非営利シンクタンク言論NPO(東京都中央区、代表:工藤泰志)は、2020年1月21日、日米中韓4カ国の外交・安全保障の専門家が参加する「アジア平和会議」を創設しました。この創設に合わせて、北東アジアの平和を脅かすリスクについて、外交・安全保障の専門家24人の評価と、言論NPOの活動の協力者307人の回答結果を公表しました。

▼「北東アジアの平和を脅かす10のリスク」詳細はこちら
http://www.genron-npo.net/press/2020/01/10-1331.html

評価では、北東アジアの平和を脅かすリスクとして「米朝非核化交渉の展開と、核保有国・北朝鮮の行動」(8.17点)を挙げる人が最多となり、「米中間の通商やデジタル覇権をめぐる対立」(8.08点)が8点台で続きました。

2つのリスクに続く形で「米国大統領選の行方」(6.71点)、「南シナ海での中国の行動と増大する中国の軍事力」(6.25点)が6点を超えました。

一方、平和を脅かすリスクとして最も小さいと考えているのは「習近平主席の日本訪問と今後の日中関係」(4.88点)で、10のリスクのうち唯一4点台となりました。






【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000208879&id=bodyimage1

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000208879&id=bodyimage2

この評価は、言論NPOの活動に参加する有識者307人のアンケート結果(4点満点)から、北東アジアの平和への脅威を12項目抽出した上で、その12項目について外交・安全保障の専門家24氏に、「北東アジアの平和に与えるインパクト(3点満点)」「この地域に平和の困難や障害として表面化する可能性(3点満点)」の2つの軸で評価してもらい、その結果を集計したものです(合計10点満点)。なお、調査は1月11日から19日まで、言論NPOの活動に参加する約2000人にメールで調査フォームを送付する形で行っています。

【評価方法(1):有識者アンケートによる評価】
有識者の3割を超える人が、北東アジアにおけるリスクとして「北朝鮮問題」と回答
この中で最も多くの有識者がリスクと考えたのは、「米国と北朝鮮の非核化交渉の進展」(30.6%)で3割を超えました。「北朝鮮が核保有国として行動すること」と「米国大統領選の行方」がいずれも27.0%で続き、「習近平主席の日本訪問と今後の日中関係」(22.5%)、「日本と韓国の対立」(20.5%)が2割を超えるという結果となりました。
一方、外交・安全保障の専門家による評価で多くの専門家が2020年に表面化するリスクに挙げた南シナ海問題については、「南シナ海での中国の行動と増大する中国の軍事力」(16.6%)となったように、1割台にとどまっています。

【評価基準】
4点:リスクだと考えている人が30%以上
3点:リスクだと考えている人が20%以上
2点:リスクだと考えている人が10%以上
1点:リスクだと考えている人が5%以上
0点:リスクだと考えている人が5%未満

【評価方法(2):専門家による2つの評価】
1.平和へのインパクト
まず、各リスクが北東アジアの平和に与える影響を3点満点で評価いただいたところ、最も大きな影響を与えるリスクは「米朝非核化交渉の展開と、核保有国・北朝鮮の行動」(平均:2.46点)でした。続く、「南シナ海での中国の行動と増大する中国の軍事力」(平均:2.04点)までが全回答者の平均で2点を超え、外交・安全保障専門家が最も大きなリスクとして意識していることが明らかになりました。
一方、「日本と韓国の対立」(0.75点)は10のリスクのうち唯一1点に満たず、平和の問題とは直接関係ないか、影響は軽微ととらえています。

【北東アジアの平和に与えるインパクト評価基準】
3点 事態が、この地域の軍事紛争を引き起こしうる状況 HIGH(高)
2点 事態が、この地域の緊張感を高め、危機管理を必要とする状況 MODERATE(中)
1点 事態が、この地域の平和に影響を及ぼす懸念がある状況 LOW(小)
0点 平和の問題とは直接関係ないか、あったとしても影響は軽微

2.困難や障害として表面化する可能性
続いて、外交・安全保障の専門家24人に、2020年にこの地域の平和を脅かす事象として表面化する可能性について、各リスクを3点満点で評価してもらったところ、「米中間の通商やデジタル覇権をめぐる対立」(2.42点)が最も高い点数となり、「すでに問題が発生している」とする専門家が半数を超えました。さらに「南シナ海での中国の行動と増大する中国の軍事力」(2.21点)、「米国大統領選の行方」(2.00点)が2点を超え、2020年内に問題が表面化する可能性が高いと考えています。
一方、今春にも予定されている「習近平主席の日本訪問と今後の日中関係」(0.88点)については、この地域の平和を脅かす事象としての可能性は低いと考えています。

【この地域に平和の困難や障害として表面化する可能性評価基準】
3点 すでに問題が発生している
2点 2020年内に発生する可能性が高い
1点 2020年に発生するかは半々
0点 2020年に発生する可能性は低い

評価にご協力いただいた24人の外交・安全保障の専門家の皆様(順不同)
德地秀士氏、阪田恭代氏、園田茂人氏、近藤誠一氏、澤田克己氏、三浦祐介氏、塚本壮一氏、加茂具樹氏、宮本雄二氏、道下徳成氏、伊藤信悟氏、小倉和夫氏、西正典氏、小野田治氏、奥薗秀樹氏、松田康博氏、神保謙氏、松原耕二氏、香田洋二氏、高原明生氏等


■「アジア平和会議」とは
言論NPOは、構造的に不安定な北東アジア地域に平和秩序を実現するため、2020年1月に「アジア平和会議」を東京に創設しました。この会議は日本、アメリカ、中国を中核とした、多国間の民間レベルの協議メカニズムです。
この会議創設の目的は、不安定な北東アジア地域で紛争の可能性を減らし、偶発事故を抑制する危機管理の仕組みを高めると同時に、持続的な平和の仕組みを作るための作業を多国間で行うものです。また関係各国や世界にアジアの平和に向けた議論を積極的に発信し、こうした多国間の取り組みを支持する世論を醸成することで、地域の平和に向けた政府間取り組みへの土台づくりを目指しています。

▼1月21日の「第1回アジア平和会議」では、日米中韓の計17氏の創設メンバーが、
北東アジア危機管理メカニズムの向上、そして紛争解決や将来の安定的な平和の枠組みに向けて作業を開始することで合意
http://www.genron-npo.net/world/archives/7467.html

■言論NPOとは
言論NPOは、「健全な社会には、当事者意識を持った議論や、未来に向かう真剣な議論の舞台が必要」との思いから、2001年に設立された、独立、中立、非営利のネットワーク型シンクタンクです。2012年には、米国外交問題評議会が設立した世界25カ国のシンクタンク会議に日本から選出され、グローバルイシューに対する日本の意見を発信しています。この他、国内では毎年政権の実績評価の実施や選挙時の主要政党の公約評価、日本やアジアの民主主義のあり方を考える議論や、北東アジアの平和構築に向けた民間対話などに取り組んでいます。
また、2017年3月には、日本で初めてグローバル課題の解決を目指す、世界的な議論のプラットフォーム「東京会議」を立ち上げ、議論の内容をG7議長国と日本政府に提案する仕組みをつくり上げました。



配信元企業:認定NPO法人 言論NPO
プレスリリース詳細へ

ドリームニューストップへ
情報提供元: Dream News
記事名:「 北東アジアの平和を脅かす10のリスクを公表 ~北東アジアの平和を脅かすリスクは「北朝鮮問題」~