世界のドローン電池市場動向、年平均成長率11.8%で拡大継続2026-2032
Dream News 2026年09月15日 13:00:00
ドローン電池とは、無人航空機(UAV)やドローンに搭載され、飛行用モーター、推進システム、制御装置、通信機器、センサー、カメラなどへ電力を供給する専用の蓄電システムを指す。一般的なドローン電池では、リチウムポリマー電池(Li-Po)やリチウムイオン電池(Li-ion)が主流となっており、用途や機体サイズに応じて、セル、バッテリーパック、BMS(バッテリーマネジメントシステム)、充電システムなどを組み合わせて構成される。
ドローン電池は、単純に電気を蓄える部品ではなく、飛行時間、航続距離、最大ペイロード、加速性能、低温環境での稼働能力、安全性などを直接左右する重要な機能部品である。特にドローンでは、限られた機体重量の中で高いエネルギー密度と出力密度を両立させる必要があるため、一般的な民生用バッテリーとは異なる設計要件が求められる。
ドローン電池市場は、飛行時間、搭載重量、低温環境での稼働、安全性に対する要求の高まりを背景に、単なる交換式の消耗品から、飛行性能そのものを左右するミッション・クリティカルなシステムへと変化している。現在の出荷を支えるのはリチウムポリマー電池とリチウムイオン電池だが、今後は固体電池やリチウム金属電池が高付加価値領域を形成すると考えられる。
ドローン電池の写真
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ドローン電池の世界市場規模
QYResearch調査チームの最新レポート「ドローン電池―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、ドローン電池の世界市場は、2025年に2038百万米ドルと推定され、2026年には2358百万米ドルに達すると予測されています。その後、2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)11.8%で推移し、2032年には4604百万米ドルに拡大すると見込まれています。
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上記の図表/データは、QYResearchの最新レポート「ドローン電池―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」から引用されている。
リチウムポリマー電池から次世代電池へ
2025年のドローン電池出荷量では、リチウムポリマー電池が1,700.71MWh、約79.4%と圧倒的なシェアを占め、売上高も14億835万米ドル、約69.1%に達した。一方、リチウムイオン電池は358.35MWh、約16.7%に対して売上高は4億4,435万米ドル、約21.8%であり、長時間飛行を重視する機体ほど単位エネルギー当たりの価値が高いことが分かる。
さらに注目すべきはリチウム金属電池である。2025年の出荷量は59.76MWh、約2.8%にすぎないが、売上高は1億4,641万米ドル、約7.2%を占める。2032年には出荷量シェアが約4.3%、売上高シェアが約11.3%まで上昇する見通しであり、数量よりも性能を重視するプレミアム市場として存在感を高める可能性が高い。
2026年に加速する固体電池・リチウム金属電池の実用化
2026年には、次世代ドローン電池が実証段階から商用化へ移行する動きが明確になっている。Factorial Energyは2026年7月、米国のドローンメーカーから初の商用航空分野向け電池セル受注を発表し、リチウム金属セルをドローン用パックへ統合する計画を明らかにした。また6月にはSion Powerがドローン飛行試験で364Wh/kgのパックレベルエネルギー密度を実証し、従来のリチウムイオン電池151Wh/kgに対して140%高い値を示した。
これらの事例が示すのは、ドローン電池の競争軸が「公称容量」から「実際に利用できるエネルギー・出力・安全性」へ移っていることである。特に産業・防衛用途では、セル性能だけでなく、BMS、熱管理、パック構造、セル選別、充放電制御を含むシステム設計が重要になる。
産業・防衛ドローンが価値成長を牽引
用途別では、2025年にコンシューマー向けドローンが出荷量の約60.4%を占める一方、売上高では約40.4%にとどまる。これに対し産業用ドローンは出荷量約32.2%に対して売上高約40.8%、軍事・特殊任務向けは出荷量約6.9%ながら売上高約18.9%を占める。つまり、今後のドローン電池市場では数量規模よりも、認証、耐環境性、長時間飛行、ミッション適合性を備えた高単価製品が価値の中心になる。
2026年5月にはFactorialが米国、欧州、アジア太平洋のドローン関連企業との統合協力を拡大し、固体電池・リチウム金属電池を商業、産業、防衛分野へ展開する動きを示した。 このような動きからも、次世代ドローン電池では「セルメーカー単独」ではなく、セル、パック、BMS、機体メーカーを結ぶ統合開発体制が競争力を左右すると考えられる。
中国の供給優位と地域需要の再編
2025年のドローン電池出荷量は北米が857.79MWh、約40.0%、アジア太平洋が650.01MWh、約30.3%、欧州が515.11MWh、約24.0%となった。一方、生産量では中国が1,366.56MWh、約63.8%を占め、2032年には2,672.56MWh、約66.2%へ上昇すると予測される。材料、セル製造、パック組立、試験設備まで形成された産業集積が中国の供給優位を支えている。
ただし、需要面ではアジア太平洋の成長がより顕著となり、2032年には1,465.73MWh、約36.3%のシェアに達する見込みである。また、米国では安全保障上の観点からドローンおよび重要部品のサプライチェーン規制が強まっており、NDAA対応製品への需要が新たな競争軸となっている。2026年には防衛向け電池メーカーもNDAA適合を前提としたセル開発を進めている。
今後のドローン電池競争は「Wh/kg」だけでは決まらない
供給企業はATL(TDK)、Sunwoda、Shenzhen Grepow、Guangzhou Great Power、Huizhou Fullymaxなどを中心とする一方、上位5社の2025年出荷量シェアは約39.6%で、「その他」も約34.6%を占める。市場には大手セルメーカーと地域系パックメーカー、特殊任務向けソリューション企業が併存している。
今後のドローン電池競争では、エネルギー密度だけでなく、Cレート、熱管理、BMSアルゴリズム、パック耐久性、低温性能、認証対応、トレーサビリティまで含めた総合性能が重要になる。特に産業・軍事用途では、1回の飛行時間を伸ばすこと以上に、「必要な出力を必要な環境で安定して供給できるか」が導入判断を左右する。したがって、ドローン電池市場の成長機会は、セルの大型化や低価格化よりも、用途別に最適化された高信頼性電源システムの構築に移行していくと考えられる。
本記事は、QY Research発行のレポート「ドローン電池―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」に基づき、市場動向および競合分析の概要を解説します。
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