防災スイッチ


コロナ以前との防災意識・行動の変化


性格タイプの構成比


6つの性格タイプの特徴

「パーソナライズド防災研究所」プロジェクト(一般社団法人減災ラボ:神奈川県横浜市、代表理事 鈴木 光、 https://www.gensai-lab.com/ 、一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワーク:神奈川県横浜市、代表理事 上島 洋、 https://www.bosai-diorama.or.jp/ )は、2020年10月、東京23区在住の30・40代男女1,120人を対象に「パーソナリティと日頃の防災に関するアンケート」調査を実施いたしました。


画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/243008/LL_img_243008_1.jpg
防災スイッチ

■調査結果サマリー
▼[Big5理論]を用いた性格特性分析により、対象者の性格を6つのタイプ、「ノーマル」「きまじめ」「大人しい」「わがまま」「ナーバス」「優等生」に分類

▼防災意識が高く、日頃から備えを実践しているのは「優等生」と「きまじめ」タイプ

▼「ナーバス」タイプの人は気になって検討はするものの、実施に至っていない傾向が強い

▼日頃の防災行動を促すきっかけとなる効果的な“防災スイッチ”は、性格タイプや男女によって異なる


■調査背景
コロナ禍で避難所の感染対策や在宅避難の必要性などが唱えられる中、災害への日頃の備えに対する人々の意識は高まっています(当調査より。下記グラフ参照)。こうした例のように何らかの刺激によって防災意識の向上や行動が促進される一方で、意識の高い人とそうでない人、災害に対してしっかりと準備している人とそうでない人とが存在しているのもまた事実です。
当プロジェクトでは、日頃の備えに対するこうした差の理由として、個人のパーソナリティ特性に着目。防災行動を促進する要因をパーソナリティのタイプによって説明することができれば、その人に合った、受け入れられやすい防災のアプローチを提案できるのではないか。私たちはそう考えました。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/243008/LL_img_243008_2.jpg
コロナ以前との防災意識・行動の変化


■[Big5理論]*1の5因子(外向性/協調性/勤勉性/神経症傾向/開放性)の傾向から、対象者の性格を6つのタイプに分類。

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/243008/LL_img_243008_3.jpg
性格タイプの構成比



性格に関する10の質問への回答結果を用いてクラスター分析を実施。(1)すべての因子が平均的な「ノーマル」、(2)協調性・勤勉性・神経症傾向が高い「きまじめ」、(3)協調性が高い「大人しい」、(4)外向性が高く協調性と勤勉性が低い「わがまま」、(5)神経症傾向だけが突出している「ナーバス」、(6)神経症傾向以外のすべての要素が高い「優等生」という6つのタイプに分類されました。

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/243008/LL_img_243008_4.jpg
6つの性格タイプの特徴


■防災意識が高く、日頃から備えを実践しているのは「優等生」と「きまじめ」の2タイプ。
「ナーバス」タイプの人は気になって検討はするものの、実施に至っていない傾向が強い。

画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/243008/LL_img_243008_5.jpg
日頃の防災行動の実施状況(ある程度実施している+しっかり実施している)

飲料・食料の備蓄や自宅周辺のリスク確認など、日頃の防災行動の実施率(ある程度実施している+しっかりと実施している)が高いのは「優等生」と「きまじめ」で、以下、「ノーマル」「わがまま」「大人しい」の順となっています。このグラフにはありませんが、「ナーバス」では“検討したが実施していない”と回答した人が他よりも多く見られます。


■日頃の防災行動を促すきっかけは、(1)日常の買い置き(ローリングストック)の効用への気づき、(2)首都直下地震の被害想定の認知、(3)友人の体験談など。性格タイプや男女によって効果的な“防災スイッチ”は異なる。

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防災行動の実施モチベーションへのつながり


“防災スイッチ”が多いのは「優等生」と「きまじめ」。「大人しい」は他人に迷惑をかけたくないという気持ちが、「わがまま」と「ナーバス」は避難所や在宅避難など災害時に体験する具体的なことがらの想起がきっかけとなりやすい。「ノーマル」の人たちは総じて反応が弱く、ボリュームゾーンでもあるこの層をどう動かすかは課題と言えそうです。


■まとめ
今回の調査によって、性格タイプによって日頃の防災意識や行動には差があり、備えを促すことにつながる刺激=“防災スイッチ”にも違いがあることがわかりました。今後これらの知見を活用し、ひとりひとりの性格タイプに応じた防災アプローチや、防災用品の普及・開発などに取り組んで参ります。
無理なく、自分らしく、結果として今まで以上に備えられる社会の実現に向けて、こうした仕組みづくりなどをご一緒いただける個人・法人のパートナーの皆さまを募集しておりますので、お気軽にご連絡ください。


■調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:東京23区在住の20~79歳の男女 1,508名。うち本リリースの分析対象者は30・40代男女1,120名。
調査期間:2020年10月2日~6日
※各集計値は東京23区の男女別5歳階級年齢構成比に合わせてウェイトバックを行った値


■「パーソナライズド防災研究所」 プロジェクト概要
パーソナライズド防災研究所は、一般社団法人減災ラボと一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワークが立ち上げたプロジェクト型の研究所です。パーソナライズされた防災のあり方を社会に提供することで、防災行動を起こす人の数を増加させ、災害時の被害を限界まで減らすことを目指します。


▼一般社団法人 減災ラボ 法人概要
代表者: 代表理事 鈴木 光
設立 : 2015年4月
所在地: 神奈川県横浜市港北区師岡町468-12-510
URL : https://www.gensai-lab.com

事業内容:
減災ラボは、「しなやかに災害に向き合い 乗り越える」をモットーに、時に楽しさや軽やかさも添えて命に繋がる大切なことをわかりやすく伝えていくことを目指しています。また、防災、ソーシャル、学問・知学、メディア、コミュニティ形成のプロ集団であり、ユニークで多様な外部団体とも有機的に繋がっています。これらのネットワークで、未来型の減災社会をクリエイトしていきます。

▼一般社団法人 防災ジオラマ推進ネットワーク 法人概要
代表者: 代表理事 上島 洋
設立 : 2015年4月
所在地: 神奈川県横浜市中区相生町2-52-302
URL : https://www.bosai-diorama.or.jp/

事業内容:
段ボールで作るジオラマを使った楽しく実践的な防災授業を通じて、まちを知ることの面白さ・大切さを伝えています。自分の手でジオラマを組み立てることでまちへの興味が高まり、地域に潜む危険を身近なものとして感じ、考えることにつながります。


■転載・引用に関する注意事項
本アンケートの著作権は、パーソナライズド防災研究所プロジェクトが保有します。調査レポートの内容についてはご自由に引用・転載いただいて構いませんが、引用・転載時には必ず「パーソナライズド防災研究所」を明記いただきますようお願い申し上げます。


(*1) パーソナリティ特性論において、知見を積み重ねているモデル。本アンケートでは、10項目でビッグ・ファイブ・パーソナリティを測定するTIPI-J(日本語版Ten Item Personality Inventory)を利用した。

◎小塩真司・阿部晋吾・カトローニ ピノ (2012). 日本語版Ten Item Personality Inventory (TIPI-J)作成の試み パーソナリティ研究, 21, 40-52. doi: 10.2132/personality.21.40 (Oshio, A., Abe, S., & Cutrone, P. (2012). Development, reliability, and validity of the Japanese version of Ten Item Personality Inventory (TIPI-J). The Japanese Journal of Personality, 21, 40-52.)
◎Oshio, A., Abe, S., Cutrone, P., & Gosling, S. D. (2013). Big Five content representation of the Japanese version of the Ten-Item Personality Inventory. Psychology, 4, 924-929. doi: 10.4236/psych.2013.412133
◎Oshio, A., Abe, S., Cutrone, P., & Gosling, S. D. (2014). Further validity of the Japanese version of the Ten Item Personality Inventory (TIPI-J): Cross-language evidence for content validity. Journal of Individual Differences, 35, 236-244. doi: 10.1027/1614-0001/a000145
情報提供元: @Press