写真1:積込み機能付きAI-ロードヘッダ


写真2:実証試験状況


写真3:坑外操作室からの遠隔操作状況


図1:掘削アシストシステム

安藤ハザマ(本社:東京都港区、代表取締役社長:国谷 一彦)は、ICTにより山岳トンネル工事の生産性を大幅に高める取り組みとして「山岳トンネル統合型掘削管理システムi-NATM(アイナトム)(R)」の開発を推進しています(注1)。
この取り組みの一環として、機械掘削工法におけるズリ積込み機能を装備した「AI-ロードヘッダ(写真1)」を株式会社三井三池製作所(本店:東京都中央区、代表取締役社長:中村 元彦)と共同で開発しました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/427487/LL_img_427487_1.jpg
写真1:積込み機能付きAI-ロードヘッダ

1. 開発の背景
建設業は就労者の高齢化や人口減少の影響を受け、生産性の向上が必須となっています。そのためにはICTを活用し、熟練技能者の持つ知識や経験を、分かりやすい形で次世代に伝えていくことが重要です。
また、作業を自動化・自律化することは、技能者の負担を軽減し効率的な施工を実現することにもつながり、作業の遠隔化も、労働災害を抑制し作業効率を高めるうえで有効な手段です。
山岳トンネル工事において切羽作業は最も危険な作業であるとともに、作業の多くが粉じんを伴うことから健康被害も懸念されます。特に機械掘削工法では、重機オペレーターが長時間の粉じん発生作業に従事するため、これを無人化することは、省力化のみならず安全面・環境面からも重要です。


2. 開発の経過と実証試験
これらの課題を解決するために、安藤ハザマと三井三池製作所は、機械掘削工法における自動掘削・遠隔掘削を実現するAI-ロードヘッダの開発を進め、2024年6月には「令和3年度 中部縦貫坊方トンネル工事」(注2)において、本開発機械による自動掘削および遠隔掘削の実証試験を行い、その有効性を確認しました(写真2、3)。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/427487/LL_img_427487_2.jpg
写真2:実証試験状況
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/427487/LL_img_427487_3.jpg
写真3:坑外操作室からの遠隔操作状況

そして今回、AI-ロードヘッダによる作業の無人化への適応性を高めるため、集土・排土の機能を付加した、積込み機能付きAI-ロードヘッダを開発しました。


3. 積込み機能付きAI-ロードヘッダの機能と特長
(1)自動運転機能
AI-ロードヘッダ自身の位置と掘削対象となる切羽面の位置を把握し、専用PCにより切削チップが配列された半球形のドラムの移動経路を生成することで自動掘削を行います。機械の目により、暗闇の中でも目標を正しく認識し、正確な掘削が可能です。切削中の負荷から、ドラムの速度を自動的に調整し、機械に最適な運転を行います。

(2)遠隔操作機能
遠隔地から、AI-ロードヘッダの「移動」「掘削」「集土」「排土」といった一連の操作が可能です。3Dモデルのロードヘッダが実機と連動する掘削アシストシステム(図1)により、ヘッドの角度や機械姿勢をデジタルツインで遠隔操作室から詳細に把握することができます。

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/427487/LL_img_427487_4.jpg
図1:掘削アシストシステム

(3)自己位置推定機能
搭載しているLiDARセンサの測定値と機体位置の測量結果から、機体周辺の坑内のマッピングを行い、作成したマップ上における現在地を推定します(図2)。

画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/427487/LL_img_427487_5.png
図2:自己位置推定機能

(4)データ収集機能
電流電圧等の機械稼働状況や振動・温度等のセンサデータを記録し、クラウド上にアップロードすることで可視化します。
また効率的な自動掘削を実現するため、有人操作における動作記録を収集します。

(5)集土・排土機能
掘削土砂を搬出するための集土装置・排土装置に加え、掘削土砂運搬機械との位置関係を簡易に調整するための回転式シュートを備えています。


4. 今後の展開
積込み機能付きAI-ロードヘッダは、2025年度に実際の山岳トンネルにおいて運用し、その効果を確認する予定です。また、切羽性状に合わせた作業員の掘削手順を記録し、自動掘削のさらなる高度化を目指します。
安藤ハザマは、これからも自動化・無人化技術の開発を推進し、山岳トンネル工事のさらなる安全性、生産性向上を目指して取り組んでいきます。


(注1)山岳トンネル統合型掘削管理システムi-NATM(アイナトム)
自動化、遠隔化技術を活用して施工技術の高度化を図るとともに、施工情報を集中管理するプラットフォームを構築し、山岳トンネル施工の抜本的な合理化を進めるもの。

(注2)令和3年度 中部縦貫坊方トンネル工事
発注者 :国土交通省中部地方整備局
施工者 :安藤ハザマ
工期 :2022年1月18日~2025年3月31日
工事場所:岐阜県高山市丹生川町町方~高山市丹生川町坊方
工事概要:トンネル施工延長1,422m
情報提供元: @Press