図1:家庭のエネルギー消費量(電気・ガス・灯油の合計)の前年同期間比較(出典1)
図2:冷房デグリーデーの前年同期間比較(出典2)
図3:支払金額(電気・ガス・灯油の合計)の前年同期間比較(出典1)
図4:光熱費(電気・ガス・灯油の合計)、消費支出、及び、光熱費が消費支出に占める割合(出典1)
株式会社 住環境計画研究所(代表取締役会長:中上 英俊、東京都千代田区紀尾井町3-29 紀尾井町アークビル3階)では、総務省統計局の家計調査(二人以上の世帯)の結果(出典1)を用いて、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大及びその防止に伴う家庭のエネルギー消費への影響を分析いたしました。本報告では、7~9月四半期のデータを分析した結果をご報告いたします。本報告でのポイントは下記の2点です。
ポイント1:7~9月四半期の世帯当たりのエネルギー消費量は6.30GJで前年同期間比3.7%増加
ポイント2:7~9月四半期の世帯当たりの光熱費は前年同期間比で実質4.4%増加
詳細は下記をご参照ください。
<ポイント1>
7~9月四半期の世帯当たりのエネルギー消費量は6.30GJで前年同期間比3.7%増加
●7~9月四半期の二人以上世帯当たりの電気・都市ガス・プロパンガス・灯油を合計したエネルギー消費量(*1)、(*2)は、全国平均で6.30GJで、2019年同期間6.08GJから0.22GJ増加(+3.7%)となっています。そのうち電気の消費量は3.90GJで、2019年の3.71GJから0.19GJ増加(+5.1%)となっています。(図1)
●2019年7~9月四半期のエネルギー消費量は2018年と比べ0.24GJ減少(-3.9%)となっていますが、その主要因は気温の影響であったと考えられます。一方2020年の同期間については、エネルギー消費量は2018年と同水準になっているものの(2018年6.32GJ→2020年6.30GJ)、気温の影響は2018年と2019年の中間程度の水準に留まっています(*3)。(図1及び図2)
●2020年7月~9月は政府からの緊急事態宣言発令は解除されたものの、例年と比べると外出を控える傾向が続いていました(出典3)。このことは、エネルギー消費量増加の主要因となっている可能性があります。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/236990/LL_img_236990_1.png
図1:家庭のエネルギー消費量(電気・ガス・灯油の合計)の前年同期間比較(出典1)
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/236990/LL_img_236990_2.png
図2:冷房デグリーデーの前年同期間比較(出典2)
<ポイント2>
7~9月四半期の世帯当たりの光熱費は前年同期間比で実質4.4%増加
●7~9月四半期の二人以上世帯当たりの電気・都市ガス・プロパンガス・灯油の支払金額(光熱費)の合計は全国平均で40,563円で、前年同期間の39,917円から646円増加(+1.6%)しています。(図3)
●エネルギー価格変動の影響を考慮した前年同期間比の実質増減率(*4)(図3)をみると、2020年は+4.4%(+1,756円)となりました。エネルギー価格の低下により、光熱費の前年同期間からの増加が抑えられていると言えます。
●光熱費が消費支出に占める割合は2019年の4.5%から5.0%と0.5ポイント増加しています。この増加には、消費支出の大幅な減少(-8.1%)が影響しています。(図4)
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/236990/LL_img_236990_3.png
図3:支払金額(電気・ガス・灯油の合計)の前年同期間比較(出典1)
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/236990/LL_img_236990_4.png
図4:光熱費(電気・ガス・灯油の合計)、消費支出、及び、光熱費が消費支出に占める割合(出典1)
なお、本報告に関連して以下のプレスリリースを発表しておりますので、併せてご参照いただけますと幸いです。
【第一報】 http://www.jyuri.co.jp/3206/
【第二報】 http://www.jyuri.co.jp/3283/
<注釈>
*1 エネルギー種別の発熱量は資源エネルギー庁「エネルギー源別標準発熱量・炭素排出係数(2018年度改訂)」(2020年1月)の値を適用しました。
*2 都市ガスはガス事業生産動態統計調査(資源エネルギー庁)の四半期報から単価を算出し、購入数量を推計しました。
*3 気温の影響は冷房デグリーデーを用いて考察しました。冷房デグリーデーとは、該当期間内の日平均気温が24℃超となる日を対象に「日平均外気温と基準温度(22℃)との差」を日積算したものです。
*4 実質増減率は名目増減率と当該品目の消費者物価指数の変化率を用いて算出しました。
<出典>
1) 総務省統計局「家計調査結果」( https://www.stat.go.jp/data/kakei/index3.html )の2018年~2020年の7月~9月の電気・都市ガス・プロパンガス・灯油の支払金額・購入数量及び、消費支出を用いて作成しました。
2) 気象庁「過去の気象データ・ダウンロード」( http://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php )より、札幌、仙台、東京、富山、名古屋、大阪、岡山、高松、福岡、那覇の当該期間における日平均気温データを取得しました。なお、家計調査における光熱費データは、支払時期ベースで計上されているため、消費時期と1か月程度の乖離があると考えられます。そのため、気象データは6~8月のデータを参照しました。
3) NTTドコモ「モバイル空間統計」( https://mobaku.jp/covid-19/ )より、全国95地点における7/1~9/30の日別人口(15時時点)の前年同月比増減率を取得し集計しました。
■住環境計画研究所について
株式会社 住環境計画研究所(東京都千代田区、代表取締役会長:中上 英俊)は、1973年の創業以来、47年にわたり「住」を核としたシンクタンクとして活動を続けています。近年は特にエネルギー問題、地球環境問題を念頭に置き、環境負荷の小さい住環境とライフスタイルの実現に向けた研究に注力しています。特に、家庭のエネルギー使用状況の調査・研究については豊富な実績・ノウハウを持っています。現場の「暮らし」と「環境」を見据え、最適なソリューションを提案してまいります。
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