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経営コンサルティング会社A.T. カーニー(本部:米国イリノイ州シカゴ、東京オフィス:港区)は、3月21日に『化学産業におけるM&A調査』報告書を発表した。
本調査報告書(原題: Chemicals Executive M&A Report 2017)によれば、2017年、3,000億ドルを超える大規模な化学製品企業のM&Aが進行中であり、懸案中の4件の大型契約がその75%を占めている。これらの大型契約のそれぞれ(Dow社-Dupont社、Bayer社-Monsanto社、ChemChina社-Syngenta社、Praxair社-Linde社)が400~700億ドルの価値を持ち、過去10年に見られたどの単独契約よりも2~3倍の規模である。
本調査報告書の著者であり、A.T. カーニー(ミュンヘン)のパートナーDr. Joachim von Hoyningen-Hueneは、 「計画されている大型契約は、総合化学製品企業が各社のポートフォリオをより純粋なプレイモデルに移行させつつある広い傾向を浮き彫りにするものだ。この移行は投資家たちが、化学製品企業により高い多角性を与えることによって動機づけられたもので、さらなる市場のリーチ、能力、効率の恩恵を受けることへの探求である。Dow社とDupont社が合併後に3つの組織に分かれたように、多くの価値連鎖において化学製品企業は伝統的な複合企業モデルに対抗すべく、自社のポートフォリオに焦点を当ててきた。PPG社のAkzoNobel社との提携案も、一流企業が自身の価値連鎖の動きを変え、純粋なプレイモデルへ向かう流れを加速させるためにM&Aをどう活用しているかを示す有力事例の1つである」と述べている。
2016年に行われたすべての化学製品企業のM&A契約のうち、44%は中国と米国によるものである。中国企業による買収活動は着実に増加し、全契約の24%を占め、買収元の国の1位は中国となった。中国による化学製品企業M&Aは主に国内の企業合併(全世界取引契約のうち20%)と、欧米の技術先導者たちの獲得によって推進されている。
本調査に回答した化学製品企業の幹部のうち80%以上が、引き続く大規模国際M&Aを推進する主なものとして、先進技術やアプリケーション使用へのアクセスを挙げている。その一方で回答者の37%は今後のM&Aの伸びを妨げる可能性が最も高いのは経済的不安定さであると述べている。
本調査報告書の共著者であり、A.T. カーニー(ニューヨーク)のプリンシパルGuttorm Aaseは、「英国のEU離脱や米国の大統領選挙などの政治的動乱がもたらした新しいレベルの不確実性により、化学製品企業は今後12~24ヶ月のビジネス環境はどうなるのかという難しい質問に直面している。こうした不確実性はあるものの、より多くの化学製品企業価値連鎖のさらなる合併と共に、ファンダメンタルズは来たる年、引き続く大規模化学製品企業M&A活動を支持している」と結論づけている。
※ 2017年3月21日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です。
調査報告の原文(英語)お申込みはこちら
https://www.atkearney.com/chemicals/chemicals-executive-m-a-report/2017
【この件に関するお問合せ先】
A.T. カーニー株式会社 JP.inquiry@atkearney.com