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2017年7月6日(木)、日本に無数にある里山の活用を支援する「里山と生きる協会」を発足、同日18:15より牛込箪笥区民ホールにて記念イベント「里山志向の目覚めフォーラム」を開催いたしました。
イベント当日にはおよそ150名のお客様が来場し、「里山と生きる協会」発足の挨拶を皮切りに、第一部に事例紹介として、北海道上川郡東川町長 松岡市郎氏、株式会社銀の森コーポレーション 代表取締役会長 渡邉大作氏が登壇したほか、第二部では日本総合研究所 調査部主席研究員 藻谷浩介氏、石坂産業株式会社 代表取締役 石坂典子氏による記念講演、里山活用の実践者によるパネルディスカッションが行われました。
エンターテインメントな里山の活用事例を紹介
第一部では、里山をエンターテインメントに活用した北海道上川郡東川町、岐阜県恵那市 株式会社銀の森コーポレーションの事例紹介が行われました。
<写真文化首都>北海道上川郡東川町
「写真文化首都」を掲げ、写真の町として知られるようになった東川町の松岡市郎町長が登壇し、里山の活用事例として「写真甲子園(*1)」を紹介、その取り組みが話題を呼び映画化される「写真甲子園」の予告編が上映されました。「鉄道もない、国道もない、上水道もない町だが、東京ですら人口減になっているなか、この20年で東川町の人口は14-15%増え、日本でも稀に見る町となった。里山活用は地方創生に大きくつながる」と町で起きている変化を例に熱い思いを語りました。
<恵那 銀の森>株式会社銀の森コーポレーション
渡邉大作代表取締役会長が登壇、森の中の食のヴィレッジ「恵那 銀の森」開設の経緯と今後の展望についてを語りました。「銀の森のある恵那は名古屋から1時間くらいの土地ながら、山に囲まれたまさに里山といえる土地。ここにあった1万坪の土地に木を植えて森を作ろうという試みをした。もともとは(自社の)工場だけしかなかった場所を里山を活かした今の形に。」現在保有している14万坪の土地があり「今はゴルフ場になっているが、木を植え森にし山に返したい。」と今後さらなる里山を活用した新しい構想があることを語りました。
第一線のキーパーソンが語る里山の未来
第二部では、石坂典子氏、藻谷浩介氏による記念講演と里山活用のキーパーソンたちによるパネルディスカッションが行われました。
石坂産業株式会社 代表取締役 石坂典子氏
石坂産業株式会社は、生物多様性の森づくりを掲げ、東京ドーム3.8個分もの広大な土地を多様な生物が住む森に再生し、こどもたちが実際に自然に触れながら環境のことを学べる学習の場として解放しており、現在、年間の来場者数は3万人にものぼります。石坂典子氏による講演では、ゴミ屋、迷惑産業と言われていた産業廃棄物の会社がなぜ里山活用を考えたのか、そしてこの先どのようなビジョンを持って里山を活用していくのかについて思いを語りました。
日本総合研究所調査部 主席研究員 藻谷浩介氏
「日本の2/3は山。元来里山と生き続けている。すばらしい里山が全国にある。」と日本の里山の素晴らしさ、貴重さを語りました。著書でもある里山資本主義の思考をベースとして、里山とはなにか、里山の重要性についてを話したうえで「わたしたちはこれから”里山を活かす”のではなく、”里山と生きる”ことが重要」とメッセージを残しました。
パネルディスカッションでは、中島セイジ氏をモデレーターに、記念講演を行った藻谷浩介氏、石坂典子氏に加え、NPO法人南房総リパブリック理事長 馬場未織氏、有限会社尾藤農産 代表取締役 尾藤光一氏ら里山活用のキーパーソンが登壇し、それぞれの活動を紹介するとともに、今後の日本の里山活用について、里山の魅力、理想の里山スタイルについてを語り合いました。
登壇者コメント
- 藻谷浩介氏:「(登壇者)みなさんの里山活用事例はバラバラに見えるが目的は同じ。これから里山と生きていくには循環、再生が大事。」
- 石坂典子氏:「子供に自然と生きる環境を提供できることが素晴らしい里山の魅力。」
- 馬場未織氏:「里山にもある空き家問題に着目している。100件中14件が空き家と言われるこの時代の活用を考えている。」
- 尾藤光一氏:「農業を営む広大な敷地を活かして今後は野あそびができる場所を提供したい。」
イベントの最後には、里山と生きる協会会長の発表が行われ、石坂典子氏の会長就任を発表しました。石坂典子氏は「全国の里山を連携し、世界に向け里山という新時代をつくれないかと考えています。それぞれの里山を紹介し合い、つなぎあって日本が豊かになっていけるように。」と会長として今後の取り組みへの強い思いを宣言し、会場からは大きな拍手が巻き起こりました。
登壇者プロフィール
日本総合研究所 調査部主席研究員 藻谷浩介氏
米国NY市コロンビア大学経営大学院卒業。まちづくり、観光振興、産業振興、人口成熟問題などを専門に研究。2010年に出版した著書『デフレの正体』はベストセラーとなり、続く『里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く』も40万部以上のベストセラーとなった。
石坂産業株式会社 代表取締役 石坂典子氏
2002年に2代目社長に就任後、里山の保全活動や地域密着型の新事業を展開し、企業や環境にまつわる数々の賞を受賞。施設を環境教育の場として改善し、年に30,000を超える人々が訪れる。著書に『五感経営 産廃会社の娘、逆転を語る』(日経BP社)などがある。
NPO法人南房総リパブリック 理事長 馬場未織氏
2007年より家族とともに「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二拠点生活を開始。そうした暮らしの中で、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011 年に「南房総リパブリック」を設立し、2012 年に法人化。現在は代表理事を務める。
有限会社尾藤農産 代表取締役 尾藤光一氏
北海道十勝で農業を営む経営者。いい農業はいい土づくりからをキーフレーズに、化学的なアプローチから健康な土壌づくりに取り組んでいる。尾藤農産で生産した雪室(ゆきむろ)ジャガイモは、甘くておいしいと各所から評判で、東京の一流レストランでも扱われている。
北海道上川郡東川町長 松岡市郎氏
1951年生まれ。2003年東川町長に就任。雄大な大雪山系より流れる清流「忠別川」の美味しい水、澄んだ空気、肥沃な大地と美しい景観、恵まれた資源を最大限に活用し、新たな付加価値を創出しながら、写真文化首都「写真の町」東川町の地名度を生かしたプライムタウン(最高のまち)づくりに取り組む。
(株)銀の森コーポレーション代表取締役会長 渡邉大作氏
岐阜県の恵那で、森に囲まれたモノづくりの拠点をつくることをテーマに、自然の中でレストランやカフェでの食事やショッピングが楽しめる「銀の森」を作り上げる。自然エネルギーを使ったモノづくりを提唱し、メガソーラーを設置。将来的には100%の自給自足をめざしている。
中島セイジ氏(モデレーター)
株式会社クオーターバック ファウンダー。株式会社十勝里山デザイン研究所 代表取締役。経営デザイナー。現在、十勝・芽室町にて「MEMUROワインヴァレイ構想」を展開中。著書に『非効率な会社がうまくいく理由』(フォレスト出版)、『儲けないがいい』(アチーブメント出版)がある。
参考資料
*1:写真甲子園
東川町をはじめとした自治体などが主体となり取り組む里山の風景を活用したイベント。全国高等学校の写真部・サークルなどから、共同制作による作品(組写真)を募集し、作品審査及びプレゼンテーション審査により全国11ブロックから優秀校18校を選抜する大会。http://syakou.jp/
「里山と生きる協会」とは
全国の里山活用事例の共有を通して、里山を活かした未来型のライフスタイルやニュービジネスを生み出していく協会です。里山とは、ひとと自然が循環した生活で成立している地域のこと、と定義し、里山を取り入れた暮らしや社会づくりに共感する企業、自治体、街の人々をつなぎ「里山スタイル」定着のための広報活動やイベントを実施、里山の更なる活性化を目指します。そして、自分たちと、ずっとずっと未来の子孫のために、新しいワークスタイル、ライフスタイルのアイデアをすこしずつ創り出していきたいと考えています。URL http://satoyama.live/
<本件に関するお客様からのお問合せ先>
里山と生きる協会 事務局(株式会社クォーターバック内) 担当:石黒
Mail:info@q-b.co.jp TEL:03-5225-6601 FAX:03-5225-7505
<報道関係者からのお問合せ先>
里山と生きる協会 事務局 PR担当:寒河江(さがえ)
お問い合わせフォーム:https://goo.gl/forms/5tl12cbFCsKYg3C93
TEL:080-9666-6496