佐藤 喜政 氏 ナオス・テック株式会社会長
櫻井 宏行 氏 UR都市機構東日本賃貸住宅本部東京東エリア経営部課長
UR都市機構のリノベーション住宅「UR-CLASS2」
世界最高レベルの空気清浄機「ナオセールミストウォッシュ」
シックハウス対策を始め住環境メンテナンスで独自のノウハウを持ち、凸版印刷株式会社や大手建材メーカーとも提携する、仙台のナオス・テック株式会社(佐藤 喜政会長)が開発した消臭システムの実証実験が、東京都内のUR賃貸住宅で行われていたが、「人間の体感では問題がないレベルにまで消臭された」と効果を確認、「見えない臭気」対策に大きな効果があることが実証された。
佐藤会長は「UR賃貸住宅での実証試験の効果を出来るだけマニュアル化して、日本全国に広めたい」と、新たな商材開発も視野に入れ浸透をはかる。
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佐藤 喜政 氏 ナオス・テック株式会社会長
■長年悩まされてきた臭気問題に光明
独立行政法人都市再生機構(UR)は、全国約74万戸の賃貸住宅を管理運営する。今回実証実験を行った東日本賃貸住宅本部東京東エリア経営部は、東京23区のうち14区にある約5万戸を管轄する。
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UR賃貸住宅を「より魅力ある商品に作り変え、お客様に選ばれる住宅を提供できるか」を実現するハード対策は、同部に取って至上命題。「新築に負けないリノベーション」をキーワードに2016年からスタートしたリノベーション住宅「UR-CLASS2(ユーアール―クラスクラス)」は、水回り設備の快適性と内装デザインのトータルコーディネートにこだわった住宅として注目されている。
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■タバコ、ペット臭からアロマ、スパイス臭、火事跡臭まで
そのURが長年の間、悩まされていたのが住宅の「見えない臭気」問題。これまでは、壁のクロス張替えや畳替えなど一般的な修繕工法で対応してきたが、居住者の生活様式の多様化などから住戸内の臭気もその種類や強度が多様化しているという。
臭気の主なものは、タバコ、油系、アロマなどの香、香水系、尿などのペット臭、スパイスなどで、ナオス・テックの佐藤会長は「火災による火事跡臭などはもっとも対策が複雑で、解決困難な場合が多い」という。
URの東京東エリア経営部でハード対策を担当する櫻井 宏行ストック技術課課長が、換気や臭気の元となる部分の交換など複数の工法でトライ&エラーを繰り返してきた中で出会ったのがナオス・テックの消臭システムだった。
■4つを駆使した世界最先端技術
2017年1月から12月の間に8戸のUR賃貸住宅でナオス・テックが提案した臭気改善システムで実験を行ってきた結果、「すべてが商品化レベルにまで臭気が取れ、効果が実証できた」と語る。
このシステムは、現場で臭気の原因物質の分析から始まり、これを数値化して、原因物質に合わせた薬剤を浸透させて無害化、中和させ、さらに同社が2016年に開発した空気清浄機「ナオセールミストウォッシュ」で臭気を回収、空気を清浄化させる。さらに臭気を極限まで低減してからラッピングコート剤と新開発の特殊シートで封じ込めるという4つを組み合わせた「世界最先端の技術」(野崎 淳夫東北文化学園大学大学院健康社会システム研究科教授)だ。
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ナオセールは、部屋ごとに異なる空気汚染物質に対応した脱臭、除菌などの効果を持つ液剤をフィルターに自動添加するミストウォッシュ機構を持ち、強力な空気清浄機能を長期間持続させる。経済産業省認定事業ともなり、国際特許も取得した。部屋ごとに抱える問題に適した液剤を配合するため、老人施設や医療施設、ペット共生住宅など、あらゆる建築空間の臭気や化学物質、微生物を低減・除去できる。
インフルエンザやノロなどのウイルスに対し99・9%の除去率を示し、ペット臭や生ゴミ臭のアンモニア、硫化水素、トリメチルアミンも99・9%除去。他社の空気清浄機では除去できないタバコ煙に含まれる有害物質にも高い除去性能を発揮、2016年11月に世界最高値を記録した。
建材・家具などから放散されるホルムアルデヒド、トルエン、キシレンなど多数の化学物質に対しても、他社製品と比べ数十倍から数百倍の除去性能を有していることから、シックハウスや化学物質過敏症の患者にとっても待望の製品でもある。
同社は、短工期、低コストの床リフォーム工法のナオスフローリング(フローリングカバー工法)も開発販売、URはじめ大手デベロッパー、住宅メーカーも指定商品として使用、首都圏を中心に想定の300%の需要がある。売上も16年度1.9億円、17年度3.5億円、18年度は4.5億円、19年度は10億円を見込む。FC加盟店も北は北海道から沖縄まで450の工務店などが加入、19年度は600店を目指している。
■深刻化する賃貸空き家。「空気の洗濯」で差別化はかれ
佐藤会長は「現在でも供給過剰となっている賃貸住宅の空き家問題は、今後さらに深刻化する。その賃貸市場で、首都圏はおろか地方においてこそ単なる室内の現状回復に留めず、空気の洗濯(臭い対策)まで手がけ差別化することで、付加価値を上げないと、入居者確保にも苦労することになるのではないか」と、賃貸オーナーや管理不動産企業に警鐘を鳴らしている。
■最新の空気環境改善システムの開発で新たなビジネス需要生む
わが国の室内空気環境の学術的改善対策の第一人者である野崎教授に、ナオス・テックの技術的成果や取り組みについて聞いた。
室内空気環境問題は2000年代当初から、シックハウスという形で表面化した。研究室ではVOC(ホルムアルデヒドなどの有機化合物)を研究しているが、それ以外の臭いの対策が求められてきていた。
具体的にはペット臭やカレー臭、香水臭、さらに死臭や火事跡臭などだ。それが原因で建物内部に臭気が残り、次の利用者にすんなりと渡せず、販売の阻害要因となっていることは、意外と知られていない。
そこに注目して、見えない臭気の原因物質を特定、数値化、一物質ずつに対応した薬品で中和させ、さらに新しく開発した空気清浄機で回収と換気を繰り返し、空気環境を改善するという技術は世界でも初めてのもので、期待感は大きい。
室内温度を上げ、臭い物質を外に出してから、臭気の原因物質に合わせて薬剤を選択できる点が特徴の一つだ。大手家電メーカーの消臭機の20倍以上の性能を持っており、今後は、住宅ばかりでなく病院、ホテル、福祉施設などでの需要が増えるはずだ。
<プロフィール>
東北文化学園大学大学院健康社会システム研究科、
科学技術学部建築環境学科教授 野崎 淳夫 氏
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日本臨床環境医学会理事
室内環境学会評議員・東北支部長・各種委員会委員長
国交省各種委員会委員長
日本建築学会空気環境小委員会委員長
日本空気清浄協会空気清浄装置性能評価委員会委員
日本インテリア学会支部評議員 など
日本建築学会賞論文賞
<協力機関>
暮らしの科学研究所(福島県 吉田 菊 社長)
「消臭システム」の問い合わせは、フリーダイヤル 0120(511)401まで
※仙台経済界2018年3-4月号に掲載
情報提供元: @Press