図1 慢性腎臓病の認知度


図2 慢性腎臓病の認知度の経年変化


図3 慢性腎臓病の生活習慣病としての認知度

NPO法人 日本腎臓病協会(東京都文京区、理事長:柏原 直樹、以下「日本腎臓病協会」)と協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本 昌志、以下「協和キリン」)は、2019年5月に締結した「腎臓病の疾患啓発活動に関する連携協定」に基づき、腎臓病に対する啓発活動の一環として、慢性腎臓病(CKD)の疾患認知に関するアンケート調査を継続的に実施しています。今回は2021年11月に実施した最新の調査結果についてお知らせします。

CKDは脳卒中、心臓病、認知機能障害とも関係しており、国民の健康寿命を損なう要因となっています。日本では1,330万人の患者がいると言われています※。これは成人の約8人に1人という計算になり、特に高齢者では有病率が高いとされています。
※:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018(編集 日本腎臓学会)より

今回は、20歳から50歳代の一般市民1,606名を対象に、慢性腎臓病(CKD)に関する認知度について、インターネットによる全国アンケート調査を実施しました。
その結果、慢性腎臓病(CKD)を「症状も含めてよく知っている」あるいは「病名だけは知っている」と回答したのは全体の55.9%で、2019年の初回調査結果より5.2ポイント上昇しました。年代別にみると、いずれの年齢層でも認知度向上が認められており、2019年時にはいずれも43.5%だった若年層(20及び30歳代)においても、40%後半まで上昇しています。(図1、図2)また、生活習慣病としては「糖尿病」「高血圧性疾患」がいずれも50%以上の高い認知度を示す一方、「慢性腎臓病」は27.4%と、生活習慣病としての認知度が低いことがわかりました。(図3)

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/300014/LL_img_300014_1.jpg
図1 慢性腎臓病の認知度
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/300014/LL_img_300014_2.jpg
図2 慢性腎臓病の認知度の経年変化
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/300014/LL_img_300014_3.jpg
図3 慢性腎臓病の生活習慣病としての認知度

慢性腎臓病(CKD)を認知している回答者のうち、健康診断における腎機能検査と尿検査項目の中で、この疾患とつながりの深いものを問う設問で回答が多かったのは、「尿蛋白」で51.4%となり、2019年の調査結果より5.9%上昇しました。その一方、臨床でCKDの重症度の指標として利用されているeGFR(推算糸球体ろ過量、腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示す)は15.5%となり、非常に認知度が低いことがわかりました。
さらに「タンパク尿」や「血清クレアチニン高値」を放置することで起こりうるのは何かという設問では、「人工透析による継続的な治療」が最も多く、58.6%でした。

今回の調査結果について、日本腎臓病協会理事長、川崎医科大学副学長 腎臓・高血圧内科学 主任教授の柏原 直樹先生は次のように述べています。
「糖尿病や高血圧、高脂血症、肥満症は生活習慣病として広く認知されています。慢性腎臓病(CKD)はこれらの疾患とも関連が深く、20代、30代といった若年期からの生活習慣が発症に大きく影響しています。2019年から継続している調査結果から、慢性腎臓病(CKD)自体の認知は向上していますが、生活習慣病としての認知は他疾患に比べて低い状況に変化がないことが分かりました。今後、疾患の予防に向けた対策を進めていくうえで、年代に応じた適切な情報発信を継続し、腎臓病の克服を目指してゆきたいと思います。」
今回のアンケート調査の詳細については、今後学会発表を予定しています。

日本腎臓病協会と協和キリンは今後も「腎臓病の疾患啓発活動に関する連携協定」に基づき、慢性腎臓病に関する疾患認知度調査の実施をはじめ、医療連携に関する医師向け講演会や報道関係者対象のセミナーの開催など、腎臓病の疾患啓発と対策活動に協力して取り組みを進めていきます。


■eGFRとは
Estimated glomerular filtration rate(推算糸球体ろ過量)の略。腎移植ドナーなど正確な腎機能評価が必要な場合にはGFR測定のgold standardであるイヌリンクリアランス法を実施しますが、日常臨床では血清クレアチニン値の測定結果を基に算出されるeGFRが用いられます。


■日本腎臓病協会について
日本腎臓病協会は、医療者、市民、関連企業、行政等が連携し腎臓病を克服するために、立ち上げた組織です。腎臓病の普及啓発、診療連携体制の構築、腎臓病療養士制度の運営、患者会との連携、アカデミアと関連企業、行政等が連携するプラットフォームである「Kidney Research Initiative-Japan(KRI-J)」を運営します。日本全国どこにいても、良質な医療の恩恵を享受できる環境の実現に尽力します。「腎臓病の克服」が私共の願いです。
詳細は https://j-ka.or.jp/ をご覧ください。


■協和キリンについて
協和キリンは、Life-changingな価値をもつ新しい医薬品を創出し、患者さんへ届けることに真摯に取り組んでいます。70年以上の歴史をもつ日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして、腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経などの様々な治療領域において、抗体医薬品の研究をはじめ最先端の科学・技術の応用に邁進し、患者さんと社会のニーズに応えます。4つの地域―日本、アジア/オセアニア、北米、EMEA―にわたり、協和キリンは共通の価値観であるコミットメント・トゥ・ライフ、イノベーション、チームワーク/和・輪、インテグリティのもと、病気と向き合う人々に笑顔をもたらすために尽力します。
協和キリンの事業について、詳しくはこちらのサイトでご覧ください。 https://www.kyowakirin.co.jp
情報提供元: @Press