フォトセッションの様子


ゲストで登壇した3児のママ・夏生まれの横澤夏子さん


東京科学大学 未来社会創成研究院 藤原武男先生


東京大学 未来ビジョン研究センター 江守正多先生

気候変動による健康影響に関する啓発活動を行う「医師たちの気候変動啓発プロジェクト」は、2025年7月15日(火)、「“外で遊べない夏” 親たちの声に関する調査発表会―猛暑対策の“限界”と、今とるべき社会的選択―」をベルサール新宿グランドにて開催しました。

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フォトセッションの様子
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ゲストで登壇した3児のママ・夏生まれの横澤夏子さん

本イベントでは、今年の6月に実施された「夏の暑さによる子どもの外遊びの変化に関する実態調査」をもとに、近年の猛暑が子どもの外遊びにどのような影響を及ぼしているかの意識調査結果について発表しました。

公衆衛生と気候変動の専門家として、東京科学大学教授 藤原武男先生、東京大学教授 江守正多先生が登壇し、“子どもの外遊びの変化”に関する調査結果を発表すると共に、個人レベルでの猛暑対策の限界と、社会に求められる変化についてお話しいただきました。
また、3児のママとしての顔を持つお笑いタレント・横澤夏子さんをゲストに迎え、温暖化が子どもの外遊びに与える影響について、専門家の先生とのトークセッションにて一緒に考えました。7月20日に誕生日を迎える“夏”生まれの横澤夏子さんが、自身のお子様との“夏”の過ごし方について「朝9時になると暑すぎて公園に行けないです。早めに公園に行っても滑り台が暑すぎて触れられないですよね、温度確認で、ミルクを作るときみたいに手の甲で滑り台を触るんですけど、火傷するくらい危ないので、最近はプラネタリウムとか室内の遊び場を探してます」と話しました。また、「これだけ暑いとどんな風に過ごせば良いか悩みますね。
先生、夏の子どもとの良い過ごし方を教えてください」と、専門家の先生に親としての悩みをぶつけるなど、今後の社会のあり方について考えました。

本発表会は、温暖化を止めない限り今後も続く暑さの中で、子どもたちの健やかな成長と自由な遊びの保障をどう実現していくか、社会全体で考えていくための第一歩となりました。


■夏の外遊びに関する実態調査報告と子どもの暑熱のリスクについて(東京科学大学 未来社会創成研究院 藤原武男)
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東京科学大学 未来社会創成研究院 藤原武男先生

昨年の異常な暑さにより、子どもを外で元気に遊ばせたい理想に対し、現実は室内でのテレビや動画視聴が主流であるジレンマが今回の調査で浮き彫りになりました。また、多くの親が個人での対策に限界を感じ、次世代に温暖化を残さないために、国や政府に対して対策を期待していることが明らかとなりました。夏の暑さは特に、成長過程にある子どもにとってメンタルヘルスの悪化や喘息を深刻化させるなどの悪影響があります。子どもは自分自身でどう過ごすか決められないので、子どもを守るシステムを作っていかなければなりません。


■猛暑の激化を止めるために私たちに何ができるのか(東京大学 未来ビジョン研究センター 江守正多)
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東京大学 未来ビジョン研究センター 江守正多先生

地球温暖化が進み、子どもたちが屋外で遊べないほどの猛暑が常態化しています。日本でも対策へ動き始めていますが、気候変動対策に対する日本人の意識には「生活の質が下がる」というネガティブな印象が強く、「我慢」ではなく「社会の仕組みを変える」という意識に変えなければなりません。個人でできる最も本質的な行動は、「変化を後押しする姿勢」を持ち、社会的な仕組みの改革を支持し、声を上げること。すでに住宅の省エネ義務化や太陽光パネル設置の標準化など、制度の変化も始まっているので、この流れを声を上げて後押しすることが、私たちができることです。


■トークセッション(藤原先生、江守先生、横澤夏子さん登壇)
イベント後半、子育て真っ最中の横澤夏子さんが登壇。4つのテーマについて専門家の先生とトークセッションを行い、温暖化が子どもの外遊びに与える影響について考えました。
まず、1つ目のテーマである「夏の子どもの外遊び」に関して、藤原先生におすすめの子どもの過ごし方を聞いたところ、「公衆衛生学の専門家としては夏場の日中の外遊びはもはやおすすめできない」という回答に対して、「子どもが楽しいが勝っちゃうから、気づいたら顔が真っ赤とかになっていますよね。湿度が高いと熱中症になりやすいのは意外でした」と、ママの本音を打ち明けました。

2つ目のテーマ「温暖化の実感」については、江守先生から30年以上前と比較して昨今は異常な暑さであり、その原因が温暖化であることを学んだ後、横澤さんの幼少期の夏休みの過ごし方を聞かれ「私が生まれ育ったところでは、川で翡翠という宝石をひたすら探していました。ある日、翡翠を見つけていくらですかって聞きに行ったら1000円って言われてすごく嬉しくて、いつもトイレに飾ってました。今では、砂浜の上を裸足で歩いただけで『暑い!』ってなるから、やっぱり危険な暑さなんだと日々感じてます」と語り、温暖化がもたらす気候の変化が、子どもの過ごし方にも影響を与えていることに触れました。

3つ目のテーマ「子どもの外遊びの重要性」では、藤原先生より、外遊びは健やかな成長には重要である一方で、この暑さでは外遊びは健康上のリスクが大きいことが話されると、横澤さんはそのジレンマに対し、「外遊びさせたいと思いつつ、ついつい室内で遊ばせてしまっている側としては耳が痛い話ですね。外遊びができないことで性格が変わっちゃうくらい、子どもにとっては大切なことなので、外でのびのび遊ばせられないのが悔しいです」と語りました。

4つ目のテーマである「温暖化対策」について、自身の取り組んでいるエコ活について聞かれた横澤さんは「やった方がいいって言われることは結構やっています。エコバッグを持つとか、余計な箸とかスプーンとかをいりませんって言うとか、エアコンの設定温度はずっと28度にするとか、でもこれって温暖化対策に繋がっているんですか?」と問うと、江守先生より「繋がっています。ただ個人の行動変容だけではなくて、社会の仕組みごと変えて今世の中に出している温室効果ガスを実質0まで減らさないといけない。そのためにはメディアやSNSでの発信も重要になってきます」という話が。

社会のシステム自体が変革しないといけない状態にあり、社会を変えるための政策を導入する機運を応援することが大事だと学んだ横澤さんは、「やっぱり発信することは大事ですよね。あと友達同士や親子で話すことも大事だなと思いました。最近は温暖化も絵本とかもあったりして、身近な問題になってきていると思うので、自分で大きな社会を変えていくんだという意思を持って今後は話していきたいと思います」とコメントし、イベントを締めくくりました。

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トークセッションの様子
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笑顔で自身のエピソードを語る横澤夏子さん

■“外で遊べない夏” 親たちの声に関する調査発表会 概要
・イベント名:“外で遊べない夏” 親たちの声に関する調査発表会
―猛暑対策の“限界”と、今とるべき社会的選択―
・日時 :2025年7月15日(火)15:00~16:00
・会場 :ベルサール新宿グランド Room G・H
(所在地:東京都新宿区西新宿8-17-3 5F)
・登壇 :横澤夏子さん
東京科学大学 未来社会創成研究院 藤原武男先生
東京大学 未来ビジョン研究センター 江守正多先生
情報提供元: @Press