母子同時計測NIRS(ニルス)の試験風景・脳活動(イメージ)
図1 測定の流れとNIRS(ニルス)の測定部位
図2 同時に計測した母子のNIRS(ニルス)測定値の時間変化の一例
図3 撫でられた時の乳児のNIRS(ニルス)測定の変化量(32人の平均)
ユニ・チャーム株式会社(本社:東京都港区、社長:高原 豪久)は、国立大学法人長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の篠原 一之教授と共同で、世界初“触感”を通じた母子相互作用の脳活動をNIRS(ニルス)(※2)で測定する技術を確立しました。この研究成果を、2016年9月10日(土)の第38回日本生物学的精神医学会にて発表しました。
※1 触感に着目し母子の脳活動をNIRS(ニルス)にて同時検証する研究(文献データベース及びインターネットで国内外を対象に調査 2016年8月 ユニ・チャーム調べ)
※2 NIRS(ニルス)とは、近赤外線分光法(Near Infra-Red Spectroscopy)を指す。
母子同時計測NIRS(ニルス)の試験風景・脳活動(イメージ)
https://www.atpress.ne.jp/releases/110665/img_110665_1.png
≪研究のまとめ≫
◆触感を通じた母子相互作用を検証するため、母子同時に脳活動を測定する技術を確立した。
◆やわらかく改良した紙おむつを乳児に履いてもらい、その紙おむつの上から母親が撫でた時の母子の脳活動を計測した結果、脳の前頭前野が共に活性化した。
◆やわらかく改良した紙おむつを履かせて撫でた時の脳活動の活性化の程度は、乳児の肌を直接撫でた時に近い脳の活性化が見られた。母子共に“触感”が気持ちいいと感じ、母子の心身によい影響があったと考えられる。
■研究の背景
近年、母子のスキンシップ(触感)は、心の安定や人とのつながりにおいて重要であることが科学的に確認されています。「ムーニー」は、乳児が日常生活で触れている紙おむつに焦点を当て、乳児にとって快適な触感の紙おむつを提供してきました。
そこでこの度、国立大学法人長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の篠原教授と共同で、母子の脳活動を同時に測定する技術を確立し、この技術を活用し触感による母子相互の脳活動を検証しました。この結果を、2016年9月10日(土)の第38回日本生物学的精神医学会にて発表しました。
■研究の概要
対象:生後2~4ヶ月の乳児 合計32名
(平均月齢3.3±0.6か月、男13人、女19人)
母親(年齢30.1±7.2歳)
期間:2015年9月~2016年3月
【方法概要】
母親が乳児の腰から臀部にかけて体の縦方向に上下に撫でた時の前頭前野(APFC:眼窩前頭皮質(OFC)と前頭極皮質(FPC))の脳の活動性を、NIRS(ニルス)で酸素化ヘモグロビン量を測定した。
【撫で方】
触刺激呈示の圧力は約10hPa、速度は上下に撫でる際の片道を1秒かける速さ。
これを事前に母親に練習してもらい撫でてもらった。
【サンプル及び測定の流れ】
(P) 乳児が、紙おむつを履いていない状態で、母親が肌を直接撫でる。
(Q) 乳児が、やわらかく改良された紙おむつを履き、母親が紙おむつの上から撫でる。
(R) 乳児が、一般の紙おむつを履き、母親が紙おむつの上から撫でる。
この試行は30秒の安静後30秒間撫でる、これを3回繰り返すものとした。
(P)・(Q)・(R)はランダムに試行した。
図1 測定の流れとNIRS(ニルス)の測定部位
https://www.atpress.ne.jp/releases/110665/img_110665_2.png
■研究の成果
母親が乳児を抱いて、撫でている時の母子の脳活動をNIRS(ニルス)で同時に計測したところ、やわらかく改良した紙おむつを履いている上から撫でた時において、母子の脳活動の波形が同調していることが確認できた(図2)。さらに、(図3)のようにやわらかく改良した紙おむつ、及び、肌を撫でた時の乳児の脳活動は、有意傾向、及び、有意な活性が見られた。また、一般的な紙おむつに比べてやわらかく改良した紙おむつの脳活動の活性化の程度は3.5倍高まり、母親のスキンシップに近い脳活動を示した。
図2 同時に計測した母子のNIRS(ニルス)測定値の時間変化の一例
https://www.atpress.ne.jp/releases/110665/img_110665_3.png
(図2)のように、グラフ中央から右で母子が互いに触れあっている時、母子の脳活動が同調している様子が分かった。
図3 撫でられた時の乳児のNIRS(ニルス)測定の変化量(32人の平均)
https://www.atpress.ne.jp/releases/110665/img_110665_4.png
(図3)より、やわらかく改良された紙おむつは、肌を撫でられた時に近い脳活動の活性が見られ、乳児が触感の気持ちよさを感じていたことが分かった。
■研究参加メンバー
国立大学法人長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 篠原 一之
菊野 雄一郎
ユニ・チャーム株式会社 生活科学研究グループ 石川 浩樹
丹下 明子
菅 文美
【国立大学法人長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の篠原教授のコメント】
https://www.atpress.ne.jp/releases/110665/img_110665_5.png
触感に関しての研究は、視覚や聴覚などの他の感覚の研究に比較して遅れていますが、乳児の発達や人と人との絆の形成に対して大きな役割があることは経験的に知られていることと思います。近年、行動学的及び生理学的な研究から科学的な証拠が報告され始めていますが、脳科学的な側面からのアプローチはまだ十分ではありません。そこで今回我々は、触感を通じた母子相互作用時の脳活動を母子同時に測定するという試みに初めて挑戦しました。その結果、母子の脳活動が同調しているという、脳科学的な側面の一部を解明することができました。今後もさらに触感の研究を進めることによってスキンシップのメカニズムを解明し、よりよい製品の開発に繋がっていくことを期待しています。
■当社のコメント
今回の結果から、情動を司る脳の部位の活動が母子ともに高まっていたことから、触感を介した母子相互作用が確認できました。また、今回着目したやわらかい素材を使用した、赤ちゃんの丸い体にフィットする構造をもつ紙おむつは、母子がスキンシップしているような“気持ちよさ”を共有することができることが示唆されました。
当社では、排泄処理に留まることなく母親と乳児によりよい育児環境を提供するため、さらなる素材革新や商品開発を推進していきたいと考えます。
≪ご案内≫
本研究は、2016年9月16日(金)にニュースリリース配信予定の、新発売『Natural moony(ナチュラル ムーニー)』の技術に応用されております。
http://www.unicharm.co.jp/company/news/2016/index.html
■会社概要
社名 :ユニ・チャーム株式会社
設立 :1961年2月10日
本店 :愛媛県四国中央市金生町下分182番地
本社 :東京都港区三田3-5-27 住友不動産三田ツインビル西館
社員数 :1,297名[グループ合計13,901名](2014年12月)
事業内容:ベビーケア関連製品、フェミニンケア関連製品、
ヘルスケア関連製品、化粧パフ、ハウスホールド製品、
ペットケア関連製品、産業資材、食品包材等の販売
≪消費者の方のお問い合わせ先≫
ユニ・チャーム株式会社 お客様相談センター
TEL:0120-192-862
ユニ・チャーム株式会社 ホームページアドレス
http://www.unicharm.co.jp/ 情報提供元: @Press