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2016年11月21日
欧州製薬団体連合会 会長 カーステン・ブルン
米国研究製薬工業協会 在日執行委員会委員長 パトリック・ジョンソン
緊急薬価改定について
欧州製薬団体連合会(EFPIA)及び米国研究製薬工業協会(PhRMA)は、日本における最近の薬価に関する動向がイノベーションを評価する方向から外れてきていると感じており、日本の医薬品をめぐる制度に安定性と予見可能性を取り戻すために私ども業界団体も日本政府と共同して取り組むことを提案します。
EFPIA及びPhRMAは、日本の薬価制度の安定性と予見可能性が低下を続けていることを懸念しています。製薬業界は日本に安定した医療システムを確保することに貢献すべく努力しており、イノベーションが適切に評価されることがきわめて重要だと考えています。そうしてこそ、生命を救う最先端の医薬品を日本の患者さんが常に他国に遅れることなく使用でき、同時に日本に研究開発投資を呼び込み、製薬産業が日本経済をけん引する存在となることが可能になります。
具体的に言えば、
・日本政府が特定の医薬品について通常の薬価改定時ではないタイミングで大幅な薬価引き下げを実施したことに私どもは大変驚いています。短期間に度重なる突然の政策変更が行われ、結果として日本における将来の新薬の研究開発に深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。日本政府の財政問題については十分認識していますが、十分な周知や通知の期間をおくことなく一つ、あるいは少数の医薬品(特例再算定の場合)を対象として短期間に薬価制度を変更することは、ルールに則った制度に対する信頼を損なうものです。日本政府には産業界とパートナーシップを組んで長期的に持続可能な制度を共同して検討することが望まれます。政府は産業界とともに関係するすべての方々のために安定性と予見可能性を取り戻すための議論を包括的に行うべきであると考えます。
・両団体は最適使用ガイドラインの適用についても、コスト削減だけを理由に償還制度を科学的決定から大きく乖離させる恐れがあるものと懸念しています。厚生労働省はこのガイドラインは患者さんが新たな医薬品を使用する時期を遅らせることにはならないと繰り返し説明しています。しかし、最近の状況を見ていると、説明どおりにならないリスクがあると懸念されます。両団体は、ガイドライン適用によって患者さんの医薬品使用に遅れを生じさせないことが最優先であると厚生労働省が確認することを求めます。
・さらに、最近の中央社会保険医療協議会での議論の中では、将来の医薬品の承認において、日本の患者さんへのベネフィットよりも医薬品の経済財政的要素を重視することを懸念させるような提案もあります。これについても、今後とも、医薬品の承認は経済財政的要素と切り離された形で、臨床試験と科学的な観点に基づいて行われることを厚生労働省が確認することを求めます。
過去数年間、イノベーションを後押ししてきた日本の薬価をめぐる環境は、日本の患者さんや社会だけでなく、政府、また産業にとっても効率的によい方向に機能してきました。例外的な事例は薬価制度を変更すべきとの議論を呼んでいますが、薬価制度は現在も有効に機能しています。日本の患者さんに貢献する医薬品のイノベーションを継続するために、日本政府、産業界、そして多くの関係者が一緒になって長期的な解決策を考える必要があります。両団体はその努力に貢献する用意があり、貢献することを強く願っています。
●米国研究製薬工業協会(PhRMA)
PhRMA は、米国で事業を行なっている主要な研究開発志向型製薬企業とバイオテクノロジ―企業を代表す る団体です。加盟企業は新薬の発見・開発を通じて、患者さんがより長く、より健全で活動的に暮らせるよう、 先頭に立って新しい治療法を探求しています。加盟企業の新薬研究開発に対する投資額は、2000年からの 累計では 6000 億ドル以上に達し、2015 年単独でも推定で 588 億ドルになりました。
●米国研究製薬工業協会(PhRMA)日本オフィス
PhRMA日本オフィスは、米国PhRMAの会員である研究開発志向の製薬企業の日本法人で構成されており、 画期的新薬が開発できる環境や患者さん中心の医療制度の確立に向けて25年以上に渡って活動を続けています。加盟企業は、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社、アッヴィ合同会社、MSD 株式会社、セルジーン株式会社、日本イーライリリー株式会社、バイオジェン・ジャパン株式会社、ファイザー株式会社、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社、ムンディファーマ株式会社、ヤンセンファーマ株式会社(五十音 順)の10社です。
●欧州製薬団体連合会(EFPIA)
ベルギーの首都ブリュッセルに本部を置く EFPIAは、欧州で事業を展開する製薬業界の団体です。 EFPIAに直接加盟する国の団体は33団体、主要な医薬品企業は42社ですが、EFPIA は世界中の人々 のクオリティ・オブ・ライフを改善する新薬の開発・提供に専念する1,900社の声も代弁しています。 詳細については下記URL をご参照ください。
●欧州製薬団体連合会(EFPIA) Japan
2002年4月に設立されたEFPIA Japanには、日本で事業展開している欧州の研究開発志向の製薬企業24社が加盟しています。2015年の加盟各社の総売上高は、日本の製薬市場の売上の約24%を占め ています。EFPIA Japan の使命は、“革新的な医薬品・ワクチンの早期導入を通じて、日本の医療と患者 さんに貢献する”ことです。EFPIAは常に“患者さん優先”に注力することで日本の医療向上に向けて政策決定者との対話を強化することを期待しています。
・PhRMA日本オフィスホームページ [http://www.phrma-jp.org]
・PhRMAホームページ[http://www.phrma.org]
・PhRMA日本オフィスFacebook [https://www.facebook.com/phrmajapanoffice]
・EFPIA JAPAN ホームページ [http://efpia.jp/index.html]
・EFPIA ホームページ [http://www.efpia.eu]
【本件に関するお問い合わせ】
米国研究製薬工業協会(PhRMA)広報事務局
(株式会社ジャパン・カウンセラーズ内)
TEL:03-3291-0118
FAX:03-3291-0223
E-mail:phrma_pr@jc-inc.co.jp
<English>
21 November, 2016
EFPIA and PhRMA Regret the Continued Moves Away from a Pro-innovation Policy Environmentand Call for a Partnership with Government to Restore Stability and Predictability in the Japanese Pharmaceutical Market
Carsten Brunn
Chairman, EFPIA Japan
Patrik Jonsson
Chairman, Japan Based Executive Committee, PhRMA
EFPIA and PhRMA regret the continued deterioration in the stability and predictability of the Japanese pharmaceutical pricing environment. The industry shares the goal of ensuring the long-term sustainability of the national healthcare system, but also believes stronger emphasis must be put on providing adequate reward for innovation to ensure that Japanese patients continue to have early access to cutting edge life-saving medicines, to attract further investment in Japan, and to allow this sector to reach its potential as a growth engine of the Japanese economy.In particular:
・The two associations regret the decision of the Japanese government to impose a large out-of-cycle price cut on one specific drug. This is another sudden policy change and has serious implications on future R&D and innovation in Japan. While recognizing the budget pressures that the Japanese government faces, changing the pricing rules at short notice to deal with a single product or a small number of products (as happened with the Special Repricing) undermines faith in the rules-based system. A better approach would be for government to form a partnership with the industry aimed at finding sustainablelong-term joint solutions. In this partnership, government and industry should engage in comprehensive discussions aimed at restoring stability and predictability for all stakeholders.
・EFPIA and PhRMA are also both concerned about the practical introduction of a newoptimal use guidelinessystem which may cause reimbursement to diverge from label just for cost reasons. The MHLW has been clear throughout that the introduction of such guidelines will not delay patient access to new medicines. Recent developments raise the risk that this may not be the case. The two associations therefore call on MHLW to confirm that the principle of no delay to patient access from these guidelines remains a key priority.
・Recent discussions at the Central Social Insurance Medical Council raise concerns that economic factors,rather than the good of Japanese patients,mightdrive future product approval decisions. The two associations therefore call on MHLW to confirm that clinical and scientific decisions will continue to be keptseparate from economic decisions.
In recent years, the Japanese pro-innovation pharmaceutical pricing environment has worked efficiently to the benefit of patients/society, government and the industry. Exceptional cases have raised questions about reform of the pricing system, but it continues to function well. The government, the industry, and other stakeholders should work in partnership to find long-term solutions that will maintain a system that supports continued innovation for the benefit of patients in Japan. EFPIA and PhRMA are ready and willing to contribute to such a partnership.
・EFPIA JAPAN Website [http://efpia.jp/index.html]
・EFPIA Website [http://www.efpia.eu/]
・PhRMA Tokyo Office Website [http://www.phrma-jp.org]
・PhRMA Website[http://www.phrma.org]
・PhRMA Facebook [https://www.facebook.com/phrmajapanoffice]