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ブロックチェーンに取引記録が残っていても、その秘密鍵を実際に操作した人物まで証明できるとは限りません。

Web3の普及を妨げる重大な問題として、DFSChain Chief Architectが「内部関係者による不正」と「責任主体を特定することの難しさ」を提起しました。

今回公開した記事は、Web3が抱える7つの構造的な問題を取り上げた前回記事に続く、第2弾です。

■ DFSChain Chief Architectとは

Chief Architectとは、個別の機能を開発するだけではなく、システム全体の構造を設計する責任者です。

ブロックチェーン、ウォレット、アプリケーション、データベース、認証、権限管理、セキュリティ、運営体制などを一つの仕組みとして捉え、どの技術をどこへ使用するかを決定します。

正常に動くことだけではなく、次の点まで含めて全体を設計する立場です。

・誰がシステムを利用できるのか
・誰が管理権限を持つのか
・誰が取引を承認するのか
・不正な操作をどのように防ぐのか
・問題が発生した際に誰が対応するのか
・被害の拡大をどのように止めるのか
・記録と責任をどのように結び付けるのか

今回の問題提起は、企業としてWeb3を否定するものではありません。

DFSChainをはじめ、多数のブロックチェーン関連サービスやアプリケーションの全体設計に携わるChief Architectの立場から、Web3を産業や社会で安全に使用するために避けて通れない問題を取り上げるものです。

■ 前回取り上げた7つの問題

前回の記事では、Web3が一般社会へ普及するうえで直面する、次の7つの構造的な問題を取り上げました。

1.盗まれた資産は、追跡できても取り戻せるとは限らない
2.たった一度の署名が、資産損失につながる可能性がある
3.秘密鍵をなくした本人が、自分の資産を取り戻せない
4.一般産業でWeb3にする必然性はどこにあるのか
5.同じ名前の偽トークンを作ることができる
6.透明性が、攻撃者にも情報を与える
7.大口取引そのものが攻撃材料になる

今回、これらに加わる8つ目の問題として、秘密鍵や管理権限を持つ内部関係者による不正を取り上げます。

■ 8つ目の問題は「内部関係者の不正」

Web3のセキュリティでは、外部からのハッキング、秘密鍵の盗難、フィッシング、不正なスマートコントラクトなどが注目されます。

しかし、システムの構造を理解し、秘密鍵や管理権限へ正規にアクセスできる内部関係者が不正を行った場合、外部からの攻撃以上に原因や責任を特定しにくくなる可能性があります。

内部関係者は、資産の保管場所、秘密鍵の管理方法、承認手順、監視体制、管理者権限の仕組みを知っている場合があります。

正規の権限を持つ人物が、その権限を不正に利用しても、スマートコントラクト上では有効な取引として処理される可能性があります。

コード上で有効であることと、その取引が社会的・法的に正当であることは同じではありません。

■ ブロックチェーンが証明するのは「鍵による操作」

ブロックチェーンには、取引を実行したアドレス、数量、時刻などが記録されます。

しかし、記録から確認できるのは、特定の秘密鍵によって有効な署名が行われたという事実です。

その秘密鍵を実際に操作した人物まで、自動的に証明されるわけではありません。

正当な管理者が操作したのか。

内部関係者が無断で使用したのか。

秘密鍵がコピーされていたのか。

端末が第三者に乗っ取られていたのか。

複数人で共有していた鍵を、誰か一人が悪用したのか。

これらの違いを、ブロックチェーン上の取引記録だけで判断することは困難です。

取引記録が残っていることと、操作した人物や責任者を証明できることは別の問題です。

■ 「ハッキングされた」という主張を検証できるのか

秘密鍵を管理していた内部関係者が資産を移動させた後、「秘密鍵を盗まれた」「端末を乗っ取られた」と主張した場合、ブロックチェーンには資産が移動した事実が残ります。

しかし、本人が操作したのか、本当に第三者から攻撃されたのかを、取引記録だけで確定できない可能性があります。

さらに、資産が複数のアドレスへ分散され、別の暗号資産へ交換され、複数のネットワークを経由した場合、資産の流れを追跡できても、最終的な行為者の特定や資産回収は容易ではありません。

Web3では、「誰が操作したか」よりも「どの秘密鍵で署名されたか」が技術的な判断基準になります。

この違いが、内部不正、なりすまし、責任逃れにおける重大な問題になります。

■ 問題は発生率ではなく、一度の不正が与える影響

内部不正が全体の何%を占めるかは、本質ではありません。

たった一人の内部関係者でも、重要な秘密鍵や管理権限を持っていれば、システム全体へ重大な被害を与える可能性があります。

対象となるのは、企業が保有する資産だけではありません。

・利用者から預かった資産
・トークンの発行権限
・スマートコントラクトの変更権限
・運営用ウォレットの操作権限
・サービスを停止できる管理権限

これらが一つの秘密鍵や少数の管理者へ集中していれば、一度の不正やなりすましによって、サービス全体の信用が失われる可能性があります。

産業や社会で利用されるシステムには、取引を記録する機能だけではなく、次の問いに答えられる設計が必要です。

・誰が操作を実行したのか
・その操作は正式に承認されていたのか
・不正が疑われた場合に誰が調査するのか
・被害の拡大を誰が止めるのか
・問題発生時に誰が責任を負うのか

■ 安全対策を追加するほどWeb2の管理機能が必要になる

Web3における内部不正対策には、マルチシグ、権限分離、送金上限、ホワイトリスト、タイムロック、異常取引監視、HSMやMPCによる秘密鍵管理、監査、緊急停止などがあります。

これらは重要な対策です。

しかし、安全対策を追加するほど、管理者、承認者、監視者、本人確認、監査、停止権限などの仕組みが必要になります。

安全で実用的なWeb3を構築するためには、Web2で培われた管理や統制の考え方を無視できません。

すべてを分散化すれば安全になるわけではなく、分散化すべき部分と、責任主体を明確にすべき部分を分ける必要があります。

■ DFSChainとSimuChainが目指す責任の設計

DFSChainは、一般利用者や企業が複雑なWeb3操作を意識せずに利用できる環境を目指すプラットフォームです。

SimuChainは、Web2上でブロックチェーンのような記録、トランザクション、トークン経済圏を再現しながら、Web2の使いやすさや管理機能を活用する考え方です。

DFSChainとSimuChainは、Web3かWeb2かという単純な二者択一を目指していません。

改ざん耐性や検証可能性が必要な部分には、ブロックチェーンの価値を活用する。

本人確認、権限管理、承認、監査、停止、回復が必要な部分には、企業や運営主体が責任を持てる仕組みを設ける。

Web3とWeb2の長所を用途に応じて使い分けることが、社会で実際に使われるシステムの条件だと考えています。

■ Web3は人間の関与を消せない

Web3は、信頼する相手を減らす技術として語られてきました。

しかし、システムを開発する人、秘密鍵を管理する人、スマートコントラクトを更新する人、利用者へ対応する人は存在します。

人が関与する以上、不正、誤操作、なりすまし、責任逃れの可能性をゼロにはできません。

コードが正しく動いたから問題はない、という説明だけでは社会は納得しません。

誰が操作したのか。

その操作は承認されていたのか。

問題が発生した場合に誰が責任を負うのか。

人、権限、操作、責任を結び付ける仕組みがなければ、Web3を産業や社会の基盤として普及させることは困難です。

ブロックチェーンへ記録を残すだけでは足りません。

内部関係者による不正を防ぎ、不正が疑われた場合には行為者を調査し、被害の拡大を止められる仕組みが必要です。

これが、DFSChain Chief Architectが提起する「Web3が普及しない8つ目の理由」です。

前回の記事

https://www.dreamnews.jp/press/0000361725

関連情報関連するDIFINES公式ブログ:https://www.difines.org/blog/why-we-built-dfschain-and-simuchain-2


DIFINES公式サイトhttps://www.difines.org/

DIFINES Labsについて公式サイト
https://www.difineslabs.com/

※DIFINES Labsは、株式会社Web3consultingが運営する、DFSChainの普及・導入支援を担う市場推進法人です。DIFINES財団と資本関係があり関係した法人になります。



配信元企業:株式会社Web3Consulting
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情報提供元: Dream News
記事名:「 【Web3への警鐘・第2弾】Web3が普及しない8つ目の理由は「内部関係者の不正」――DFSChain Chief Architectが問題を提起