クリエイティブの企画段階における「広告主・クリエイターの目的のすり合わせ」について、兵藤氏は「広告主側もオリエンテーション時点で目的やブランドのPOD(Point of Difference)*1 を明確にしきれていないこともあり、クリエイターによっては、キャンペーンの目的よりもアイデアが先行した提案になってしまっているケースがある」と課題を語りながら、キャンペーンの目的を達成するクリエイティブを企画するために、ブランドのPODを広告主だけが検討するのではなく、クリエイターと共に定義することの重要性を指摘しました。 これに対し川村氏は、認識の齟齬を生じさせない方法として、「プロジェクト初期でフラットなコミュニケーションがとれる状態を築くこと」「広告主からキャンペーンの目的と合わせて課題設定も提示することでクリエイターのアイデアの範囲に柵を設定すること」が重要であるとの見解を述べました。
*1 POD(Point of Difference):ここでは、他社のブランドとは差別化された自社ブランド固有の価値のことを指します
Whateverのチーフクリエイティブオフィサー。180 Amsterdam、BBH New York、Wieden & Kennedy New Yorkといった世界各国のクリエイティブエージェンシーでクリエイティブディレクターを歴任。2011年PARTYを設立し、New York及びTaipeiの代表を務めた後、2018年新たにWhateverをスタート。数々のグローバルブランドのキャンペーン企画を始め、プロダクトデザイン、テレビ番組開発、ミュージックビデオの演出など活動は多岐に渡る。カンヌ広告祭をはじめとした世界で100以上の賞を受賞し、アメリカの雑誌Creativityの「世界のクリエイター50人」、Fast Company「ビジネス界で最もクリエイティブな100人」、AERA「日本を突破する100人」に選出されている。