韓国コンテンツを専門とする出版社、株式会社クオン(東京都千代田区、代表:金承福)は、翻訳家きむ ふなが日本の読者に向けて書き下ろした韓国文学史『韓国文学100年の物語』を、2026年10月30日に発売します。



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クオンは2011年に刊行した『菜食主義者』(ハン・ガン著、きむ ふな訳)以来、韓国文学を一冊一冊翻訳して紹介するとともに、版権仲介業務を通じて韓国文学の翻訳出版の拡大にも努めてきました。この10年余りで韓国文学の邦訳書は増え、ハン・ガンのノーベル文学賞受賞を経て、日本における韓国文学の読者層もさらに広がっています。

日本の読者にとって韓国文学はもはや見知らぬ隣人の文学ではなく、ともに読み、語り合う文学となっています。だからこそ、個々の作品をつなぎ、その背景や広がりを見渡すための大きな地図が必要だと考えました。

韓国文学の通史をたどることで個々の作品が互いにつながり、作品が生まれた時代や背景を知ることで文学が社会とどのような関係を築いてきたのかが見えてきます。一冊の本を読むだけでは得られない発見にもつながり、韓国文学への理解をさらに深めてくれるはずです。

ハン・ガン、シン・ギョンスク、キム・ヨンスなど、韓国を代表する作家たちをいち早く日本へ紹介してきた翻訳者きむ ふなが読者に語りかけるように綴った本書が、これから韓国文学を読んでみたい人にとっての入り口となり、さらに読み進めたい人にとっての道しるべとなることを願っています。



韓国の詩人・作家たちが紡ぐ〈抵抗と治癒〉の文学、100年の軌跡



本書では1900年代から今日までの韓国の詩と小説を、時代を10年ごとに区切りながら、社会的背景とともに詳しく紹介しています。どの時代もまず詩を、次いで小説の順で紹介されていることも特徴の一つです。

きむ ふなが韓国文学を読み解くキーワードとして挙げるのは、「抵抗と治癒」です。植民地支配、南北分断と朝鮮戦争、革命、軍事独裁政権など、激動の近現代史のなかで、韓国の詩人や作家たちは社会の不条理や個人の傷に真摯に向き合ってきました。本書では、文学作品と社会の動きをたどり、韓国文学が紡いできた100年の軌跡を描き出します。



 執筆を終えて改めて感じるのは、韓国文学は「抵抗と治癒の文学」ではないだろうかということです。抵抗とは、固有の文化や精神、人間の尊厳や自由の価値を守ろうとする営みで、多くの作品にはそれらを守るために抗ったエネルギーが宿っています。これは韓国文学に限らず、すべての文学や芸術に通じる普遍的なものでもあります。しかし、激動の百年の中で生まれた韓国文学の多くには、その抵抗の体験がより具体的に刻まれています。世界の大きなうねりの中で迎えざるをえなかった近代化、植民地支配、南北分断と朝鮮戦争、革命、軍事独裁政権と民主化といった歴史が、作品の中にそのまま息づいているのです。

 ただ、ここでいう抵抗とは、信念を貫いた崇高な人々の記録という意味ではありません。むしろ、圧倒的な暴力や個人的な欲望の前に脆く崩れてしまう姿の方こそ、多く描かれているかもしれません。それは、自らの弱さや醜さに必死に向き合おうとした人々の軌跡でもあります。そうした姿をさらけ出しながらも諦めない気概は、いまを生きる私自身にも問いかけてくるように感じられます。そしてその姿勢は、この文学的な土壌で育った現代の作家たちにも確かに受け継がれています。韓国文学が世界中の読者を惹きつけているとすれば、このように社会の不条理や個人の傷に真摯に目を向けているからでしょう。

 理不尽な歴史や暴力的な社会の中でかき消された人々の声を蘇らせ、遅ればせながら追悼し、治癒しようとする動きは、今日の多くの作品に息づいています。治癒のためには、まず真実をきちんと知ること。そして、それを記憶し、語り続けることです。それは同じ過ちをくり返さないためであると同時に、歴史や社会だけでなく、傷ついた個人にとっての治癒にもつながるはずです。

――本書「はじめに」より


責任編集・斎藤真理子によるコラムも掲載



『韓国文学100年の物語』には本書の責任編集・斎藤真理子によるコラム「海を越えて、文学史を結んだ人々」も収録しています。日本における韓国文学の受容など、両国の文学をつなぐ視点から韓国文学を見つめ直します。



著者プロフィール



きむ ふな

韓国生まれ。韓国の誠信女子大学、同大学院を修了し、専修大学大学院日本文学科で博士号を取得。日韓の文学作品の紹介と翻訳に携わる。

訳書にハン・ガン『涙の箱』(評論社)『菜食主義者』、キム・エラン『どきどき僕の人生』、キム・ヨンス『ワンダーボーイ』、ピョン・ヘヨン『アオイガーデン』、シン・ギョンスク『オルガンのあった場所』(以上クオン)、孔枝泳『愛のあとにくるもの』(幻冬舎)など。

共訳書にハン・ガン『引き出しに夕方をしまっておいた』(クオン)など。

著書に『在日朝鮮人女性文学論』(作品社)、編著に『韓国文学を旅する60章』(波田野節子、斎藤真理子との共編著、明石書店)がある。

津島佑子『笑いオオカミ』韓国語訳書にて板雨翻訳賞を受賞



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『韓国文学100年の物語』

著者:きむ ふな

発売:2026年10月30日

仕様:A5判(本文2段組)・872ページ・上製本

ISBN:978-4-910214-80-1

価格:13,000円+税



韓国文学100年の物語 きむ ふな(著) - クオン | 版元ドットコム : https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784910214801





情報提供元: @Press