没20年・生誕88年記念シリーズ特別編
11月18日(土)「黛敏郎 電子音楽個展」を入場無料で開催
日本で初めて電子音楽を作った作曲家の電子音楽個展。

黛敏郎(まゆずみ・としろう/1929-1997)は戦後音楽界のトップを走った作曲家。
斬新な発想とダイナミックなサウンドは、世界で評価され、数々の芸術家に影響を与えました。
天才にしか為し得ない音楽に、誰もが憧れ注目したのです。
三島由紀夫とはオペラや電子音楽を作り、安部公房とはミュージカルを、モーリス・ベジャールとはバレエを作りました。黛とのコラボレーションから生まれた傑作は少なくありません。
アカデミー賞映画「天地創造」や市川崑監督の映画「東京オリンピック」の音楽も作曲しました。
野球やプロレスのテーマ音楽として使われた「スポーツ行進曲」など誰もが知る曲も書きました。
現在も続くテレビ番組「題名のない音楽会」の初代司会者でもありました。
2017年4月で、黛敏郎が亡くなって20年を迎えました。
「BUGAKU」「饗宴」「涅槃交響曲」などオーケストラ作品に注目が集まりますが、
今回は黛敏郎の斬新な完成が遺憾なく発揮された「電子音楽」を特集します。
しかも、入場無料!
音響的にも優れた音楽ホールで電子音楽が上演されることは貴重であり
予約制による先着順となるのでこのチャンスを逃さず聴きたいイベントです!


予約お申し込みはこちらから https://www.3s-cd.net/concert/mm/sp/


第1部は黛敏郎の原点を探る特集上映。

黛敏郎が原案・構成・出演を行ったドキュメンタリー「日本音楽の生と死」(1968)を上映します。
外人記者から「日本という国はどうしてこんなに音楽が氾濫しているのか?」という質問を受けたことをきっかけに
日本民族が古代から受け継いできた音楽とその変遷、そして死生観を対比させて黛敏郎という作曲家の音楽的原点を解き明かした重要作品です。
作品中、幾つかの部分でミュージック・コンクレートも使われています。

第2部と第3部は、ミュージック・コンクレート、電子音楽と生演奏を伴う電子音楽を上演します。

貴重な電子音楽作品を再生演奏するのは磯部英彬(作曲家・メディアアーティスト)。
三島由紀夫の作詩に対して黛敏郎が電子音楽を作曲した朗読作品を黛りんたろうが朗読して上演。
電子音楽パートを磯部英彬が復元。さらに鐘の音の素材で再現したバージョンも作成しての初演となります。
生きたオタマジャクシが五線譜の上を泳ぐのを演奏するというTADPOLE MUSICは、初演以来の上演ですが、
初演は伊部晴美のギターソロであったのを、今回は映像を演奏する新楽器ヴィデオロン(山本和智考案)を佐藤洋嗣が演奏します。

上演される作品について

黛敏郎は、1952年5月、パリで聴いたミュージック・コンクレートに強い衝撃をうけた
メカニズムによる、嘗ては存在しなかった新しい音響像の追求
それは全く新しい宇宙、別な次元に於ける思考を意味する。
機械は、人間が人間であるより更に人間的であり得る。
演奏家の能力などに規定されない自由な魂の飛翔をめざして「ミュージック・コンクレート」や「電子音楽」の作曲へ向かったのです。

まずは「放送によらなければできないような種類の音楽」として
ミュージック・コンクレートのための作品“X,Y,Z”(1953)を発表します。
文化放送のスタッフと1ヶ月に及ぶ徹夜を繰り返して作ったそれは、
「日本ではじめての珍奇な音楽の放送ということで、放送局の上層部だけでなく、聴取者や関係各所に誤解のないよう」根回しをしなければいけなかったほどでした。

黛の代表作として知られる「涅槃交響曲」と前後して作曲されたのが
ミュージック・コンクレートによるカンパノロジー(1959)
梵鐘の響きを素材としたテープ編集による音楽です。

日本初の電子音楽として5ヶ月に渡る研究と制作を行ってNHKで完成されたのが
素数の比系列による正弦波の音楽(1955)
素数の比系列による変調波の音楽(1955)
鋸歯状波と矩形波によるインヴェンション(1955)
の3曲です。

日本における電子音楽制作の理論的基礎を作ったのが諸井誠と共作で作った
7のヴァリエーション(1956)
黛敏郎が担当した第2部を上演します。

東京オリンピックの開会式と閉会式で天皇陛下がロイヤルボックスへ向かう時、そこから帰る時に流す音楽として作曲された
カンパノロジーオリンピカ(1964)
これは各地で録音された梵鐘の響きを素材として作られており、代々木のオリンピックスタジアムに設置された4チャンネルのスピーカーを使って再生されました。

黛敏郎にとって、純粋な電子音楽としては最後とも言われるのが
電子音響と声による「まんだら」(1969)
純音とバンドパスされたホワイトノイズによる前半、人間の発する様々な声を素材にした後半からなり、事物の種々相や有為転変を表現したものです。

三島由紀夫と黛敏郎によるコラボレーションでも幻であった作品を復元して黛りんたろうの朗読で上演されるのは
三島由紀夫の詩と黛敏郎の電子音楽による
理髪師の衒学的欲望とフットボールの食慾の相関関係(1957)

2つの部分にわかれた44分もの大作テープ音楽
3つの讃 第1部・第2部(1965)
これは高野山の聲明と薬師寺の聲明を中心に、様々な都会の音なども加わります。
「日本音楽の生と死」とも関連した作品です。

五線譜の上を泳ぐオタマジャクシを演奏するという図形楽譜作品を電子音楽として上演する新解釈による
TADPOLE MUSIC(1962)

黛敏郎の電子音楽楽譜に対して、鐘の音素材を当てはめて復元したバージョンによる
理髪師の衒学的欲望とフットボールの食慾の相関関係(1957)
を黛りんたろうが朗読して、黛敏郎電子音楽個展は締めくくられます。

このような機会は二度とないでしょう。

必見です!

日時:2017年11月18日(土曜)
場所:渋谷区文化総合センター大和田6階伝承ホール(渋谷区桜丘町23-21 渋谷駅西口から徒歩5分)

没20年・生誕88年シリーズ特別編
黛敏郎 電子音楽個展+ドキュメンタリー「日本音楽の生と死」上映会

チケット無料(予約制・投げ銭)
予約 https://www.3s-cd.net/concert/mm/sp/
座席に余裕がある場合は予約なしでも入場できます
全3部構成ですが、各部を別々に鑑賞されても構いません

コンサート詳細

第1部 11時45分開場 12時開演 上映約95分

ドキュメンタリー「日本音楽の生と死」(1968)原案・構成・出演:黛敏郎

第1部 現代の混乱について
第2部 自然と人間について
第3部 生と死-特に死-について
第4部 生の復活について

-第1部と第2部の間は舞台設営のため入れ替え制です-

第2部 14時開演(開場13時50分) 上演約70分

ミュージック・コンクレートのための作品“X,Y,Z”(1953)
ミュージック・コンクレートによるカンパノロジー(1959)
素数の比系列による正弦波の音楽(1955)
素数の比系列による変調波の音楽(1955)
鋸歯状波と矩形波によるインヴェンション(1955)
7のヴァリエーション第2部(1956)
カンパノロジーオリンピカ(1964)
電子音響と声による「まんだら」(1969)
三島由紀夫の詩と黛敏郎の電子音楽による
理髪師の衒学的欲望とフットボールの食慾の相関関係(1957)

第3部 15時20分頃~ 上演約60分

3つの讃 第1部・第2部(1965)
TADPOLE MUSIC(1962) ヴィデオロン演奏:佐藤洋嗣
三島由紀夫の詩と黛敏郎の電子音楽(梵鐘の音素材)による
理髪師の衒学的欲望とフットボールの食慾の相関関係(1957)

ー16時20分頃ー終演予定ー

朗読:黛りんたろう、ヴィデオロン:佐藤洋嗣
企画構成:西耕一、電子音楽復元・音響操作:磯部英彬

プロフィール

黛敏郎 Toshiro MAYUZUMI

1929年(昭和4年)2月20日、横浜生まれ。
東京音楽学校(東京藝術大学)へ入学、池内友次郎、伊福部昭等に師事。1948年(昭和23年)に作曲した「ディヴェルティメント」により、才能を認められる。1950年(昭和25年)作曲の「スフェノグラム」は、翌年の国際現代音楽祭に入選、その名が内外に知られる。1951年(昭和26年)パリ・コンセルヴァトワールへ留学、トニー・オーバン等に学ぶ。フランスから帰国後、我が国で初めての電子音楽を手がけると共に「ミュージック・コンクレートの為の作品X・Y・Z」等を発表。1953年(昭和28年)芥川也寸志、團伊玖磨等と「3人の会」を結成。また、吉田秀和等と「二十世紀音楽研究所」を設立。雅楽・声明をはじめ、日本の伝統音楽にも造詣を深める一方、バレエ、オペラ、映画音楽とシンフォニックな大作を多数作曲。1964年(昭和39年)より、テレビ番組「題名のない音楽会」の企画、出演。東京藝術大学講師、茶道「裏千家淡交会」顧問、評議員。「日本作曲家協議会」会長、「日本著作権協会」会長などを歴任した。
1997年(平成9年)4月10日逝去。

佐藤洋嗣 Yoji SATO

高校時代はエレクトリック・ベースを演奏し、卒業後コントラバスの魅力に触れ、転向。2006年、東京音楽大学卒業。現在は室内楽、オーケストラ、アルゼンチン・タンゴなどを演奏し、ソロに於いてもコントラバスの新しい可能性を探りながら演奏している。京都・国際音楽学生フェスティバル、PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)、メキシコでのモレリア音楽祭など国内外の音楽祭に参加。アンサンブル・ノマド、シュテルン・クインテット、オルケスタ・ティピカ・パンパのメンバー。山野楽器講師。2011年度バンドジャーナル誌に於いてワンポイントレッスンを連載。2012年、東京オペラシティ・リサイタルホールでリサイタルを開催。2017年10月、世界初のヴィデオロン奏者として、山本和智の作品を初演。

西耕一 Koichi NISHI

日本の現代音楽評論と企画を専門とする。2004年より、日本作曲家専門レーベル・スリーシェルズにて、伊福部昭や3人の会(黛敏郎、團伊玖磨、芥川也寸志)を中心に演奏・CD化を行う。これまでにNHK 、東京藝術大学、日本作曲家協議会、日本現代音楽協会等、放送局や研究機関の依頼による企画協力や、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、東京バレエ団、新国立劇場等のプログラム冊子執筆で評価される。執筆雑誌は『音楽現代』、『音楽の友』、『邦楽ジャーナル』、『バンドジャーナル』、『New Composer』等。
近年の主な仕事として、セントラル愛知交響楽団による日本の管弦楽曲100周年企画選曲や東京フィルハーモニー交響楽団黛敏郎個展における論文のほか、『松村禎三 作曲家の言葉』(春秋社)や『黛敏郎の世界』(ヤマト文庫)の企画・編集、CD『松村禎三作品集』(Naxos Japan)解説などがある。

磯部英彬 Hideaki ISOBE

作曲家。メディアアーティスト。東京音楽大学非常勤講師。
1982年山梨県出身。作曲及び音響技術、コンピューター音楽を土屋雄氏に師事。コンピュータを中心とした作曲活動のほか様々な他の作曲家の電子作品のオペレーターを担当する。オペラ「RAMPO2011」(土屋雄ほか作曲)や、和光大学特殊音楽祭、2016年にAura-Jの演奏で渋谷で初演された山本和智の打楽器協奏曲、スリーシェルズの「黛敏郎個展」など幾多の公演で音響技術を務めた。スリーシェルズ所属。
http://isobehideaki.com/

黛りんたろう Rintaro MAYUZUMI

1953年東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒。NHK京都を経て、NHKドラマ部へ。現NHKエンタープライズ所属。
<主なドラマ作品>
大河ドラマ 「花の乱」「秀吉」「義経」
連続テレビ小説 「すずらん」
正月時代劇 「隠密秘帖」「雪の丞変化」「四千万歩の男」
シリーズドラマ10 「紙の月」「ツバキ文具店」
木曜時代劇 「鼠、江戸を疾る」「風の峠」「まんまこと」
BS時代劇 「大岡越前4」
時代劇専門チャンネル 「新・御宿かわせみ」
他、単発ドラマ、ドラマスペシャル多数。
<劇場用映画>
RAMPO 黛バージョン(松竹)
すずらん 少女萌の物語(松竹)
<舞台>  
天守物語(主演 松坂慶子)
蝉しぐれ(主演 岸惠子)
わたしのエディット(主演 松坂慶子)

関連url

黛敏郎フェイスブックページ
https://www.facebook.com/mayuzumitoshiro/



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株式会社スリーシェルズ
〒170-0013 東京都豊島区東池袋5-7-6-604
TEL:070-5464-5060
http://www.3s-cd.net/
メール jcacon@gmail.com






情報提供元: Dream News