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東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- キリンホールディングス株式会社(東証:2503)(社長 磯崎功典)は、3月3日、東京にてインベスターデイを開催し、キリングループの持続的成長に向けて、資本市場との相互理解を深めました。
当社、並びに主力事業会社の社長が登壇し、 KV 2027 (長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」) を着実に実行することが、株主、お客様、従業員をはじめ、全てのステークホルダーにとって持続的な価値を創造する最善の道であるとの認識の下、それぞれの事業の取り組みの詳細について説明しました。
当日のプレゼンテーションの模様や資料は、当社のウェブサイトにて公開中です。
https://www.kirinholdings.co.jp/irinfo/library/event/
インベスターデイにてお伝えした要点は以下の通りです。
発酵・バイオ技術をコアコンピタンスに、持続的成長による価値創造を目指すKV 2027
当社の取締役会および経営陣は、KV 2027 を着実に実行することが、株主、お客様、従業員をはじめ、全てのステークホルダーに対し、持続的な価値を創造する最善の道であると確信しています。
この戦略は、キリングループが創業以来磨いてきた発酵・バイオ技術をコアコンピタンスとして成長してきたことと一貫性があり、社会課題や経営環境の変化を踏まえ、21世紀における成長を加速させるものです。
キリングループは、100年以上前にビール事業から創業して以来、発酵・バイオ技術を磨き、マーケティング力を強化し「食領域」で成長してきました。さらに、約40年前には、この発酵・バイオ技術を駆使し、「医領域」に参入しました。
医薬事業の立ち上げ時のパートナーであり、今や世界有数のバイオ医薬品企業となった米国アムジェン社の元CEOゴードン・バインダー氏は、パートナーシップを組む際のキリンの印象について、のちに以下のように述べています。
「キリンには優れた発酵技術があり、R&Dの重要性も理解していた。ほとんどのビールメーカーにとって醸造は芸術だが、キリンだけは科学を取り入れていた。」
出典:「世界最高のバイオテク企業」、ゴードン・バインダー著、フィリップ・バシェ共著、山﨑勝永訳、日経BP社
“Science Lessons”, by Gordon Binder, Philip Bashe, Harvard Business Review Press, 2008
こうして、低分子医薬品が主力だった時代に、バイオ医薬品でオーガニックに参入した医薬事業は、キリンが研究開発をスタートしたCrysvita(くる病などの治療薬)を始めとするグローバル戦略品が牽引し、今やグローバルで飛躍のステージに入っています。
そして、KV2027においては、グローバルにおける酒類市場の構造的な課題や、健康志向の高まりといった社会的動向に対応し、今まで磨いてきたキリングループの資産である発酵・バイオ技術を駆使し、「ヘルスサイエンス領域」に取り組みます。
当社のこれまでの中核事業である「食領域」と「医領域」の間には、疾病の手前の「未病」の領域があり、日本はもとより、世界でも大きく注目されております。
この「未病」の領域や健康意識、スポーツなどの特別ニーズを対象とする「ヘルスサイエンス領域」を新たな成長軸として育成することは、健康に関するさまざまな社会課題の解決につながり、世界のCSV先進企業を目指すキリングループの持続的な成長に大きく貢献します。
この取り組みは、強みである発酵・バイオ技術と、「食領域」と「医領域」において強い事業基盤を持つキリングループだからこそ実現できるものです。
KV2027では、食領域、医領域、ヘルスサイエンス領域が、相互にシナジーを発揮しながら成長することで、連結事業利益の年平均成長率4~6%を目指します。
なお、このKV2027を遂行する当社の経営陣は、戦略を実行するための適切な能力を備えていると確信しています。2015年3月に磯崎功典が社長に就任して以降、KV2015をはじめ、それまでの経営戦略について徹底した検証を行い、聖域なきグループの構造改革を進めてきました。食領域においては、中核のビール事業で、国内収益基盤の強化・拡大や、将来の成長に向けたミャンマー・ブルワリー社への資本参加を行うとともに、国内清涼飲料事業の再生を果たしました。中長期の成長に向けた戦略投資を行う一方で、低収益事業の再編も進めてきました。また、医領域でも協和キリンがグローバル戦略3品を上市して成長を加速しています。
その結果、当社は2016年-2018年中期経営計画の定量目標であるROE、平準化EPS、連結事業利益など全てを達成しました。そして、磯崎の社長就任以降(2015年~2019年)におけるTSR(Total Shareholder Return: 株主総利回り)は、国内の競合はもとより、海外の同業を上回って推移しています。
■ 食領域の取り組み
キリンビールの改革
2027年までに事業利益率25%(酒税抜き売上収益比)を目指し、強固なブランド体系の構築と、新たな成長エンジンの育成を図っていきます。ビール類では、将来の酒税一本化により、ブランドの淘汰が見込まれるため、注力ブランドを選定し、10年後も愛されるブランドを育成していきます。また、新たな成長エンジンとして、クラフトビールやノンアルコール飲料、国産ウイスキーにも注力します。
■ 医領域の取り組み
協和キリンのグローバル・スペシャリティファーマ※への飛躍
協和キリンは、キリンファーマと協和発酵という、ともに発酵・バイオ技術に強みをもち、オーガニックで成長してきた企業が2008年に経営統合して誕生しました。統合後は、その勢いを加速させ、最先端のバイオ医薬技術を駆使した革新的な医薬品を継続的に開発することで、グローバル・スペシャリティファーマへの道を歩んでいます。※強みのある疾患や技術領域にしぼって、グローバルに医薬事業を展開し、その価値を提供することを目指した概念です。
バイオ技術の強みを活かしたグローバル戦略品の貢献もあり、2019年の協和キリンの業績は、売上収益、事業利益ともに大きく増加し、 2020年も増収増益を計画しています。
そのようなオーガニックの成長に加え、昨今顕在化する未病ケア・先制医療予防、個別化医療など、キリングループが取り組む一歩進んだ切り口の次世代型ヘルスケアの領域にも貢献していきます。
既に2016年から、協和キリンが得意とする脳、腎、免役・腸などにおけるアンメットニーズをターゲットとした基礎研究を、キリングループ共同で進めています。
なお、協和キリンは、コア営業利益1,000億円以上を2020年代早期に実現することを目指しています。
■ ヘルスサイエンス領域の取り組み
協和発酵バイオの再生と価値向上
協和発酵バイオは高度な発酵技術により、高品質な商品を大量に低価格で提供することができる世界でも有数のバイオテクノロジー企業です。外科領域で広く使用されている輸液用アミノ酸の世界第1位のサプライヤーであり、日本、欧州、米国で大きなシェアを占めています。また、医薬用ビタミン用途のFAD、めまい薬原料のATP、フェニルケトン尿症幼児用食品原料のリジングルタミン酸塩など、多くの医薬品・乳児用栄養補給食品原料を日本で唯一供給しています。
現在、2019年8月に確認された製造手順の問題に対処するため、キリングループの生産・技術部門が総力をあげ、関係機関とも協議をしながら、製造体制強化を図っており、2021年までに再生を果たします。
同時に、ヒトミルクオリゴ糖など協和発酵バイオが保有する複数の高機能素材のパイプラインを充実させ、新たな価値を創造することで、経済的価値を創出していきます。
2024年には、利益率の改善により事業利益95億円を、さらに2027年には、高機能材料のパイプライン拡充により事業利益150億円を見込みます。
ファンケルとのシナジー創出
キリングループとファンケルは、バリューチェーン全体においてシナジーを大きく創出できると考えており、今回の資本業務提携により当社に発現する事業利益は、2024年に約55 億円から 70億円を見込んでいます。一方で、ファンケルに発現する事業利益は2024年に追加で20億円を見込んでいます。これらのシナジーは、研究開発、商品開発、販売チャネルの相互活用や、効率化によるコスト削減から生まれます。
2020年秋以降は、キリンビールやキリンビバレッジなどを通じた飲料商品や、キリンの素材を使ったサプリメントを発売予定で、スピード感をもってシナジー創出を進めています。ファンケルがキリングループに加わったことで、商品開発や販売チャネルが充実し、主にヘルスサイエンス領域において、大きな飛躍を実現できると確信しています。
以上の取り組みなどにより、ヘルスサイエンス領域からの事業利益貢献は2024年に150から180億円を見込みます。
■ 株主還元の充実
当社は、安定的な配当、戦略的な成長投資、自己株式取得による株主還元の順でキャッシュ・アロケーションを行っています。
配当性向については、従来の平準化EPSの30%以上を、2019年中計からは40%以上に引き上げました。上場以来減配なしで配当金を増やしてきておりますが、今後も安定配当による株主還元の充実を目指します。自己株式取得については2018年に約1,000億円を実施し、2019年11月には、さらに上限1,000億円の実施を決議し、現在実行中です。短期間において、2,000億円の自己株式取得を決定し、株主還元を充実させています。
なお、過去の実績にも見て取れるよう、資産売却や成長投資の実施状況を勘案した上で、追加的株主還元も検討してまいります。
Independent Franchise Partners による主張と、当社の認識の相違について
Independent Franchise Partners (FP)が、Webサイトや、各種メディアで主張する以下の点については、当社の認識と異なりますので、改めてお伝えします。
① KV2027は、KV2015(2006年に公表した2015年までの長期経営構想)の繰り返しではないかとする主張
② 新しい取締役会が、KV2027の戦略の検証を実施する機会が与えられていないとする主張
③ 独立社外取締役を過半数とする新しい取締役会について、FPの意見を当社が取り入れたとする主張
① について
当社は、KV2015をはじめとするこれまでの経営戦略について十分な検証を行うとともに、KV2027の実行にあたっては、以下を徹底することをインベスターデイで表明しています。
② ③について
当社の指名・報酬諮問委員会(社外取締役が委員長、かつ過半数が社外取締役)では、毎年、取締役会の実効性評価結果なども踏まえ、取締役会の構成、並びに取締役に必要とされる知識、経験、能力、見識などを基準に、多様性の観点も踏まえ、取締役候補者の絞り込み、面接、選出などを一定の期間をかけて厳正に行っています。
従って、こうした手続きは、FPの提案よりも以前から行われています。
また、FPの主張とは異なり、指名・報酬諮問委員会も取締役会も、取締役候補者に対して、会社の現在の戦略に同意することを必要条件とはしておりません。当社の取締役および取締役候補者は、会社の戦略や資源配分などの重要な事項について、独立した視点を持ち、株主の利益に反する方針に異議を唱えることに責任があることを認識しています。さらに、当社取締役会は、当社の戦略が、中長期的な株主価値向上への最善の道であるかについて、定期的に評価し、また、評価において、各取締役が忌憚なく充分な意見が述べられるようにしています。
新たな取締役会においても、独立した厳格なプロセスが継続されることに大きな期待を寄せています。
今回、独立社外取締役候補者を新たに4名追加し、再任候補者3名と合わせ、独立社外取締役は合計7名となり、社内取締役候補者5名を含めた全12名のうち、58%が完全に独立した取締役となります。
これはTOPIX構成会社の監査役会設置会社の平均値である28%の2倍以上にもなります。さらに、外国人が17%、女性も17%となります。これは、TOPIX構成会社の監査役会設置会社平均がそれぞれ1%と6%であることと比べても大きなアドバンテージです。
なお、社外取締役候補者は、当社が上場する東京証券取引所が定める独立性基準を満たしています。
今後も、取締役会の改革に継続的に取り組み、当社は日本におけるコーポレート・ガバナンスのリーディングカンパニーを目指します。
高い専門性と高いスキルを発揮する当社推薦の社外取締役候補
当社が新たに推薦する社外取締役候補者は、事業の成功に不可欠な分野において豊富な経験と、客観的視野を有しています。
当社は株主の皆様との対話を歓迎し、株主の皆様からの意見を尊重します。
この方針に沿い、当社の役員・経営陣はFPとの対話を重ね、また当社の指名・報酬諮問委員会は、会社推薦の候補者と同様にFPが推薦する取締役候補者と面接し、十分な議論を行いました。
しかしながら、FP推薦の取締役候補者については、社外取締役として当社の企業価値向上に貢献するための準備や姿勢が不十分であると判断しました。
それらも踏まえ、当社提案の取締役およびその候補者が備えている深い専門性と多様なバックグラウンドにより、取締役会はFPが推薦する取締役候補者を選任する必要はないと判断しております。
資本市場とのコミュニケーション資料を公開
資本市場とのコミュニケーションのための参考資料を以下リンクに公開致しました。ご参照下さい。
https://www.kirinholdings.co.jp/irinfo/library/explain/20200309/presentation_material.pdf
当社は今後も株主との対話を継続し、企業価値向上に努めてまいります。
(本件お問い合わせ先)
キリンホールディングス株式会社
コーポレートコミュニケーション部
兵頭俊昭
TEL 03-6837-7028