日本臨床カンナビノイド学会(理事長:新垣実、新美会新垣形成外科)は、2018年9月9日(日)に第4回学術集会にあわせて、今年6月の大麻及び大麻関連物質に関するWHO依存性薬物専門家委員会(ECDD)の和訳資料を9月3日に公開しました。

大麻及び大麻関連物質は、1961年麻薬単一条約、1971年向精神薬条約で国際的に規制されています。大麻、大麻樹脂、大麻抽出物、大麻チンキ剤は、依存性が強い麻薬として、ヘロイン、モルヒネ、あへん、コカ葉と同じスケジュールIに収載されています。特に大麻と大麻樹脂は、スケジュールIの中でも特に危険な麻薬として、ヘロインと同等のスケジュールIVに収載されています。

しかし、本学会が先行して和訳した国際薬物政策コンソーシアム(IDPC)レポートによると、2018年4月時点で医療用大麻を合法化した国が28カ国、大麻由来の医薬品を承認した国が21カ国、試験的なプロジェクトをしている国が2カ国になっており、規制緩和の流れが強まっています。さらに、2013年にウルグアイ、2014年に米国のコロラド州など、2018年秋にはカナダが、成人向けの嗜好用大麻の合法化をしています。

【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000180449&id=bodyimage1

このような状況下で、今年6月に行われた第40回ECDD会議では、大麻植物と大麻樹脂、大麻抽出物とチンキ剤、Δ9-THC、THC異性体の事前審査(ピアレビュー)とカンナビジオール(CBD)の批判的審査(クリティカルレビュー)を行った。WHOが大麻について正式な科学的評価を行うこと自体、歴史上初めてのことです。その会議の結果は、国連事務総長(アントニオ・グテーレス氏)へのレターとして7月23日に公開されています。本学会では、レターと付録のQ&Aを和訳しました。

和訳には次のような内容が含まれています。

・大麻と大麻樹脂は、スケジュールIVの基準と一致しない
・CBD:純粋なCBDはスケジュールすべきでない
・大麻植物と大麻樹脂、大麻の抽出物とチンキ剤、Δ9-THC、THC異性体:
 批判的審査に進むのに十分なエビデンスあり
・2018年11月の第41回ECDDで大麻成分の批判的審査を実施する

本学会では、これらについて9月9日(日)の学術集会においても演題発表を行い、医療従事者への大麻に関する最新情報への理解と普及に努めるつもりです。

日時:9月9日(日)10時開場 10時半スタート 17時まで
場所:東京グランドホテル4階 芙蓉の間
定員:100名(先着順)
参加:医療従事者を対象
費用:非会員:18000円、会員10000円
懇親会参加の場合、非会員:23000円、会員15000円

WHO依存性薬物専門家委員会(ECDD)の和訳資料、
9月9日(日)の詳しいプログラム、参加方法は学会ホームページからできる。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/ 


WHO依存性薬物専門家委員会(ECDD):
薬物の有害性や医療価値について、科学的な評価を行う独立した専門家集団です。2010年に定められたWHO審査ガイドラインに基づいて、対象となる薬物に対して、事前審査(ピアレビュー)と批判的審査(クリティカルレビュー)の2段階で、評価され、国連麻薬委員会(CND)への勧告を行う。

Δ9-THC:
デルタ9-テトラヒドロカンナビノール。121種類ある大麻の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。

日本の大麻取締法:
大麻取締法による規制によって、製薬会社がつくるカンナビノイド医薬品及びハーブ利用としての医療用大麻のどちらも違法であり、臨床試験ですら認められていない。

日本臨床カンナビノイド学会:
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会;International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式なPartner organizationとなっている。2018年7月段階で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員11名、 賛助個人会員22名、合計100名を有する。


情報提供元: Dream News
記事名:「 大麻の国際規制が変更の可能性!!国連の歴史上初めて大麻の正式な科学的評価を行った2018年6月のWHOの和訳資料を9月3日に公開