株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2024年度の国内受託臨床検査市場を調査し、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1. 市場概況

主要臨床検査センター各社の決算状況や中小センターの経営状況などから、2024年度の国内受託臨床検査市場規模(受託事業者売上高ベース)を前年度比0.5%減の6,200億円と推計した。

2020年度から2022年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、PCR(核酸検出)検査の受託件数が急増し、受託臨床検査市場は一時的に大きく拡大した。2022年度は医療機関での自院内検査対応や検査の保険点数引き下げにより外部委託が減少し市場は縮小した。2023年度には感染症法上の位置づけが5類に移行したことにより、同受託検査数は大幅に減少し、市場規模全体を押し下げた。2024年度はコロナ特需がほぼ収束し、医療機関受診数の回復や健康診断受診再開により、生化学・免疫・血液学などルーチンの臨床検査数が回復傾向で推移し、受託臨床検査市場は構造的な調整局面に入った。

※市場規模は、基本的には新型コロナウイルスのPCR自費検査(自由診療)分は含まない。

2.注目トピック~ICT・AI技術の活用による検査プロセスの高度化と効率化

近年、受託臨床検査市場ではICTやAI技術を活用した業務効率化や検査プロセスの高度化が進展している。
大手の臨床検査センターでは自動化設備の導入が進み、AI技術による画像解析技術を用いた検体の仕分けや検査画像の判定支援が行われている。AI技術は細菌検査の顕微鏡画像解析や、フローサイトメトリー検査の異常細胞判定支援、血球分類検査や尿沈渣検査の自動判別など多方面で活用されている。これにより臨床検査の効率化や見逃しリスクの低減が進み、検査品質の向上と人手不足対策に寄与している。今後もICTやAI技術の活用は、受託臨床検査市場における競争力の重要な要素となると考える。

3.将来展望

受託臨床検査市場は成熟市場であり、参入プレイヤー数は多いものの大手の臨床検査センター経営企業への集中・集約化が進行している。特に大手企業では、新型コロナウイルスのPCR検査による特需で得た利益を原資とした大規模な設備投資が進んでおり、検査処理能力向上や自動化・効率化を目指す動きが活発化している。これらの投資の目的は、人手不足対策や検査品質の向上、コスト競争力強化等を狙っており、多面的な効果を期待している。
受託臨床検査市場では、デジタル化推進や検査データ共有化により検査数抑制の可能性もあるが、ルーチン検査や遺伝子検査を中心とした予防医療領域などでは成長フェーズへ移行する見込みである。大手企業には競争と協調のバランスを重視することが求められ、M&Aや事業アライアンスの重要性が増している。

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調査要綱
1.調査期間:2025年4月~6月
2.調査対象:受託臨床検査事業者
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による取材、ならびに郵送アンケート調査併用
4.発刊日: 2025年6月27日

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情報提供元: Dream News
記事名:「 【矢野経済研究所プレスリリース】受託臨床検査市場に関する調査を実施(2025年)~2024年度の国内受託臨床検査市場は前年度比0.5%減の6,200億円、今後は付加価値の高い検査・検査の効率化が鍵へ~