生きる力を育むために 保育園での食育を通して成長する子どもたち メインビジュアル


東洋大学福祉社会デザイン学部生活非常勤講師 太田百合子


しおどめ保育園 八潮駅北


食育の様子



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生きる力を育むために 保育園での食育を通して成長する子どもたち メインビジュアル



株式会社コドモン(本社:東京都港区、代表取締役:小池義則)は、6月22日(木)に食育イベントを開催した、しおどめ保育園八潮駅北にて現地取材を行いました。毎月19日は「食育の日」です。平成17年7月に農林水産省により食育基本法が施行されて以来、保育園では様々な食育のための取り組みがなされてきました(※1)。第4次食育推進基本計画においては毎月19日を「食育の日」と定め、一年を通じて継続的に食育の活動に取り組むよう推進しています(※2)。今回コドモンでは、保育施設での「おにぎりづくり」の食育活動を取材しました。乳幼児期における食育は子どもの成長のために欠かせない活動ですが、実際保育園ではどのように食育に取り組んでいるのかを取材を通してご紹介します。



※1 農林水産省「第4次食育推進基本計画」令和3年3月

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/h30/h30_h/book/part0/b0_c0_0_01.html

※2 農林水産省「第4次食育推進基本計画 」令和3年3月

P.29食育月間及び食育の日の取組の充実

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/attach/pdf/kannrennhou-24.pdf



保育園における食育と保護者支援



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東洋大学福祉社会デザイン学部生活非常勤講師 太田百合子



太田百合子(おおたゆりこ)

管理栄養士。「こどもの城」小児保健クリニックを経て、現在は大学などの非常勤講師、指導者や保護者向け講習会講師、NHK子育て番組出演や育児雑誌などの監修を務める。日本小児保健協会の栄養委員や学校保健委員を担当。東京都小児保健協会理事、日本食育学会代議員。研究テーマは小児肥満、離乳食、幼児食。



保育園における食育について



園の食育とは、安心できる環境のもとで、乳幼児期を通して食べ物に興味を持ち、一緒に食べたい人がいる中で、食事作りや準備に関わることで、「やってみたい」「食べてみたい」といった意欲につなげていきます。これが食を営む力の基礎となり、豊かな人間性を育み、生きる力を身につけていくことにつながります。

子どもたちが食を楽しめるようにしていくには、普段の生活や遊びの中で、一人ひとりの子どもの発達や意欲にあわせて、食に関わる五感を通した体験を積み重ねていくことです。食べることを楽しみ、食を楽しみあう子どもに成長することを願いながら関わっていきます。乳幼児にふさわしい食生活が展開され、適切な援助が行われるよう園全体で食育計画を共有します。さらに、子どもたちをよく観察し、声に耳を傾けながらやりたいこと等を計画に盛り込んでいきます。

保護者には、園での発達支援を含めた食育の様子を丁寧に伝えて、家庭での食を楽しむ行動や環境づくりにつなげていきます。これも園としての食育です。家庭と園で連携できれば、よりよい子どもの育ちにつながることでしょう。具体的な食育事例を参考にして、自園の食育に活かしていきましょう。



しおどめ保育園 八潮駅北 「おにぎりづくり」レポート



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しおどめ保育園 八潮駅北



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食育の様子



しおどめ保育園八潮駅北では、子どもたちの「生きる力の土台作り」の一つとして、食育活動に力をいれています。今回は園で毎年恒例だという「おにぎりづくり」の様子を取材させていただきました。子どもたちの様子だけでなく、先生たちの伝え方にも注目です。



■見て、聴いて、触って、五感で楽しむ「お米研ぎ」



3歳児クラスでは、五感を使った体験ができること、そして簡単にできることを目的として、お米研ぎを実施しています。お米を手で触れたときの感触、そして水がどんどんきれいになっていく変化を目で見て、体感します。自分たちが研いだお米がおにぎりに変わってまた登場することへのワクワクを感じてほしいという想いも込められています。



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お米研ぎについて説明する様子



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給食室の先生からの手紙を読む担任の先生



エプロンと三角巾を身に着けて、円形になって座っている子どもたち。そこへ担任の先生がやってきて、給食室の先生からみんなへのお手紙を持ってきました。午前中は給食業務があり給食室の先生は立ち合いができないため、手紙で「お手伝いのお願い」をしています。お手伝いとしてお願いをすることで、お米研ぎをやり遂げたときの達成感や研いだお米がおにぎりに変化するまでのワクワク感も増します。

担任の先生が、給食室の先生からのお手紙を読み上げます。

「くもぐみのみなさんへ きょうのおやつは『そぼろおにぎり』です。みんなでおこめをといでください!」

「おこめをとぐ」という言葉に初めて出会った子もいるかもしれません。真剣な様子で給食室の先生からのお手紙の内容を聞いていました。

始める前に、写真をもとにお米の研ぎ方の説明です。まずは研ぐときの手の形について、「ねこのて で ぐ~るぐる」混ぜることを話すと、子どもたちもぐるぐる混ぜる動作を真似しています。次に、お米のとぎ汁の変化について、水の色の変化を写真をもとに説明します。「お米から出るお水は最初はこんなに白いけど、洗って汚れを落とすときれいになるよ」と子どもたちに伝えます。

やり方を教わったら、先生が大きなボウルにお米をいれました。すると「さらさら」と聞こえてきて、「さらさら音がしてるね」という先生の言葉に、立ち上がってボウルの中身を覗き込む子も。「いつもみんなが食べているごはんはモチモチだけど、もともとは硬いんだよ」という話に子どもたちも興味津々です。

準備ができたら、まずは先生がお手本を見せます。ねこの手でぐるぐる研いで、真っ白になったお水を1人ずつに見せて回ると、真っ白な水をみて「牛乳みたい!」という子どもたち。お手本をみたあとは、2人ずつ順番にお米を研いでいきます。



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とぎ汁を見せる様子



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お米を研ぐ様子



子どもたちはみんな、教わった通りねこの手でぐるぐるお米を真剣に研いでいます。研いでいるときは集中していますが、終わると真っ白になったとぎ汁をみて「すごい!」や、「水が気持ちいい!」と、笑顔をみせていました。実際にお米を研いでみてどうだったか聞くと、声をそろえて「楽しかった!」と言って、最初よりもリラックスした様子でした。

全員がお米を研ぎ終わったら、先生たちで仕上げです。先生たちの慣れた手つきをじっと見る子や、お気に入りのエプロンについて話している子もいました。すると1人の子が、落ちたお米を拾って先生に渡しました。「拾ってくれてありがとう!お米一粒でも、大事だよね」という先生の言葉を聞いて、1人、また1人とお米を拾い始めました。ボウルに戻すことはできないので、「ごめんねっていって、そこに入れてね」とゴミ箱を指していますが、決して「捨てる」「ゴミ箱」という言葉を使わずに子どもたちに声かけをしています。なぜこのような声かけをしているのか、活動後のインタビューでお伺いしました(「食育の取り組みについてインタビュー」参照)。



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お米を研ぐ子どもたち



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お米を拾う様子



仕上げが終わると、きれいになった水をみんなに見せて回ります。「下が見えるくらい薄くなったね」という言葉に、「わあ、すごい!」「ほんとだ」とボウルの中を見つめる子どもたち。「よくがんばりました!」とみんなで拍手をしたら、最後はおさらいです。ねこの手でぐるぐる、水がきれいになるまで研いで、お米研ぎは完成です。「おうちでもお手伝いできるかな?」の問いかけに、元気よく「お手伝いする!」と答えています。お昼寝のあとのおやつの時間に、今日といだお米で作ったおにぎりが出ることを伝えると、楽しみ!とはしゃいでいました。

三角巾とエプロンをロッカーにしまったら、紙芝居の時間です。今日はお米研ぎをしたので「おむすびころりん」の紙芝居。食育と連動させた通常の保育で、子どもたちの学びを深めます。



■自分で作ると美味しいね!「そぼろおにぎり」ができるまで



4歳児クラスでは「ごはんと具を混ぜて握る」というシンプルな工程が年齢に適していること、そして自分の好きな具とごはんがあれば子どもでもできる「手作りの第一歩」として、おにぎりづくりに取り組んでいます。おにぎりを握るときの手の形や力加減など、おにぎりづくりを通して手の感覚も養われます。



午後は4歳児クラスで実際におにぎりを握る時間です。3歳児クラスで研いだお米を使って、そぼろおにぎりを作ります。今回は栄養士の先生が直接子どもたちに説明をします。説明を始める前に、先生からの「おにぎり好き?」の問いかけに、「好き!」「遠足で食べた!」「焼きおにぎりが好き!」などみんな話したくて仕方ない様子です。そんな大好きなおにぎりをつくることにワクワクしている子どもたちへ、まずは作る順序を説明します。



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おにぎりの作り方



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先生の話を聞く子どもたち



3歳児クラスのみんながお米を研いでくれたことを伝え、おにぎりができるまでの工程を話します。「お米をお水でといたら、お鍋にいれて水につけます。お米がお水を吸ったら、お鍋に火をつけて火がいっぱい入ると、ホカホカのごはんになります。ここまでは給食室でやってきたので、今日はこの先をみんなにやってもらいます」そして、具を混ぜて好きな形に握ることを伝えます。「さんかく」「まる」「たわら」の3種類を見せると、「たわら知ってる!」「わたし、ハートも作れる!」「四角も作りたい!」とワクワクしています。

「強く握りすぎるとおもちになっちゃうから、優しく握ろうね」という声かけのあと、実際にご飯と具材が各テーブルに運ばれました。具材は青のり、ごま、そぼろです。混ぜる前に各テーブルで役割分担をするため、1~4の順番を決めます。子どもたちは「ぼく、4番がいい」「〇〇ちゃん、2番がいい?」など、喧嘩することなく、先生の助けも借りながらじゃんけんや話し合いで順番を決めていました。ごはんやそぼろのラップを取ったり、ごはんにそぼろを入れたり、グループのみんなで分担します。



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配られたごはんを覗き込む子どもたち



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ごはんにそぼろをかける様子



そぼろのラップを外すと「いいにおいがする」と、子どもたちがお皿の上を仰ぎ始めました。最後に青のりとごまをかけて、1番の人から順番に5回ずつスプーンで混ぜます。みんなで1から5まで数えたら、次の人に交代します。全員混ぜ終わったら、「きれいだね。美味しそうだね」という声かけをしながら先生が仕上げをします。

いよいよおにぎりを握る時間です。お皿とラップが渡され、先生がご飯をそれぞれわけてくれました。先生がわけている間も「食べたくなっちゃった~」と待ちきれない子どもたち。準備ができた人から握っていきます。ハートの形にしたい子が先生にどうしたらいいか聞くと、「まずは三角のおにぎりを作って、ひっくり返して、反対側をへこませるとできるよ」と説明。「むずかしい~」「丸できたよ!」「たわらできるかな?」と、子どもたちは思い思いの形に作っていきます。



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おにぎりを握る様子



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そぼろおにぎりを食べている子どもたち



それぞれ好きな形のおにぎりが完成しました!先生が麦茶をもってきてくれたら、お待ちかねの実食タイムです。「いただきます」をみんなで言ったら、自分で握ったおにぎりをそれぞれ食べ始めます。たくさん頬張る子や、形が崩れたら握り直す子、おもちになっちゃったけどおいしい!と言いながら笑顔の子など、さまざまです。先生たちも、上手にできたね、美味しいね、と声かけをしながら、こぼれてしまった子の手助けをしつつ、それぞれのテーブルを回っていきます。

全員食べ終わったら、ごちそうさまをして片付けの時間です。自分のエプロン、三角巾をロッカーにしまってお片付けをしたら、帰る時間が近づいてきました。「お腹いっぱいで今日の夜ご飯食べれないかも」「おうちでも作りたいけど、おうちにはそぼろがない。あ、スーパーに行けばいいんだ」「自分でにぎったのおいしい」といつもと違う時間を過ごせて、子どもたちはとても満足そうな様子でした。



食育の取り組みについてインタビュー



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栄養士 松田典子様 (左) 園長 廣川淳子様 (中央) 3歳児担任 中島菜月海様(右)



今回のおにぎりづくりを始めたきっかけや、当日までの準備についてなど、先生方にお話をうかがいました。また、しおどめ保育園八潮駅北では、今回の取り組みの他にもさまざまな食育活動に取り組んでいます。園長の廣川様、栄養士の松田様、保育士の中島様にお話をおうかがいしました。

栄養士 松田典子様 (写真左)

園長 廣川淳子様 (中央)

3歳児担任 中島菜月海様(右)



■シンプルだけど幅広く、子どもが楽しめる食育をできるように



━━ 今回のおにぎりづくりについて、子どもたちの反応はどうでしたか?また、この取り組みを通してどういったことを子どもに体験してほしいですか?



3歳児担任 中島様(以下、中):3歳児クラスでお米研ぎを担当した中島です。今日の子どもたちですが、お米を順番に洗っているときはいつもよりもドキドキしながら、集中しているように感じました。「どんな音がするかな」「お米を研ぐの、どんな感じかな」など声かけをしていたのですが、いつものようにたくさん喋らずすごく集中していて、一生懸命やっていましたね。

今回はお米でしたが、いつもいろんな食材に触れてほしいと思っています。触れて、楽しんで、クッキングって楽しいな、と感じてほしいです。なので、楽しい空間を作れるように、あまり注意事項が多くならないよう工夫したり、声かけの言葉選びに気をつけたりしていました。



━━ 子どもへかける先生の言葉がどれも印象的でした。



中:そうですね、できるだけ、否定の言葉にならないようには意識しています。どうにか自分の頭の中でプラスに言葉を変換して発してます。例えば、今日は子どもたちが落ちたお米を拾ってくれましたが、落ちてしまったからそれをゴミとは言いたくなかったので、「ゴミ」や「捨てる」といったワードを選ばないようにしていました。あとは、その子にあった声かけをしたいので、それぞれの性格だけでなく、子どもたちのその日の雰囲気とかも考慮しながらやっています。子どものことを考えながらも楽しく食育に取り組めるのは、給食室の先生たちが前向きにどんどん提案をくれるからです。



━━ この取り組みをしようと思ったきっかけや理由を教えてください。また、当日までの準備についても詳しくお聞かせください。



栄養士 松田様(以下、松):栄養士の松田です。クッキングについては、子どもたちに食に関する充実した経験をしてもらいたいという思いで取り組んできましたが、感染症が流行するなかで接触や集団での行動に制限がかかるようになりました。そのような状況の中、どうやったらクッキングの機会を減らさず、安心して実施できるかを考え、「お手伝い」と「調理」に分ける方法にたどり着きました。

本当は、おにぎりづくりであれば、お米を研いで、炊いて、それを握って、という風に一連の流れが全てできればいいのですが、子どもの集中力に限度があることや、担当する栄養士の時間的な制約もあり、時間を区切った内容にしています。「お手伝い」では、食材丸ごとの形や感触を体感しながら下ごしらえをして、「調理」で料理を完成させることで、工程がシンプルになって子どもたちも取り組みやすくなりました。結果的に各クラスのクッキングの機会も増えました。園長先生とは、今のクッキングの形になるまでたくさん話し合いました。また園で収穫した野菜をどのように子どもたちに提供するかなど、子どもたちが喜んでくれる方法を日々相談しています。



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お米研ぎに使用したパネル



━━ 準備から当日の進行まで、先生方がお互いに協力していることがとても伝わりました。保育士・栄養士・調理師・園長先生など、園全体でどうやって連携しているのですか?



松:保育士の先生とは、クッキング以外でも給食を食べているときのお子さまたちの様子をうかがったり、月に1回の給食会議で行事食の案内や食育についての要望など情報を共有しています。話を聞くだけじゃなくて、教室におじゃまして食べている様子を見せていただいたり、食事の介助に一緒に入って直接子どもたちの食べ方を確認することで、給食提供のヒントをいただいています。クッキングのときはスムーズに進むように手助けしてくれたり、子どもたちに声かけをしてくれるので、とても助かっています。

調理のスタッフとは、保育士の先生から聞いたことや自分が見たことの情報共有をすることを心がけています。調理しているときや、ミーティングを通して、困っていることや、もっと子どもたちに喜んでもらえるような給食を提供するにはどうしたらいいか話ながら業務を進めています。

クッキングのときには毎回実施計画をたて、実施後には担任や栄養士で評価、反省を行って、次回に向けて改善点を挙げています。この振り返りの記録を次のクッキングに活かして、担任や担当する栄養士が代わってもクッキングが実施できるようにしています。



■0歳から5歳まで、年齢にあった食育を。取り組みに込めた想い



━━ 園全体としては、どんな想いで食育に取り組まれているのでしょうか。



園長 廣川様(以下、廣):園長の廣川です。食育というのは、やはり子どもたちの成長、日々の生活のなかで重要な要素の一つです。「食べる」ということだけでなく、「育てる」「作る」「食材に触れる」といったこともすべて繋がっています。そしてなにより、好奇心を育んだり、ワクワクドキドキする体験となることをすべての食育活動において大切にしています。体験を通して子どもたちの感性も豊かにもなりますし、自分の体のことを考えるきっかけにもなると思います。

あとは、感謝の気持ちを育むことも大切です。「豚さんや牛さんをわたしたちはいただいているんだよ。ありがとうの気持ちを持っていただきますっていおうね」ということを伝えることで、世の中の様々なことへの理解にも繋がると思うんです。



━━ ありがとうございます!どういった課題感を持って取り組まれていますか?



松:子どもたちの経験値という点では、おにぎりづくりのような1日で完結するクッキングのほかに、年一回恒例となっている「梅ジュース作り」も行っています。梅ジュース作りは他のクッキングと異なり、その日のうちに味わうことはできませんが、梅を丁寧に扱い梅と氷砂糖が日々変化していく様子を観察できます。子どもたちも梅を漬けたビンを見ながら「いつ梅ジュース飲めるのかなぁ」と楽しみにしています。このようなできあがるまでの変化を見守り、心待ちにするような経験も今後増やしていきたいと考えています。



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梅ジュース



廣:運営面でいうと、まずは先生たちの感じてる課題感やどんな取り組みがよいかを吸い上げることが重要だと感じて取り組んでいました。先生たちがやりたいこと=理想と、実際どこまで子どもたちに取り組ませてあげられるか=現実を照らし合わせていました。「園としてこうやります」と示すのではなく、保育士、栄養士、調理師と、みんなのアイデアを引き出して食育の方針を決め、取り組みを実現できるよう努めています。

この2年間くらいですかね、試行錯誤しつつもみんなで話し合い課題を出し合ってきました。例えば、すべての工程を子どもたちにやらせてあげたいという方向で最初は進んでいましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、すべてを子どもたちにやらせよう、ではなく、先生が仕上げをするなどどう分担していくのか、ということをアイデアを出し合って今回のような食育の形が完成しました。なので、おにぎりづくりでは3歳児さんがお米研ぎで、4歳児さんがおにぎりを握るという役割分担になっています。

これもすべて給食チーム、保育士さん、パートの職員の方、など先生たちの力によるものだと思っています。



━━ 0,1,2歳児のお子さまについてはどういった食育に取り組まれていますか?



廣:0~2歳児のお子さまも、外で一緒に日々遊んでいますが、そこで畑に日常的に触れることが食育となっています。2歳児だと、3~5歳児が野菜の収穫をしているのをみて、一緒にやってみたいと興味を持った子も一緒にやったりしますし、ナスとかきゅうりとか、花が咲いて野菜ができるというのを自分の目でみて知ることができています。

あとは年に2回「食育週間」という形でテーマを決めて、各クラスごとに給食の前の時間にお話をする時間を設けています。0,1,2歳児も含む全クラスをまわっているのですが、次のテーマが「噛むこと」なんです。0,1,2歳児だと話して伝えるよりも絵や写真、製作物で視覚的インパクトを持たせることを大切にしています。ライオンさんは牙を使って噛むよ、とか、シマウマさんは奥歯を使ってすりつぶすよ、など噛むことについて人形などをつかって説明すると、0歳児でも楽しそうに見ていますし、そのまま給食の時間に入って一緒に噛む練習をしています。

3,4,5歳児になると、お話のパートを増やして噛むことでどんないいことがあるかを伝えます。よく噛むことのメリットを知ったうえで給食の時間になることで、より噛むことを意識してもらっています。こんな感じで年齢にあわせた食育をやっています。



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茄子の花



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先生と野菜をみる子どもの様子



━━ 最後に、普段の食育の取り組みに対して保護者の方への伝え方や反応についてお聞かせください。



松:食育については、色々な方法で保護者の方へ伝えています。SNSやブログではクッキングの様子や行事食の紹介と献立に込めた想いなどを、また、コドモンの連絡機能を使って給食だよりを配信して、食や健康に関する情報を発信しています。園の玄関先には給食を展示していますが、保護者の方はお子さまと一緒に今日食べたものを確認したり展示を写真に撮ったりしています。やはり、お子さんが好き嫌いなく食べているかとか、どれくらい食べているかは皆さん気にしていらっしゃるようです。

年に1回、コドモンのアンケート機能を使って、保護者向けに食生活アンケートを配信しています。朝食を食べているか、好き嫌い、食事に関して気になること、間食のとり方やタイミング、排便について、などを聞いています。回答はデータにまとめてフィードバックしたり、保護者の方が食事に関して気になることについては簡単なアドバイスを添えて返信しています。

たとえば、結構多いのは「好き嫌い」「野菜を食べない」「早食い」「時間がかかる」などです。好き嫌いなどは保育園では食べてるけどおうちだと食べないという声もあります。お友達と一緒だったり先生がいると、ちょっと頑張って食べてる部分もあると思うので、お家では嫌いだからといって全く口にする機会をなくしてしまうのではなくて、間をあけてたまに出してみましょう、といったことを伝えています。早食いや食べるのが遅い、といったことについては、早食いだったらちゃんと噛めてるかどうか、お家でもちょっと食べ方の確認をしてみましょうとか、食べるのに時間がかかりすぎるのは、どうしても食べるのに飽きてしまうということがあるので、時間をちょっと上手に区切ってみるとか、ここまで食べたら今日はオッケーとか、「時計の針が12になったらごちそうさまだよ、それまでに食べれるようにしようね」といった声かけなどをちょっとアドバイスをしてます。



━━ ありがとうございました。先生同士の連携だけでなく、保護者の方とも食育についてどうコミュニケーションをとっているか、非常に参考になりました。これからも食育を通して子どもたちの健やかな成長に繋がることを願っております。






今年も、夏休みの保護者の献立・お弁当作りを応援するTwitterキャンペーンを開催します



長い夏休み「家でも食育を」と考えている保護者の方もいらっしゃるかと思いますが、現実は思うようにいかず難しいこともあります。毎日栄養バランスを考えて食事を作ることは、とても大変なことです。お子様が夏休みを迎えるこの時期に、保護者の方も一緒に献立を考える時間をお休みしてみませんか?

子どもと触れ合う時間を作り、保護者の方も無理なく「食」と付き合っていくために。時間がないときには、簡単に作れるものを。時間が取れるときには、「食」を通して子どもと一緒に特別な経験を。毎日献立をご紹介します。

夏休みの保護者の献立・お弁当作りを応援!

一緒に夏を乗り切ろう Twitterフォロー&RTキャンペーン2023

詳細はこちら→ https://www.codmon.co.jp/?p=8257

期間:7/21(金)〜8/31(木)

たくさんの方のご参加をお待ちしています。






【株式会社コドモン 会社概要】



◆所在地:東京都港区三田3丁目13−16 三田43MTビル 3F

◆資本金:68,250,000円

◆代表者:代表取締役 小池義則

◆WEB:https://www.codmon.co.jp/

◆事業内容:子どもを取り巻く環境をより良くするための事業を手掛け、働く人にとっても働きやすい組織づくりを体現。子育てに優しい社会に変わるよう多角的に環境整備を行い、社会に貢献する。

◎こども施設職員の労働環境を整え、保育・教育の質向上を支える子育てインフラとしての保育・教育施設向けICTサービス「コドモン」の開発・提供。2023年6月末時点で、全国約14,500施設、職員約29万人が利用。全国約386の自治体で導入および実証実験の導入が決定。導入施設数・自治体導入施設数・契約自治体数でシェア1位(※)

◎保活中の保護者や求職者と保育・教育施設をつなげる採用・園児募集支援サービス「ホイシル( https://www.hoicil.com/ )」の提供。こども施設が簡単に施設の魅力を発信でき、保育学生や再就職希望者が採用情報にアクセスしやすいような情報提供を行う。

その他、保育園向け写真ネット販売「コドモンプリント( https://www.codmon.com/print/ )」こども施設を対象とした専門のECサイト「コドモンストア( https://store.codmon.com/ )」、現場で働く保育者の資質や専門性向上を目的としたオンライン研修サービス「コドモンカレッジ( https://college.codmon.com/ )」、こども施設職員への福利厚生サービス「せんせいプライム」などを展開。※(2023年1月株式会社東京商工リサーチ調べ)

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