オルガノイド創薬を加速する高酸素透過性培養プレート「InnoCell(R) Pタイプ」を発売
@Press 2026年10月05日 10:30:00
培養したヒトiPS細胞由来心臓オルガノイドの免疫組織染色断面像比較
ヒト腸オルガノイド由来上皮細胞の蛍光染色観察画像
InnoCell(R) Pタイプは、三井化学独自の高い酸素透過性を持つ材料と独自の表面処理技術を組み合わせた培養プレートです。細胞がより生体機能に近い状態で育つ環境を実現し、オルガノイドや細胞組織モデルの作製を支援します。創薬研究における薬効・毒性評価の精度向上や、効果的なスクリーニングへの活用を目指します。
■背景
近年、創薬研究では、ヒトの生体機能に近い状態を反映し、再現性の高いデータを取得できる細胞評価モデルの重要性が高まっています。特に、オルガノイドをはじめとする3D細胞モデルは、疾患メカニズムの解明、薬効・毒性評価、患者由来モデルを用いた創薬研究などへの活用が期待されています。
一方、細胞が高密度に増殖し、厚みのある組織を形成する3D培養では、培養組織内部への酸素供給が十分でない場合、細胞機能や組織の均一性、評価データの再現性に影響する可能性があります。また、創薬スクリーニングへの展開には、培養だけでなく、観察、画像解析、薬剤評価までを一貫して行える評価環境が求められます。
InnoCell(R) Pタイプは、高酸素透過性材料、細胞接着性を高める表面処理技術、細胞の観察精度を高める低自家蛍光性および薬剤の影響を受けにくい低薬剤吸着性を組み合わせることで、高機能な3D細胞モデルの構築と、創薬評価への展開を支援します。
■ヒトiPS細胞由来心臓オルガノイドで、均一な組織形成を確認
関西医科大学の升本 英利 教授は、ヒトiPS細胞由来心臓オルガノイドの培養にInnoCell(R) Pタイプを使用しました。既存のポリスチレン製プレートと比較した結果、InnoCell(R) Pタイプでは、組織全体の厚みがより均一で、組織厚自体も増加しました。また、心筋細胞マーカーである心筋トロポニンT陽性の心筋細胞層についても、厚みと密度の増加した組織像が観察されました。これらの結果は、培養組織への酸素供給を高めることにより、再現性の高い3D心臓組織モデルの構築を検討する上で重要な選択肢となり得ることを示しています。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/637698/LL_img_637698_1.jpg
培養したヒトiPS細胞由来心臓オルガノイドの免疫組織染色断面像比較
左:InnoCell(R) Pタイプのプレート/右:既存のポリスチレン製プレート
茶色:心筋トロポニンT(心筋細胞マーカー)/スケールバー:100μm
図1. 培養したヒトiPS細胞由来心臓オルガノイドの免疫組織染色断面像比較(培養期間:12日間)
(提供:升本 英利 教授)
関西医科大学医学部心臓血管外科学講座・学長特命教授
理化学研究所生命機能科学研究センター・客員主管研究員
【関西医科大学教授 升本 英利MD, PhD コメント】
ヒトiPS細胞由来心臓オルガノイドの培養にInnoCell(R) Pタイプを使用したところ、従来使用していたポリスチレン製プレートと比較して、組織全体の厚みがより均一で、心筋細胞層もより厚い組織形成が観察されました。酸素供給環境を工夫できる培養基材は、三次元心臓組織の培養条件を検討する上で、興味深い選択肢の一つと考えています。
■腸オルガノイド由来上皮細胞のハイスループットスクリーニング
ミシガン大学医学部 内科 消化器・肝臓学部門 Jonny Sexton准教授は、InnoCell(R) Pタイプを用いて、ヒト腸オルガノイド由来上皮細胞の培養およびバリア機能評価を実施しました。本評価では、従来広く用いられてきた多孔膜インサートを使用せず、上皮バリア機能を高感度かつ低ばらつきで評価できることが示唆されました。さらに、InnoCell(R)の低自家蛍光特性を活かすことで、ハイコンテントイメージングとの組み合わせや、腸管バリア機能を指標としたハイスループットスクリーニングへの展開が期待されます。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/637698/LL_img_637698_2.jpg
ヒト腸オルガノイド由来上皮細胞の蛍光染色観察画像
Hoechst染色像(グレースケール)/マージ画像(※)(カラー)
左:InnoCell(R) Pタイプ使用/右:既存多孔膜インサート使用
(※)青色: 核(Hoechst)、赤色:タイトジャンクション(ZO-1)、緑色:細胞全体(HCS CellMask(TM))
図2. ヒト腸オルガノイド由来上皮細胞の蛍光染色観察画像
(提供:Jonny Sexton准教授)
【ミシガン大学 准教授 Jonny Sexton, PhD コメント】
生物医学研究では、生体に近いモデルから再現性の高いデータを得ることが重要です。InnoCell(R) Pタイプは、優れたイメージング性能と高い酸素・ガス透過性を兼ね備え、オルガノイドの成熟化と機能成熟度の向上に貢献します。これにより、細胞や組織の状態をより鮮明に可視化でき、生体に近い3Dモデルの構築を支援します。これらの特長は、疾患モデルの高度化を通じて、創薬研究や再生医療研究の加速に寄与することが期待されます。
■表 利彦 取締役 常務執行役員 CTOコメント
近年、創薬研究ではオルガノイドやMPSなど、生体機能をより忠実に再現する3D細胞モデルの活用が急速に広がっています。InnoCell(R) Pタイプは、三井化学が長年培ってきた基幹技術をもとに開発した製品であり、これらの先端研究を支える培養環境の高度化に貢献することが期待されます。
私たちはInnoCell(R)を単なる培養プレートではなく、創薬研究の生産性と予測性の向上を支える研究インフラと位置付けています。今後も当社の基幹技術を通じて、ライフサイエンス分野における新たな価値創出に取り組んでまいります。
これまでの具体的な知見、InnoCell(R)のラインナップ、活用事例などの詳しい情報は、以下からご覧いただけます。
https://jp.mitsuichemicals.com/en/special/innocell/index.htm
情報提供元: @Press