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報道関係各位
2018年11月12日公開
「外国人受け入れの制度設計に関する意見書」
公益社団法人日本語教育学会
URL: http://www.nkg.or.jp/
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長年,国内外の日本語教育を牽引してきた日本語教育学会は,今般の外国人受け入れに関する議論に強い危機感を抱いています。
2018年6月15日に政府が「経済財政運営と改革の基本方針2018」を閣議決定して以来,外国人受け入れの議論が活発化し,今国会では,外国人労働者受け入れ拡大を目指す入管法改正案が審議されています。日本語教育を含む,外国人に対する支援は,従来,地方公共団体,民間組織,市民ボランティア等の善意に頼ってきました。しかし,外国人受け入れを拡大するなら,この形態に限界があるのは明らかです。将来に禍根を残さないためにも,外国人の社会統合や共生社会構築を目的とした包括的な法整備を行い,日本語教育の位置付けを明確にすることが大前提でなければなりません。
以上から,日本語教育学会は提言として以下3点を強く社会に訴えます。
提言1:
在住外国人との中長期的な共生を見据え,社会統合という観点から日本語教育の在り方を明確に位置づける基本法を制定した上で外国人受け入れの議論を進めること
現状では,日本語教育やコミュニケーションの問題にどのように取り組むかの国の基本方針が定まらないため,官民の関係者間で合意形成が難しく,個別バラバラな取り組みが目立ちます。外国人に十分な日本語学習の機会が提供できず,地域のコミュニケーション不全に至る懸念もあります。外国人受け入れ拡大を目指すなら,外国人との共生や社会統合の観点から日本語教育を法的に明確に位置付けることが先決です。
提言2:
日本語教育に関する質の保証を行うために,国による財政措置を担保すること
外国人との共生や社会統合に関するコミュニケーション上の諸課題を解決するためには,日本語教育の質的な保証が必須です。日本語教育機関の在り方,日本語教育に携わる人の資格要件の整備と待遇改善,日本語教育のコース設計,能力評価システム構築等に関して財政措置を検討し,日本語教育の適正レベルを公的に担保することが考えられます。
提言3:
外国人に帯同する家族(配偶者や子ども等)や日本国籍を有する日本語非母語話者の子どもなどに対する日本語教育支援を充実させること
成人家族は,地域社会とつながりにくいので,コミュニケーション・ツールとしての日本語の習得は重要です。一方,子どもたちは,日本語教育の専門知識のない学校教員からは十分な学習支援が受けられません。担当教員に対する支援や教員養成での日本語指導の知識習得を可能にする制度のほか,子どもの言語習得に重要な母語能力の維持伸長も必要です。次代を担う子どもたちへの言語支援は将来社会への投資です。優秀な人材に選ばれる日本を実現するには,同伴家族が安心して生活できる環境の整備が急務です。
本件は今後,日本社会のあるべき姿を考えるうえで,非常に重要な課題です。
貴媒体にてぜひ掲載・取材をご検討くださいますよう,お願い申し上げます。
★参考:「外国人の受け入れの制度設計に関する意見書(詳細版)」http://www.nkg.or.jp/news/7872
*上記に関するお問い合わせ: e-mail: otsuka@nkg.or.jp tel:03-3262-4291(事務局長:大塚 徹)