再生医療品質基準協議会は、2026年9月3日、「データ完全性基準(JRQ-P-017)」を制定し、同日施行しました。培養観察、環境測定、画像、装置ファイル、紙記録など、形式の異なるデータを組み合わせる工程では、報告書の数値が読めるだけでは判断過程を再現できません。本基準は、生成から廃棄までのライフサイクルを対象にします。 ## データの地図を最初に描く 工程ごとに所有者、入力者、照査者、保存管理者、最終判断者を定め、観察値がどこで転記され、計算され、形式変換され、外部と受け渡されるかをデータフロー図に示します。システム一覧と帳票一覧を照合することで、装置内にだけ残るファイルや補助表計算など、管理対象から抜けやすい経路を発見できます。 記録は観察・操作の時点で、実施者固有の識別と日時を伴って作ります。紙の署名、電子系の個別認証、試料識別と装置ログを時系列で照合し、後日の記憶による一括入力と発生時記録を区別します。 ## 画面画像では失われるもの 検索や再処理、表示条件の変更ができる動的記録は、印刷物や画面画像だけでは十分に検証できません。原データに加え、作成者、日時、装置条件、単位、版、処理履歴などのメタデータを保持し、元の機能または検証された代替手段で閲覧可能にします。 手入力、単位換算、丸め、計算式、データ取込みには、独立照合または検証された自動確認が必要です。表計算では、保護された原票、式一覧、セル変更履歴、既知データによる確認記録を用い、式の上書きや参照範囲の欠落を見つけます。 ## 採用しなかった結果も集合の一部 完全なデータ集合には、採用値だけでなく、失敗した取得、再試験、無効化、欠測、中断も含まれます。試料受付、装置連番、ファイル目録、成績書、逸脱番号を照合し、除外理由と承認を追跡します。例外を見えなくすることは、結果の説明力を弱めます。 媒体やシステムの移行時は、件数だけでなく内容、関連付け、可読性を照合します。保存期間には根拠を持たせ、廃棄には承認と証跡を伴わせます。バックアップが作成された記録と、必要時に復元して判断へ使える記録は同じではありません。 ## 再構成可能性を適合の中心に置く 対象データの流れと責任が明確で、原データ、メタデータ、例外を含めて判断過程を再構成できる状態が適合です。補助記録などに不足があっても、影響評価と是正計画が承認されていれば一部適合となり得ます。原データ欠落、帰属不能、無承認上書き、選択的報告、使用版の特定不能は不適合です。 本基準が守ろうとするのは整った報告書だけではなく、その報告書へ到達した証拠の連続性です。 外部から受領するデータでは、ファイル名だけで版を判断せず、伝送記録、再発行の履歴、照会回答、対象ロットを結び付けます。未確認の差異を残したまま最終判断へ使用しないという統制が、組織の境界を越えた完全性を支えます。

■基準全文(協会公式サイト)
JRQ-P-017:https://jrq.or.jp/standards/jrq-p-017/

■発行元
再生医療品質基準協議会
公式サイト:https://jrq.pages.dev ※本資料は品質・表示に関する情報提供であり、効果効能を保証するものではありません。





配信元企業:一般社団法人再生医療品質基準協議会
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情報提供元: Dream News
記事名:「 JRQ-P-017データ完全性基準を制定