ロコモ・メタボ該当率


ロコモから見たメタボ


『ロコミル』実施内容


ロコミル導入後の期待効果

大磯町(神奈川県中郡、町長:中崎久雄)、東海大学(所在地:神奈川県平塚市、体育学部生涯スポーツ学科教授:中村豊)、医療機器・材料メーカーのアルケア株式会社(本社:東京都墨田区、代表取締役社長:鈴木輝重)の三者は、大磯町にて実施される特定健康診査(以下、特定健診)の集団健診の場を活用し、参加者の運動器機能評価としてロコモティブシンドローム(以下、ロコモ※1)を診る『ロコミル』を2015年7月より開始しました。



(*) 大磯町 町長の「崎」の字は、「たつさき(旁の上部が“立”)」です。



この『ロコミル』は町の集団健診の場を活用し、要介護などの原因の1位である「運動器の障害」について評価を行うものです。2015年度に『ロコミル』を受けた町民513名(男性:210名、女性:303名/平均年齢:66.5±7.7歳)の結果をお知らせします(※2)。





1. メタボリックシンドローム(以下、メタボ※3)該当者は全体の約2割、ロコモは約6割が該当(※4)

2. ロコモとメタボに関連性あり!メタボ該当者のうち約7割(※5)がロコモに該当

3. 特定健診と同様にロコモ健診の必要性は高い

4. ロコモとメタボ、改善方法に共通点。それは“理解して運動”すること



(※1)2007年日本整形外科学会が提唱。運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態のことで、進行すると介護が必要になるリスクが高まる。

(※2)2015年大磯町で実施された特定健診を受診され、研究に同意し運動器機能評価に参加された513名のデータ結果より。

(※3)日本肥満学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会など8学会が2005年に合同で公表した基準。内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・脂質代謝異常の3つのうち2つ以上重なった状態をいう。

(※4)メタボ該当者:107名/513名 20.9%、ロコモ該当者:301名/513名 58.7%(小数点第二位四捨五入)

(※5)メタボ該当者のうちロコモ該当者:77名/107名 72.0%(小数点第二位四捨五入)





1. メタボ該当者は全体の約2割、ロコモは約6割も!

[ロコモ・メタボ該当者]

https://www.atpress.ne.jp/releases/94476/img_94476_1.jpg



2015年度の集団健診を受けられた方(513名)のうち、約2割の方がメタボに該当(107名、20.9%)しました。ロコモに該当した方はそれをはるかに上回り、約6割が該当しました(301名、58.7%)。





2-1. メタボとロコモに関連あり!メタボ該当者のうち約7割がロコモに該当

メタボ該当者からみたロコモでは、その約7割がロコモにも該当していました。メタボ対策(保健指導など)の際に、ロコモ対策の視点もあわせて持つことで、より良い改善アプローチを実施できると考えられます。



2-2. ロコモ該当者の4人に1人がメタボ

[ロコモからみたメタボ]

https://www.atpress.ne.jp/releases/94476/img_94476_2.jpg



2015年度の集団健診でロコモに該当しなかった方(212名)のうち、メタボに該当した方は14.2%(30名)でした。一方、ロコモに該当した方(301名)の中で、メタボに該当した方は25.6%(77名)おり、ロコモ該当者からみたメタボでは、その4分の1の方がメタボと重複して該当していました。





3. 特定健診と同様にロコモ健診の必要性は高い

今回の大磯町における513名の結果では、ロコモ該当者は約6割となりメタボよりもはるかに該当率が高く、ロコモ・メタボの関連も明らかになりました。2008年より特定健診が義務化され、国民のメタボ認知度や健康意識が向上し、肥満予防に一定の効果を示しました(※6)。

一方で、要介護などの原因の1位である「運動器の障害」について評価に関連する「高齢化に伴うロコモリスク」に対応した社会的な仕組みは確立されていないのが現状です。また、メタボ該当者のうち約7割がロコモにも該当しており、メタボ対策(保健指導など)としての運動をより安全に行うためにも、今回の『ロコミル』の様に特定健診と共に、ロコモ健診で運動機能を“見える化”し、個々の状態に合わせた運動処方を行うことは有用であると考えられます。



(※6)厚生労働省 平成25年「国民健康・栄養調査」の結果より。



[『ロコミル』実施内容]

https://www.atpress.ne.jp/releases/94476/img_94476_3.jpg





4. ロコモとメタボ、改善方法に共通点。それは“理解して運動”すること!

大磯町では今回の『ロコミル』でロコモリスクが高いと判明した方に、下肢の運動機能に特化した運動プログラム「おおいそアンチロコモ教室」への参加を促しています(※7)。集団健診・保健指導でメタボの見える化から予防・改善の仕組みがありますが、ロコモに関しても同様に“見える化・予防・改善”が必要です。

2015年夏から始まった「おおいそアンチロコモ教室」では、2014年度にロコモの改善が認められた下肢特化型運動プログラムを更に進化させ、個々の運動機能の状態に合わせた4つの運動レベルでプログラム(※8)を展開しています(期間:2015年9月~2016年3月)。

同教室では運動方法の指導に加え、健康講話で正しい情報を提供し、“知識に基づき納得して取組める”プログラムを提供しています。ロコモもメタボも主な改善方法の1つは“運動”です。数値化による自身の状態把握と講話による知識の提供が、“理解して運動”を続けることに繋がり、それがロコモに対してはもちろんメタボに対しても良い効果を生むことと期待しています。またその後の医療費の削減効果など、今後も継続して検証を行っていきます。



(※7)2015年度「おおいそアンチロコモ教室」は9~3月に実施する計画であったため、2015年7月11日・18日・31日に『ロコミル』を受け、ロコモリスクの高い方をメインに教室案内を実施。教室参加への案内基準は、『ロコミル』で実施したロコモ度テストでの該当者および、下肢筋力測定での独自の基準に該当した方。

(※8)2014年度に実績のある下肢特化型体操(いけいけ体操)を基にし、個々の運動機能の程度に合わせ、負荷を増減するなど応用を加えプログラムを提供。





■従来の集団健診とロコミル導入後の違い

メタボ対策としての保健指導では、特定健診の結果から生活習慣病発症リスクが高い方に対して、生活習慣(栄養・運動・喫煙など)を見直すサポートが実施されています。特定健診に『ロコミル』を導入すると、保健指導の際に運動器の情報も加わり、より個人にあった具体的な運動メニューなどのアドバイスも可能となると考えられます。



[ロコミル導入後の期待効果]

https://www.atpress.ne.jp/releases/94476/img_94476_4.jpg





■経産省「平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業」の委託を受けて活動しています

大磯町で実施している『ロコミル』は、神奈川県が設立した「未病産業研究会」の会員法人を主体とした「かながわ未病産業創出推進コンソーシアム」における「健康寿命延伸を目的とした未病産業創出推進事業」の一環として活動しています。また同コンソーシアムの事業は、経済産業省の「平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業」の委託を受けています。





■関係者紹介

・大磯町(おおいそまち)

神奈川県南部、相模湾に面した湘南地域に位置しており、江戸時代には東海道五十三次の八番目の宿場町でした。明治中期以降、風光明媚な別荘地となり、山縣有朋、大隈重信、安田善次郎ら政財界要人の別荘が多数建てられ、昭和に入っても吉田茂らが別荘を構えました。大磯町の人口は32,372人、高齢化率(※10)は31.5%に達しており、全国の高齢化率26.7%と比べ、高齢化が進行しています(※11)。また団塊の世代の人口が多く、この先20年にわたり高齢化が進行すると予測されることから、町の高齢化進行対策として「予防医学」に注力しています。

町長は中崎久雄(2010年12月より現職、現在2期目)。



大磯町URL: http://www.town.oiso.kanagawa.jp/

(※10)高齢化率:65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合を指す

(※11)大磯町の人口、高齢化率は2016年1月1日現在、全国の高齢化率は2015年9月現在の数字





・東海大学体育学部生涯スポーツ学科(教授 中村豊・なかむらゆたか)

生涯スポーツ学科の社会的使命は、日本の大きな課題である高齢社会対策に取組み、その成果を学術的に示すこと、そして地域の健康増進に対し、考え取組める人材を育成することだと考えています。この度の大磯町における「ロコミル」の結果では、特定健診(集団健診)の場を活用したことで、高齢者のロコモとメタボの関連性を明らかにできました。また、ロコモ・メタボ共に予防や改善に効果のある“運動”に対する理解と実践の場として、「おおいそアンチロコモ教室」を実施。『ロコミル』や「おおいそアンチロコモ教室」での取組みが、日本の健康寿命を延ばすことに役立つモデルとして全国に広まることを期待しています。



[略歴]

東海大学体育学部生涯スポーツ学科教授、東海大学体育会硬式庭球部 部長

1951年生まれ、東海大学医学部卒業、現在東海大学医学部付属大磯病院 整形外科医師

生涯スポーツ学科URL

http://www.u-tokai.ac.jp/academics/undergraduate/physical_education/physical_recreation/





・アルケア株式会社

アルケアは高齢社会におけるエッセンシャルパートナーとなることを目指し、ウンドケア、オストミー&コンチネンスケア、ロコモティブケア、ナーシングケアの4つの視点でケア現場に貢献する事業を展開しています。疾病発症後のケアの領域に留まらず、未然に気付き・防ぐ「予防医学」の領域にも注力する使命があると考えています。

予防はまず自身の状態を知ることから始まると考え、自社開発の下肢筋力測定器「ロコモスキャン」を用いた「下肢筋力の数値化」で2013年より大磯町、東海大学との産官学の取組みに参画しております。客観的な数値化が健康意識や運動への意欲を高め、日本の健康寿命の延伸に繋がることを期待しています。



社名   : アルケア株式会社

代表者  : 代表取締役社長 鈴木輝重

本社所在地: 〒130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-1 アルカセントラル19階

URL    : http://www.alcare.co.jp

従業員数 : 500名(2015年6月末現在)

売上高  : 137億円(2015年6月末現在)

事業内容 : 医療機器・医療用消耗材料の研究開発、製造、販売業
情報提供元: @Press