- 週間ランキング
大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、ミトコンドリアに存在する酵素「MITOL」(読み方:マイトル)と肌の老化に関する研究を行っておりますが、この度、MITOLが減少することで、皮膚、細胞が老化する可能性を見出しました。MITOL減少を防ぐことが、若々しさを保つ新しいアプローチとなると考えられます。
今回、当社がこれまでに見出したMITOLを増やす成分[モモ、ハマメリスの葉、ボタンの根(ボタンピ)抽出物]について、肌の細胞への効果を検証し、肌の見た目や表面状態、うるおい、ハリ弾力などに寄与する生体因子※1を増やす働きがあることを確認しました。なお、研究成果の一部をもとに特許を出願しております。
※1カリクレイン5、カリクレイン7、トランスグルタミナーゼ1など
更に、エイジングによりMITOLが減少した皮膚では、慢性炎症が生じ、老化が更に加速される可能性などを見出し、その研究成果を第39回日本美容皮膚科学会総会・学術大会(京都市 国立京都国際会館、2021/7/31-2021/8/1開催)にて発表しました。MITOL研究への注目度は高く、本演題は優秀演題賞を受賞いたしました。
画像 : https://newscast.jp/attachments/iVkRlbOE6mCT3IqcMyi5.jpg
MITOLを増やす成分による肌への効果と老化の抑制 イメージ
以上のことから、モモ、ハマメリスの葉、ボタンの根より得られる抽出物を活用することで、肌の見た目や表面状態、うるおい、ハリ弾力に寄与する生体因子を増やし、更にMITOLを保つことで老化を食い止めることができると考えられます。当社は今後もMITOL研究を継続し、エイジングケア商品の開発に応用してまいります。
以下に研究の詳細をご説明します。
■MITOLを増やす成分の肌への効果
当社ではこれまでにMITOLを増やす成分を複数見出しておりますが、それらの成分と肌の美しさの関係について、今回検討を行いました。その結果、モモ、ハマメリスの葉、ボタンの根から得られる抽出物を組み合わせると、肌の見た目や表面状態、バリア機能に寄与している因子が増えることが確認されました(図1、図2)。興味深いことに、それぞれの抽出物単独では効果が認められなかったことから、3つの抽出物を組み合わせることで相乗的な効果が発揮された可能性があります。なお、本研究成果をもとに特許を出願しております。
画像 : https://newscast.jp/attachments/0iQT6pGA1DK7AwWcLGTt.jpg
画像 : https://newscast.jp/attachments/FtXx5TJmOZha5pD6qNSB.jpg
画像 : https://newscast.jp/attachments/vzq05oQNKPYHfNTJK20x.jpg
図1. MITOLを増やす成分の肌の見た目や表面状態、バリア機能に寄与する因子の遺伝子発現増加作用
3つの成分の単独あるいは混合物が肌細胞におけるカリクレイン5、カリクレイン7およびトランスグルタミナーゼ1遺伝子発現量に与える影響を検討した。その結果、単独群では影響がなかったが、混合物群では遺伝子発現量の増加が確認された。なお、縦軸を遺伝子発現量、横軸を実験群として、コントロールに対する相対発現量として示した。
平均値+標準偏差、n=3、***:p
図2. カリクレイン5、カリクレイン7およびトランスグルタミナーゼ1の肌での働き
また、3つの成分の組み合わせが、肌のうるおいを保つ可能性(表皮からの水分蒸散を抑える作用)やハリ弾力に効果を示す可能性(紫外線照射時の真皮タンパク質及び真皮タンパク質分解酵素の遺伝子調節作用)も見出しました。
以上より、3つの成分を組み合わせることにより、肌の見た目や表面状態、うるおい、ハリ弾力に効果を示す可能性が考えられました。
■新たな研究成果 -優秀演題賞受賞-
~ MITOL減少による慢性炎症と老化の加速~
これまでに当社では、エイジングによりMITOLが減少することが引き金となり、肌老化(シミ、乾燥、シワなど)に繋がる可能性を見出しておりました(2021年6月30日リリース)。今回は、MITOL減少が細胞にどのような変化を引き起こすのかを検討しました。
その結果、MITOLを減少させる処置を施した肌細胞では、IL1α、IL6、IL8、TNFαなどの炎症性物質の遺伝子発現量が増加していることが確認され(図3)、組織において炎症反応が生じている可能性が示されました。また、IL1α、IL6、IL8については、増殖を停止した老化細胞から分泌されるSASP因子としても知られており、周囲の組織に悪影響を及ぼすことが報告されています。
図3. MITOL減少細胞における炎症性物質の遺伝子発現量の増加
MITOLが減少した肌細胞の炎症性物質(IL1α、IL6、IL8およびTNFα)の遺伝子発現量を評価した。正常時(コントロール細胞)と比べ、MITOL減少細胞では、炎症性物質の遺伝子発現量が増加した。なお、縦軸を遺伝子発現量、横軸を実験群として、コントロールに対する相対発現量として示した。
平均値+標準偏差、n=3、***:p
慢性的な炎症により老化が加速する“インフラマエイジング”という考え方がありますが、MITOL減少によりインフラマエイジング、つまり老化の加速が起こる可能性が考えられました。
これまでの研究成果とあわせると、エイジングによりMITOLが減少すると、肌の機能が低下する肌老化に加え、慢性的な炎症状態に陥り、老化が加速する悪循環が生じる可能性が考えられました(図4)。なお、本データを含めた研究成果を第39回日本美容皮膚科学会総会・学術大会で発表し、優秀演題賞に選出されました。
図4. エイジングによるMITOL減少と老化の加速のイメージ
■MITOLを増やす成分で若々しい肌へ
本研究により、MITOLを増やす成分であるモモ、ハマメリスの葉、ボタンの根より得られる抽出物が、肌の見た目や表面状態、うるおい、ハリ弾力に寄与する因子を増やしながら、MITOL減少による老化加速の悪循環を抑える可能性が示唆されました。当社は今後もMITOL研究を継続し、エイジングケア商品の開発に応用していきます。
【リリース】若返りの鍵MITOLを増やす成分の持つ効果.pdf