▲「日比谷公園向けにぎわい可視化システム」イメージ図
▲白いたまご型の計測デバイス設置の様子
▲サイネージは日比谷公園サービスセンター内に設置
▲「日比谷公園向けにぎわい可視化システム」UI画面イメージ(予定)
ハイラブル株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役CEO:水本 武志、以下:当社)は、日比谷公園でAI音環境分析技術「Bamiel(バミエル)」を応用した「日比谷公園向けにぎわい可視化システム」の実証実験を2024年8月から開始しました。本実験を通して公園を訪れる人々の“にぎわい”と鳥類を中心とした生態系をリアルタイムに可視化し提示することで、誰もが楽しめるインクルーシブな公園体験づくりに貢献します。
本実証実験は、東京都主催の都政課題解決のためのピッチイベント「UPGRADE with TOKYO 第37回(テーマ:誰もが利用しやすく、楽しめる公園の実現~2025年デフリンピック大会を契機に~)」において当社の提案が選出されたことを受けて、同年7月から2025年6月末まで実施される予定です。
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▲「日比谷公園向けにぎわい可視化システム」イメージ図
■見えない“にぎわい”を可視化
公園内の音環境情報を知ることは、来園者と公園管理者の両者にとって価値があります。来園者には、各自が心地よいと感じる過ごし方に合うスポットを知りたいニーズがあります。また、公園管理者にとっては、公園全体やエリアごとの利用状況分布や生物生態の24時間連続観測、天候や季節による変化を把握したいというニーズがあります。従来、公園の利用状況や生態系の現状を知るには、人の目や耳で確認する方法やアンケートによる人の主観に基づいて評価する方法が中心となっていましたが、広い公園内の音環境情報を同時かつ継続的に観測・可視化する方法がありませんでした。
そこで、空間内の音環境データをAIで分析・可視化する当社の技術によって「どの場所がにぎわっているか」「どこで鳥のさえずりが聞こえるか」を、リアルタイムで地図上にヒートマップ表示する新たな音環境ソリューションシステムを提供することで、この課題を解決します。
現在、屋外用の端末と、「音の地図」を公園内のデジタルサイネージやスマートフォン等の画面で表示することができるシステムを開発中です。これまでは、公園利用者が自分の心地よいと思える場所を見つけるには実際に現場に行って確かめてみるという手段しかなかったですが、同ソリューションでは自分の好みに合わせて、にぎやかな場所や、静かな場所を簡単に見つけられるようになります。また、自然知識や聴覚の程度に関わらず、普段は気づきづらい野鳥の生息地や種類なども、画面を見るだけでわかるようになることで来園者の誰もが都市の中の自然や生態系をより身近に感じることができます。
■屋外の“音環境情報”を可視化する新ソリューション
当社は、2022年に屋内向けの空間の会話活性度を可視化する技術「Bamiel(バミエル・特許出願済み)」をリリースし、様々なオフィスやイベント会場において空間の会話量計測にご活用いただいてきました。今回、同技術を屋外に活用した音環境観測ソリューション「Hylable for Parks(ハイラブル フォー パークス)」は、園内に設置した白いたまご型の計測デバイス内部とクラウドを組み合わせて周囲の音響情報を独自技術と人工知能(AI)を使って分析することで、公園などの不特定多数の人や生物が行き来する屋外の音環境情報を可視化します。 屋外空間に適用するためには、電源の確保や景観への配慮、そして音の識別が必要となります。同ソリューションの開発にあたっては上記の課題に対し、環境に合わせた対策を行ってきました。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/407599/LL_img_407599_2.jpg
▲白いたまご型の計測デバイス設置の様子
<Hylable for Parksの特徴>
1. 複数の音の方向・頻度・種類から音環境情報を正確に把握
デバイスで音の到来方向を検出し、その情報を組み合わせて音の種類を識別することで空間内の音環境情報やコミュニケーションの活性度をデータとして可視化します。
2. リアルタイムデータ処理でヒートマップ化
空間の音環境情報は、当社独自のAI技術とエッジ処理によってデータ化し、ヒートマップとしてリアルタイム表示します。
3. プライバシーを守りながら24時間365日の音環境観測が可能
発話内容についての情報を使わずにプライバシーを守った上で空間内の音環境分析を行います。
公園の利用者と管理者のための音環境ソリューション「Hylable for Parks」は、当社が屋内向けに開発した基盤技術「Bamiel」を屋外に適用し、ヒト以外の生物の音響分析を可能にすることで、園内にいる人の“にぎわい”や生物の生息状況を可視化するものです。従来、屋外では天候の影響や雑音の混入が避けられず、空間規模の広さにより音環境情報の観測・把握が難しかったため、今回は防水加工を施した新たな計測デバイスの開発や、ヒト以外の様々な生物の鳴き声を識別するシステムが必要とされました。
同ソリューションを日比谷公園向けにカスタマイズしたのが実証実験で開発する「日比谷公園向けにぎわい可視化システム」です。今回の実験では同園の「草地広場」と「第一花壇」に合計10台の計測デバイスを設置し、公園内の“にぎわい”の計測と“生物の声”の識別・可視化を目指します。可視化されたデータは、音環境情報のバリアフリー化を助けるために、同園にあるサービスセンター内に設置されるディスプレイや利用者のスマートフォン等の画面表示で活用される予定です。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/407599/LL_img_407599_3.jpg
▲サイネージは日比谷公園サービスセンター内に設置
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/407599/LL_img_407599_4.png
▲「日比谷公園向けにぎわい可視化システム」UI画面イメージ(予定)
■バリアフリーな公園体験の実現
2025年に開催される“東京2025デフリンピック”でオリエンテーリング会場となる日比谷公園において、東京都は「バリアフリー日比谷公園プロジェクト」を推進しています。このプロジェクトでは、日比谷公園を、年齢、性別、国籍、障害の有無に関わらず、誰もが利用しやすく、誰もが必要な情報にアクセスし、誰もがより楽しんでもらえる公園に進化させることを目指しています。
当社はこのプロジェクトを踏まえたうえで、独自技術を活用したサービスを試行します。具体的には、来園者それぞれが公園の魅力を感じられるよう、空間の音環境情報を可視化するシステムとソリューションを開発しています。本実証実験は、東京都の掲げる目標に沿って、公園を様々な利用者にとって過ごしやすい場所にする取り組みを技術面から支援するものです。
当社の音環境分析技術は、来園者の様々な楽しみ方をサポートし、誰もが心地よく過ごせる公園づくりに貢献します。この取り組みを通じて、同園があらゆる人にとって魅力的な都市のオアシスになることを目指しています。さらに、この実験で得られた知見を他の公共空間にも活かし、より多くの人が快適に過ごせる環境づくりに役立てたいと考えています。
■都市の生態データの計測・蓄積
広大な自然のない都市部においては、小規模でも緑地・池・公園などの生物が生息できる地域が存在すれば、それらを生物が往来するネットワークが構成されます。これはエコロジカル・ネットワークと呼ばれ、生物多様性を育んでいます。こうしたネットワークを通じて多様な生物が公園に訪れることで、人々に憩いとやすらぎをもたらすことも期待されます。
本取り組みでは公園における人々のにぎわいの可視化に加えて、鳥を中心とした生物の声の可視化にもアプローチします。生物の声の可視化を通して日比谷公園における生態系に関するデータを計測することで、都市の生態系に関するデータの蓄積が可能になると考えております。
さらに、本取り組みで都市における生態系データの計測・分析ノウハウを確立し、将来的に他の公園や緑地に広げていけば、都市全体の生物の生息域のデータも蓄積していくことが可能です。このように広範囲を計測できれば、広域なエコロジカル・ネットワークに関する研究に知見を提供することが期待できます。
■Hylable for Parksが切り拓く、音によるネイチャーポジティブへの貢献の可能性
“ネイチャーポジティブ”とは、単なる自然保護を超えた、積極的な生態系の再生と強化を目指すアプローチです。2021年の「生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)」で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では「2030年までに生物多様性の損失を止め回復軌道に乗せ、2050年までに自然と人間の真の共生を実現する」という目標が設定されています。
将来的に Hylable for Parksの鳥の声の可視化機能を発展させ、蓄積したデータを活用すれば、本ソリューションは公園のにぎわいに加え、以下のような観点から音の技術でネイチャーポジティブに貢献できると考えています。
1. 広範囲にわたる都市生態系の定量的な把握
画角が制限されるカメラ撮影による測定と比較して、当社の音によるアプローチは、画角や死角、光量によらない計測が可能です。したがって、デバイス数で生物多様性データを広範囲かつ連続的に計測できます。こうして得られた計測データは、都市開発と生態系保全の最適なバランスを検討するための、客観的かつ動的なエビデンスとして活用できる可能性があります。
2. インクルーシブな自然体験の創出
鳥の鳴き声などの音環境情報の可視化を頼りに自然に耳をすませば、生物の声を聞き分けるスキルや聴覚の程度にかかわらず多くの来園者が自然を多角的に体験でき、これにより自然環境に対するより深い理解を促進できると期待できます。
3. 生態系の適応型管理の実現
リアルタイムデータに基づく迅速な意思決定と施策実施により、季節変化や気候変動、都市開発等による外部要因に対して、生態系を柔軟かつ効果的に管理することを可能にします。
4. 来園者の経験とテクノロジーの融合による包括的な生態系把握
当社のテクノロジー技術と来園者の観察力を組み合わせることで、これまでにない解像度と範囲で都市生態系を把握することを可能にします。この革新的なアプローチは、環境保全における関係者各自の役割を質的に変革し、社会全体の環境リテラシーの向上に貢献します。
■将来的な展望
今回の「日比谷公園向けにぎわい可視化システム」の実証実験では、来園者の好みに合わせた多様な楽しみ方を支援したり、園内にいる“生物の音(存在)への気づき”を共有でコミュニケーションを促進したりすることで、自然豊かな環境を公園利用者にとってより楽しめる場所にすることを目指しています。
同ソリューションは、日比谷公園に限らず、多くの公園に導入される価値を秘めています。「地域ごとに特色のある自然環境の楽しみ方を支援し、その土地にすむ生物について親しむきっかけに、Hylable for Parksを活用いただきたい」と思って取り組んでいます。
また、来園者の体験向上だけでなく、生物の鳴き声のデータを継続的に集積・計測することで周辺の生物多様性に関するデータを蓄積することが可能になります。空間の音環境情報を分析・把握することで、目視やカメラ撮影では発見しづらい、木や茂みに隠れて鳴く生物を見つけることができるようになります。
創業以来、当社は「音環境分析でコミュニケーションを豊かにする」をミッションとしてきました。これまで延べ7万人以上の音響分析を通して教育現場や企業の会議室、オフィス空間など人同士のコミュニケーションを中心とした事業を展開してきました。近年では、動物のコミュニケーションに着目した「Project Dolittle(プロジェクト ドリトル)」を立ち上げて研究を進めてきました。本プロジェクトをきっかけに様々な公共施設や自然環境に事業を拡大し、ヒトに限らずあらゆる生物とのコミュニケーションの豊かさを向上させる取り組みを進めてまいります。
■ハイラブル株式会社について
代表者 : 代表取締役CEO 水本 武志
設立 : 2016年11月21日
事業内容 : 対面やオンラインのコミュニケーションを可視化する
クラウドサービス群の運営と提供、
および以上に関連する開発・研究の受託
所在地 : 東京都豊島区南大塚二丁目26番12号 鈴音ビル2階 203号室
ホームページ: https://www.hylable.com/
■参考情報リンク
・日比谷公園実証実験特設ページ:日比谷公園向けにぎわい可視化システム
https://www.hylable.com/hibiya2024
・プレスリリース:東京都×ハイラブルの協働プロジェクトがスタート!誰もが楽しめる日比谷公園へ(2024.03.29)
https://www.hylable.com/news/20240329-2/
・プレスリリース:コミュニケーションの場の見える化サービスBamielを始動!
https://www.hylable.com/news/20220628/
・あらゆる生物のコミュニケーションを豊かにするProject Dolittle
https://www.hylable.com/dolittle/
・千代田区生物多様性に関するモニタリング調査結果(千代田区HPより)
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/machizukuri/kankyo/sebutsutayose/kisochosa.html
情報提供元: @Press