米国連邦裁判所、RokuによるAccess Advanceに対する訴訟を却下、グローバルな特許プール料率の設定を否定

マサチューセッツ州ボストン--(BUSINESS WIRE)--（ビジネスワイヤ） --Access Advance LLCは本日、米国マサチューセッツ地区連邦裁判所が、HEVC Advance特許プールのグローバルな公正、合理的かつ非差別的（FRAND）実施料率を設定するよう求めていたRoku Inc.による訴訟を却下したことを発表しました。リチャード・G・スターンズ判事は、“米国特許は、大きなポートフォリオのほんの一部しか構成していない”と指摘し、当裁判所はグローバルなFRAND料率を“決定するための裁判管轄権を有さない”と判示しました。裁判所はさらに“適切な実施料率に対する意見は、単なる勧告に過ぎず”、米国法の下で禁止されている、と結論しました。

裁判所は司法介入の制限を強化

2024年12月、 RokuはAccess Advance LLCを、特許プールライセンサーであるDolby Laboratories Inc.およびSun Patent Trustとともにマサチューセッツ地区において提訴し、被告がRokuに対し提示したグローバルな特許ポートフォリオに関する３つの個別ライセンス - 数十の訴訟非当事者が保有する27,500件を超えかつ117の異なる国及び地域において発効する特許を包含するHEVC Advance特許プールを含む – がFRANDであるか否か、そしてもしFRANDでないのであればグローバルなFRAND料率を設定する司法判断を求めていました。Rokuのマサチューセッツ州の訴状は、ドイツの欧州統一特許裁判所（UPC）において、同じライセンサーが関与する3件の訴訟で既に数カ月間係属中である問題を改めて提起するものでした。Rokuはマサチューセッツ地区連邦裁判所からセカンドオピニオンを求めることで、これら同じ問題に対するUPCの決定を回避しようとし、複数の裁判地で同じまたは類似の紛争に対処するためのフォーラムショップを行い、またライセンス条件に対する意見をマサチューセッツ地区連邦裁判所から取得しようと試みるものでした。

却下決定においてStearns判事は、Rokuが要求するグローバルなFRAND料率を設定する裁判管轄権を当裁判所が有していないと判断しています。この決定はマサチューセッツ州の訴訟とヨーロッパで進行中のUPC訴訟間に生じうるいかなる矛盾をも効果的に排除するものです。

産業界への戦略的意味

本却下決定は、法の支配が重要であること、そして訴訟は誠実なライセンス交渉を回避するためのツールではないということを潜在的なライセンシーに示すものです。特許は属地的なものであり、交渉の代わりに訴訟非当事者が保有する特許についてグローバルFRAND料率を一方的に設定するための手段として米国裁判所を利用することはできないという考えを強調するものです。

“この判決は、グローバルな特許ライセンスの複雑さについて長年理解してきたことを確認する重要な決定である。100カ国以上に存在しかつ訴訟当事者ではない数十の特許権者が関わる特許ポートフォリオを扱うにあたり、裁判管轄権の問題を慎重に検討いただいた裁判所に対し感謝します” とAccess Advanceの最高法務責任者であるJohn Kinton氏は述べています。

本Roku決定は、英国で係属中の訴訟におけるこれまでの決定と一致しており、英国特許を保有しないAvanci特許プールに対してグローバルなFRAND料率の取得を試みたテスラ社の主張を退けた英国特許裁判所判決を支持する英国控訴審の決定に対し、テスラ社は控訴中です。

この決定は、当事者による合意がない限り、国内裁判所がグローバルなFRAND料率を設定することに消極的であるという増加しつつあるケースに追加されるものです。これにより、標準必須特許ライセンスの安定性が維持され、SEPプールライセンス交渉への誠実な参加を促進することが期待されます。

Access Advanceについて：Access Advance LLCは、最も重要なビデオコーデック技術の必須特許のライセンス取得のための特許プールの開発、運営および管理を主導するために設立された独立系ライセンスアドミニストレータです。Access Advanceは、特許権者と特許実施者の双方に透明で効率的なライセンスメカニズムを提供します。

Access Advanceは、H.265/HEVC技術に必要不可欠な27,500件を超える特許のライセンス取得のためのHEVC Advance特許プール、およびVVC/H.266技術に必要不可欠な特許のライセンス取得のためのVVC Advance特許プールを運営・管理しています。同社のマルチコーデックブリッジ契約は、HEVC AdvanceとVVC Advanceの両プールに参加する適格ライセンシーに対して、単一の割引されたロイヤルティレート体系を提供します。さらにAccess Advanceは、HEVC、VVC、VP9、AV1コーデックをカバーするビデオストリーミングサービスの包括的なライセンスソリューションであるVDPプールを提供しています。詳細については、www.accessadvance.comを参照ください。

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