層にとって重要なのは、単純な市場シェア競争ではなく、「どの技術を自社で保有し、どの技術を提携で補完し、どの工程を国内で確保するのか」という資本配分の設計です。市場規模が2025年の142.3億米ドルから2035年に453.9億米ドルへ拡大し、12.30%のCAGRが見込まれるという前提に立てば、今後の日本市場では創薬、製造、診断、データ、ライセンスを横断したポジショニングが、次世代ADCの事業価値を形成する重要な論点になります。
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