ESR1遺伝子変異を有する患者群において、エラセストラントは、SOCと比較して、進行または死亡リスクを45%減少させる効果が確認されました(PFS HR=0.55, 95% CI: 0.39, 0.77)。2022年12月のサンアントニオ乳癌シンポジウム(San Antonio Breast Cancer Symposium;英文略称SABCS)において、CDK4/6i阻害剤(CDK4/6i)の先行使用期間に基づくPFS結果の事後解析が発表されました。 腫瘍に ESR1 遺伝子変異があり、CDK4/6iによる治療を12カ月以上受けていた患者群におけるPFS中央値は、エラセストラントの8.6カ月に対してSOCの1.9カ月でした。
Mass General Cancer Center乳がん部門所属のリサーチディレクター、ハーバード大学医学部准教授、およびEMERALD試験の主任研究員を兼務するAditya Bardia医師(医学博士、薬学博士)は、次のようにコメントしました。「内分泌療法による前治療を受けた進行性または転移性ER陽性、HER2陰性乳がんは、依然としてアンメット・メディカル・ニーズの領域です。 最後に承認された内分泌療法は約20年前で、この患者集団にとって有効な内分泌療法の選択肢が必要とされています。 ESR1 遺伝子変異は、標準的な内分泌療法に対する抵抗性の原因と考えられており、これまでのところ、治療が困難とされてきました。エラセストラントの承認は、ER陽性、HER2陰性転移性乳がんの患者さんに新しい選択肢を提供するものであり、歓迎すべきものです。本療法は、転移性乳がんの ESR1遺伝子変異を標的とし、1日1回の経口投与という利便性も備えています。」