培養・非培養の幹細胞治療を比較


培養・非培養それぞれの幹細胞治療の工程

ひざ関節症クリニックグループは、ヒトの変形性ひざ関節症の治療において、脂肪幹細胞を培養した場合としなかった場合の効果を比較する調査を、世界で初めて実施。培養した場合において、痛みの改善と安全性の面で有意な結果が見られたことをご報告いたします。

この研究内容は、整形外科領域において高い影響度を持つ医学誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン(AJSM)」に掲載されました。人生100年時代、国内におよそ3,000万人といわれる変形性ひざ関節症の患者さまの明るい未来を切り開くべく、今後も調査と報告を続けて参ります。



画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/191491/LL_img_191491_1.jpeg

培養・非培養の幹細胞治療を比較



■幹細胞を培養した場合、より高い有効性を確認

本研究では、ひざ関節症クリニックグループが行ってきた2つの脂肪幹細胞治療(幹細胞を培養する/培養しない)における効果や安全性を比較。その結果、非培養の治療に比べ、培養幹細胞治療では同等以上の改善が見られ、治療に伴う有害事象も少なかったことが分かりました。

中でも、100を最大として痛みの強さを示す評価指数(VAS)では、平均値が治療後1ヶ月にかけて約30スコア低下。約20スコアの低下となった非培養の治療に比べて有意な改善が得られており、1ヶ月以降も効果が持続していることを確認しました。

本調査で行った複数の評価指標の結果を加味しても、変形性ひざ関節症に対して培養幹細胞治療が有効であると認められます。

研究内容詳細: https://www.knee.or.jp/about-oa/asc-svf/





■身体への負担が小さく効果の高い治療の追究

脂肪幹細胞には炎症や痛みを抑える作用があり、ひざに注入することで関節内の状態を整える効果が期待できます。また、軟骨や骨などの組織に分化する能力もあるとされています。

当グループでは、低侵襲で高い効果をもたらすことを期待して、幹細胞を培養する方法を採用。これは、少ない脂肪採取量で多くの幹細胞を得ることができるためです。診療現場において非培養の治療が行われることが多いにも関わらず、培養・非培養を比較する研究はなかったため、当グループではそれらを比較するデータを集積し、報告しました。





■当グループにおける幹細胞治療(培養・非培養)の手順

培養する場合は約20mL、非培養の場合は約200mLの脂肪を、腹部から採取。非培養の場合、そのまま院内の設備を使用して幹細胞を取り出し、当日中にひざへ投与します。

培養する場合、厚生労働省から認可を受けた細胞加工施設にて、脂肪から幹細胞を含む細胞群を抽出します。6週間ほどかけて幹細胞を培養したものを小分けに凍結保存し、患者さまの希望するタイミングで溶解してひざへ投与します。





■論文掲載概要

著者 :横田直正、服部麻倫、大鶴任彦、尾辻正樹 ほか

タイトル:変形性ひざ関節症に対するASCとSVFの関節内投与の治療成績(Comparative Clinical Outcomes After Intra-articular Injection With Adipose-Derived Cultured Stem Cells or Noncultured Stromal Vascular Fraction for the Treatment of Knee Osteoarthritis.)



掲載媒体 : American Journal of Sports Medicine

(アメリカン・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン)

掲載日 : 2019年8月2日

電子版URL: https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0363546519864359?journalCode=ajsb&





《ひざ関節症クリニックグループ概要》

銀座、新宿、大宮、横浜、大阪の5院で、変形性ひざ関節症の治療を専門に行っています。これまで、同疾患の治療法はヒアルロン酸注射や鎮痛剤の服用などが基本であり、それらで効果が見られない場合、骨切り術や人工関節手術を受ける他に手段はありませんでした。

そこで、患者さまご自身の関節を残した状態で痛みを緩和できる、低侵襲な再生医療の分野に特化。「痛みがつらいけれど、手術は受けたくない」というご要望にお応えすべく、診療を行っております。

公式サイト: https://www.knee.or.jp/

情報提供元: @Press