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OECDの「高リスク・セクターにおける違法取引」レポートと同様に、この調査では、合法アルコール飲料と違法アルコール飲料の間に大きな価格差があることが最大の要因の1つであることが示されました。消費者は、合法アルコール飲料を購入しにくくなると、安価な違法アルコール飲料に手を出すことになります。このような違法アルコール飲料は非常に危険で命を失う可能性があります。違法アルコール市場がもたらす深刻な結果は、この2カ月間にもペルーとエクアドルで確認されており、両国では60人以上の死亡が違法アルコールの摂取によるものとして報告されています。また、この調査では、犯罪者が違法アルコールの生産や密売に関わる誘因を減らすような税制と規制政策を介して世界各国が違法アルコールの取引にどのように対処してきたかを調査しました。この調査から、以下の5つの重要な発見がありました。
インターナショナル・タックス・アンド・インベストメント・センターのダン・ウィット代表は、次のように述べています。「急激な増税は違法アルコール市場の活性化と強い関連性があり、これは最近のOECDの調査結果やユーロモニターでも支持されています。このコストは消費者に転嫁され、合法アルコールと違法アルコールの価格差が拡大します。増税が消費者の購買力を上回ると、違法な生産が活発になり、危険な製品が市場に出回り、財政収入が減少します。」
コロンビアの事例では、大きな価格差が違法アルコールへの需要を促し、違法な飲料を購入することに対する社会的な受容性が高まることを示しています。1つには価格の設定により、コロンビアで消費されるエタノール総量の22.8%以上が違法なものとなっており、その額は15億米ドル以上で、財政損失は6億7800万米ドルに上っています。また、ドミニカ共和国の違法アルコールの市場シェアは33%です。これは個人に対する危険性を示しており、同国ではこの3年で500人以上が死亡しています。
ウィット代表は次のように述べています。「アルコールに過度に課税すると犯罪が助長され、不可欠な行政サービスを支える税金を収めている合法的な国内産業に損害を与えることは明らかです。ここで重要なのは、賢明な課税です。今回の調査結果は、違法市場を理解して的を絞った調整の取れた酒税政策を策定することで、違法アルコールそのものを減少させ、政府の税徴収を増やし、公共安全を高め、酒造会社にとって公平な競争条件が生まれるという考えを裏付けています。つまり、これは政府が財政的損失を減らし、さらに重要なこととして、不必要であり予防可能な死亡や怪我を防止する上で重要な方法なのです。」
World Customs Journalの最新版(第16巻、第2号、2022年9月)に掲載された学術論文全文は、現在、International Network of Customs Universities(INCU)の会員に公開されています。
ITICについて
インターナショナル・タックス・アンド・インベストメント・センター(ITIC)は、1993年に設立された独立系非営利研究教育機関であり、税制改革と官民イニシアチブを推進し、移行国と途上国の投資環境の改善に努めています。ITICは、税制と投資政策のベストプラクティスに関する情報センターとしての役割を担っています。ITICは、企業と政府間の相互理解と信頼を促進することで、非OECD諸国の経済成長を促進する税制、貿易、投資政策を推奨しています。
原文はbusinesswire.comでご覧ください:https://www.businesswire.com/news/home/20221129005010/en/
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