海上輸送は国際貿易に欠かせない主要な輸送手段であり、国際的な物品貿易量の約80%に相当します。また、発展途上国ではその割合はさらに高くなります。この輸送手段は、道路、鉄道、航空輸送よりも安価で、国際貿易の実現可能性が高いものです。UNCTADによると、世界の海上貿易は2021年度に4.1%増加し、2022年から2026年までの間CAGR2.4%以上のペースでさらに膨れ上がると予想されています。世界の船腹の伸びも同様の傾向を示し、2021年度には3.0%の伸びとなりました。2021年に海上貿易が回復したのは、潜在需要の掘り起こしや、在庫の補充・積み増しによるもので、健康食品や医薬品、事務機器などへの消費シフト、買い物形態の変化、電子商取引の拡大も追い風となりました。2020年の厳しい状況を経て2021年に需要が急激に高まったことで、船腹やコンテナ・設備が不足する事態となっています。船主はこの需給ギャップを埋めるために、新造船の調達や後付け船の利用に頼っています。近年、アジア太平洋地域は、豊富な原材料と労働力を背景に、世界の製造拠点として台頭してきました。そのため、製造品や原材料の輸出が増加し、コンテナ船に対する需要は高まっています。また、UNCTAD Review of Maritime Transport 2021によると、世界の海上貿易のうちアジアが占める割合は54%と驚異的であり、今後も増加が見込まれることから、スマート港湾市場の需要も増加しています。