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2020年3月2~6日にオーストリア・ウィーンで行われた第63会期国連麻薬委員会(CND)において、大麻及び大麻関連物質のWHO勧告に対する投票(53カ国)を延期しました。日本臨床カンナビノイド学会(新垣実理事長)では、WHO勧告内容の解説図をWEBサイトにて20年5月6日に公表しました。
議長が提出した決定案
物質の管理範囲の変更:世界保健機関による大麻及び大麻関連物質に関するスケジュール勧告案
国連麻薬委員会は、国際的な薬物統制条約に規定されているスケジュールに関する勧告に投票する権限を想起し、現在の第63回会期において、大麻及び大麻関連物質に関する世界保健機関の勧告の影響及び結果、並びにこれらの勧告の根拠を明確にするために、その複雑さを考慮しつつ検討を継続することを決定し、国際的なスケジュールシステムの完全性を維持するために、2020年12月に再招集された第63回会期において投票することを決定する。
引用:https://undocs.org/E/CN.7/2020/L.8
<経緯と今後>
大麻草を規制している国際条約は、1961 年の麻薬に関する単一条約(麻薬単一条約)、1971 年の向精神薬に関する条約(向精神薬条約)、1988 年の麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約(麻薬新条約)の3つがあります。
スケジュール・リストとは、国際的に薬物統制するシステムのことであり、WHO(世界保健機関)の ECDD(依存性薬物専門家委員会)が薬物の有害性や医療価値についての評価を行っています。
WHO(世界保健機関)のECDD(依存性薬物専門家委員会)では、最初に日本政府から提案した決議52/5(2009年)を受け、第38会期ECDD(2016年)の第三者の審査呼びかけに応じて、2010年にWHO事務局で定められた精神作用物質の審査方法の手順に基づき、2018年に事前審査、批判的審査を経て、2019年1月24日にスケジュール変更について国連にWHO勧告として通知しました。
国連麻薬委員会(CND)では、その勧告を受けての53か国による投票採決となります。
次の投票予定は、2020年12月3-4日に予定されています。
勧告内容は、解説図はこちらのサイトの一番したのPDFファイルにあります。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=103190
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000214607&id=bodyimage1】
<勧告の内容>
大麻および大麻樹脂
勧告5.1:大麻及び大麻樹脂を1961年麻薬単一条約の附表IVから削除する
ドロナビノール(Δ9-THC)
勧告5.2.1:ドロナビノール(Δ-9-THC)及びその立体異性体を1961年麻薬単一条約の附表Iに追加する
勧告5.2.2:ドロナビノール(Δ-9-THC)とその立体異性体を1961年麻薬単一条約の附表Iに追加する勧告を委員会が採択することを条件に、1971年向精神薬条約の附表IIからドロナビノール(Δ-9-THC)とその立体異性体を削除する
テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC異性体)
勧告5.3.1:ドロナビノール(Δ-9-THC)を1961年麻薬単一条約の附表Iに追加する勧告を委員会が採択したことを条件に、テトラヒドロカンナビノール(1971年向精神薬条約の附表Iに現在列記されている6つの異性体を指す)に1961年麻薬単一条約の附表Iを追加する。
勧告5.3.2:テトラヒドロカンナビノールを1961年麻薬単一条約の附表Iに追加する勧告を委員会が採択したことを条件に、テトラヒドロカンナビノール(1971年向精神薬条約の附表Iに現在列記されている六つの異性体を指す)を1971年向精神薬条約から削除する。
大麻エキスおよび大麻チンキ
勧告5.4:大麻エキス及び大麻チンキを1961年麻薬単一条約の附表Iから削除する。
カンナビジオール製剤
勧告5.5:1961年麻薬単一条約の附表Iに、「主たる成分がカンナビジオールで、Δ-9-THCが0.2%以下の製剤は国際的な統制を受けない。」という脚注を追加する。
大麻およびドロナビノール(Δ-9-THC)の製剤
勧告5.6:化学合成または大麻由来の製剤として製造されたΔ-9THC(ドロナビノール)を含有する製剤であって、一つまたは二つ以上の成分を含む医薬製剤として調合しており、かつ、Δ-9-THCドロナビノール)が、容易に用いうる手段により又は公衆衛生に危険をもたらすような収量で医薬製剤を回収することができないものについて、1961年麻薬単一条約の附表IIIに追加する。
参考サイト
国連麻薬委員会(CND)の第63会期
https://www.unodc.org/unodc/en/commissions/CND/session/63_Session_2020/session-63-of-the-commission-on-narcotic-drugs.html
WHO/ECDDにおける大麻及び大麻関連物質の国際的な議論が活発になるつれて良質なレポートが多数発行されています。すべてのレポートを翻訳することはできませんが、少しでも多くの医療従事者の目に触れるよう取り組んでいきます。
日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会;International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2019年7月段階で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員12名、 賛助個人会員23名、合計102名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/
配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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