GRACEの概要図

KPMGコンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長兼CEO:宮原 正弘、以下、KPMGコンサルティング)は、自然言語処理技術を活用し、ライフサイエンス業界におけるコンプライアンス対応を効率化・高度化するRegTechに対応したAI(人工知能)ソリューション、「GRACE(グレース、General Regulatory Affairs and Compliance Enhancer)」を開発し提供を開始しました。



ライフサイエンス業界は近年デジタルヘルスの進展・浸透をはじめとするデジタルトランスフォーメーション(DX)により、自社製品に関連した領域のみならず、疾患の診断から治療、予後の経過にいたるまで患者の一連の流れに関与し、また医療従事者のみならず患者やその家族と接点を持つなど、企業が取り扱う情報の量と多様性が増大しています。さらに、取り扱う情報の量・質の変化は、ライフサイエンス企業が事業を継続する上で遵守が必要な各種規制やガイドラインに関連した情報も増大しています。そのため、従来の目視によるモニタリングと確認では、一部の専門性を有する担当者への負担集中やコンプライアンスを適切なレベルで確保することに困難が生じるケースが増加しています。



GRACEは、自然言語処理技術による高度な文脈理解に基づき広告などのプロモーション資材や契約書等の審査業務を支援するAIソリューションです。本ソリューションを活用することで、全量・一括チェックによる抜け・漏れ防止、属人化の排除・全体的なリテラシー向上による品質の底上げ、確認作業にかかる時間の短縮・夜間や週末などバッチ処理による効率的な時間の利用などの効果が期待できます。



画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/229968/LL_img_229968_1.jpg

GRACEの概要図



■GRACE活用ユースケース:プロモーション資材の広告規制対応

日本における医薬品、医療機器等に関するプロモーション資材は、薬機法*、医薬品等適正広告基準、および各種業界自主規制等により、その記載内容、表現等が規制されており、企業は、プロモーション資材がこれらの規制に準拠していることを審査し、管理することが求められています。特に、製薬業界で2019年より適用が開始された販売情報提供活動ガイドラインでは、従来の「広告」よりも広義な「販売情報提供活動」が定義され、全体に対する監督部門を設置して活動を管理する要求が明記されるなど、コンプライアンス要求レベルが近年高まっている領域の一つです。

審査では、記載内容の理解に基づく確認が求められるため、従来は専門性を有する担当者による目視で文書を確認し、さらに度重なるガイドラインなどの変更に対する各審査担当、各作成担当者の理解の差により文書確認の品質面においてもバラつきが発生する課題を抱えていました。GRACEは、これらの状況に対して、作成担当者、審査担当者のそれぞれの業務に即した形で活用することが可能です。

*薬機法:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律。



>作成担当者向け表現のチェック支援

言葉の類似性解釈によって、過去の実績やガイドライン上、具体的に禁止されている表現などのチェック支援に活用が可能です。作成担当者のセルフチェックによって自己解決を促したり、審査側にレビューを依頼する前の段階で文書品質の底上げを図ったりすることで、レビュープロセスの工数削減効果が期待できます。



>審査側担当者向け専門的な内容のチェック支援

高度な文脈理解によって、プロモーション資材中に記載されている内容と製品添付文書などの鏡となる文書の内容の矛盾チェックを支援することが可能です。高度な専門性が要求される内容チェックの効率向上や審査側の担当者の知識レベルの差を埋め、レビュー品質の向上・均質化に寄与します。



GRACEは複数の自然言語処理技術から構成されており、技術を解決すべき課題に合わせて応用することで様々なケースに対応し、審査業務のQCD向上に寄与します。将来的に現在対象としているテキストのチェックだけでなく、画像や動画のチェックも可能とし、ライフサイエンス業界だけでなく様々な業界のコンプライアンス業務における課題にも対応できるRegTechソリューションとして今後も継続的に強化を図り、展開していきます。

患者を中心とする医療を実現するためのDXは、ライフサイエンス企業に新たなビジネスモデルの機会を提供し競争力の源泉となる一方で、コンプライアンス対応はライフサイエンス業界での事業継続の観点から欠かせない要素の一つであり、個人情報の取り扱いからGxP、医療用医薬品等に課せられる広告規制まで様々なオペレーションの変革が求められると予想されます。KPMGコンサルティングは、RegTechをライフサイエンス企業のDX実現のために不可欠な基盤と捉えており、業界における高い専門性と高度なデジタル技術のコラボレーションにより、実際に業務に活用できるAIを確立し、ライフサイエンス企業のDXの実現を支援していきます。





■KPMGコンサルティングについて

KPMGコンサルティングは、KPMGインターナショナルのメンバーファームとして、ビジネストランスフォーメーション(事業変革)、テクノロジー、リスク&コンプライアンスの3分野でサービスを提供するコンサルティングファームです。戦略、BPR、人事・組織、PMO、アウトソーシング、ガバナンス・リスク・コンプライアンス、ITなどの専門知識と豊富な経験を持つコンサルタントが在籍し、金融、保険、製造、自動車、製薬・ヘルスケア、エネルギー、情報通信・メディア、サービス、パブリックセクターなどのインダストリーに対し、幅広いコンサルティングサービスを提供しています。

情報提供元: @Press