株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の自動販売機市場を調査し、参入企業(自販機メーカー、自販機オペレーター、中身商品メーカー)別や、中身商品別、ロケーション(設置場所)別の動向、将来展望等を明らかにした。

1.市場概況

一般社団法人日本自動販売システム機械工業会によると、2022年末時点の自動販売機(以下、自販機)及び自動サービス機(両替機や自動精算機など)の普及台数は、前年比99.1%の396万9,500台と、400万台を下回った。2014年以降は減少傾向で推移しており、既存の自販機の設置ロケーション(設置場所)はアウトドア(屋外)・インドア(屋内)ともに飽和状態にあることや、新規の設置ロケーションがとくにインドアに限られてきていることから、この傾向は当面変わらないものと推察する。

なお、自動販売機及び自動サービス機の普及台数は、飲料自販機、菓子・食品自販機、たばこ自販機、券類自販機、日用品雑貨自販機、自動サービス機を対象とするが、本調査では主に飲料自販機(酒類除く)、及び菓子・食品自販機を対象に調査・分析をし、自販機市場とした。

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2.注目トピック~飲料メーカーを中心にネットワーク化に向けた取り組みが加速

自販機市場が減退傾向にある中、1台あたり(パーマシン)の収益性の低下や、人件費、物流費、リサイクル処理費などのコスト負担が増大している。業界全体の共通課題として、ITの活用により自販機をネットワーク化することでパーマシンの収益性向上を目指すことに加え、オペレーションの効率化を図り作業効率や生産性、事業全体の見直しを図ることが挙げられる。

パーマシンの収益性向上の側面から見ると、自販機の魅力を高めインフラの一つのように捉えて活用しながらパーマシンの収益性・生産性を上げていくという動きが加速している。具体的には、スマートフォンを利用した取り組みやAI技術を導入した自販機のネットワーク化が急速に進んでいる。また、様々な種類の決済サービスの導入が飲料メーカー各社で行われている。

効率化の側面から見ると、ネットワーク化によって自販機ごとの販売関連データの情報収集・分析を補充用商品の配送前に済ませ、配送車への積み込みの段階から効率的に商品や配送ルートの準備・選定を進められるかどうかが、飲料メーカーやオペレーター(自販機の管理・運営者)にとって重要である。

3.将来展望

2023年末時点での普及台数は前年比99.2%の393万9,500台を見込む。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけは5類となり行動制限もなくなったが、その期間中に減少した台数を回復させるにはかなりの時間を要するとみる。しかし、食品自販機市場については伸長しており今後も活性化が見込まれる。人出不足対策として無人での食品販売の有用性が見直されてきていることなどがその背景として挙げられる。一方で、食品自販機は普及台数全体のシェアの内わずか2.0%に過ぎず、全体への寄与度は低いとみる。

コロナ禍においては、自販機の商品が「売れる場所」は大きく変わり、不採算機の撤去や再配置等が主に行われてきたアウトドアロケーション(屋外での設置場所)においても再評価されたが、2023年秋の時点で振り返ると一過性のトレンドであったといえる。

依然としてインドアロケーション(屋内での設置場所)のパーマシンの収益性・生産性は、アウトドアロケーションよりもおしなべて高く、当業界においてはインドアロケーションのパーマシンの収益性向上、新規ロケーション開拓を重視する姿勢は変わらないものとみる。

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調査要綱
1.調査期間: 2023年8月~10月
2.調査対象: 自動販売機メーカー、自動販売機オペレーター、飲料メーカー、菓子・食品メーカー、その他関連団体
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(Web含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査、アンケート調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2023年10月23日

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情報提供元: Dream News
記事名:「 【矢野経済研究所プレスリリース】自動販売機市場に関する調査を実施(2023年) コロナ禍で縮小した自販機市場は、人手不足対策として無人販売の有用性が見直され、高い潜在需要を維持