受賞者の皆さんを囲んで


審査員長・田丸雅智氏


秋山真太郎氏(劇団EXILE)


又吉直樹氏

株式会社キノブックス(本社:東京都新宿区、取締役会長:木下直哉、代表取締役社長:古川 絵里子)主催、木下グループ後援の文学賞、第1回「ショートショート大賞」の贈呈式を6月16日(木)に開催いたしました。



【大賞】 『瓶の博物館』   堀真潮(ほり・ましお)

【優秀賞】『雨女』      高山幸大(たかやま・こうだい)

【優秀賞】『靴に連れられて』 梨子田歩未(なしだ・ふみ)

【優秀賞】『紙魚(しみ)の沼』 行方行(なめかた・ぎょう)

※応募総数7,817篇

※高山幸大の「高」は正式には「はしご高」です。



第1回「ショートショート大賞」: http://shortshortawards.com/results-2016/



〈式次第〉

一、開式

一、主催者挨拶

一、審査員長挨拶

一、記念品・目録贈呈

一、受賞者挨拶

一、大賞作朗読(劇団EXILE・秋山真太郎氏)

一、特別ゲスト挨拶(又吉直樹氏)

一、閉式





主催者挨拶に続き、審査員長の田丸雅智氏からご挨拶をいただきました。



【審査員長・田丸雅智氏 挨拶(抜粋)】

「ショートショート大賞を設立するにあたり、非常に強い危機感がその根底にありました。

2年前に『夢巻』という僕の本が出ましたが、それまでは、ショートショートでは本を出せない=売れないと言われていました。僕は星新一さんだけでなく、江坂遊さん、井上雅彦さん、太田忠司さん、北野勇作さん、高井信さんたちの作品を読ませていただき、ショートショートのおもしろさ、すばらしさを知りました。それからずっと、ショートショート集を出して、ショートショートをみんなに知ってほしいという思いがあり、こうして作家になりました。本を出して、なおのこと強く感じるようになりましたが、自分一人だけががんばって、広まっても意味がないと思うようになりました。」



「ショートショートは星新一さんを筆頭として何十年か前にものすごく盛り上がりましたが、今の小学生で知っている人はほとんどいません。僕が全国各地で開催している40歳以下を対象にしたショートショート講座では、星新一を知らないどころか、ショートショートという言葉も知らない人が多いのが現状です。

ショートショートの可能性を非常に感じている中、世間一般ではショートショートがいかに知られていないかを痛感し、仮に僕一人ががんばったとしても、もし倒れてしまったらジャンルの終わりだと危機感を覚えるようになりました。

ライバルを増やしてどうすると、からかい半分に、一方で半分は真剣に心配してくれる人もいましたが、そんなちっちゃいこと言ってちゃだめだと。

仲間がいない業界は、業界として成り立っていません。ライバルがいない業界もおかしい。

片手で数えられるくらい、両手で数えられるくらいの業界は不健全です。みんなでショートショートを盛り上げていきたい。」



「ショートショートは無限の可能性を秘めている、今回はそれを感じさせる作品の数々に出会えて本当に嬉しかったです。

一話たった5分で読めます。それがショートショートのよさです。(贈呈式会場で配布された)受賞作品集は、帰りの電車の中でも、寝る前に1篇でもよいので、ぜひ読んでみてください。1日1話でも4日あれば読めてしまいます。

ぜひみなさんに読んでいただいて、ショートショートの良さを感じていただきたいと思っています。」



受賞者の方へ記念品・目録贈呈、受賞者挨拶のあと、同大賞応援団である劇団EXILE・秋山真太郎氏による大賞作「瓶の博物館」の朗読が行われました。



また、特別ゲストとして芥川賞作家・又吉直樹氏にご登壇いただき、ご挨拶をいただきました。





【又吉直樹氏 挨拶(全文)】

「受賞されたみなさま、おめでとうございます。又吉です。

ショートショートはもともと好きだったんですけど、田丸さんの作品を読ませていただきまして、現代のショートショートもすごくおもしろいんやなと、そこから田丸さんに紹介していただいたものを読んだりして、ショートショートにまた関心や興味が湧いてきている中で、ショートショート大賞というのが開催されたことは、僕はすごく意義のあることやなって感じています。



7817作品も応募があったというのは、本当にすごいことだと思います。ショートショートは短いんですけど、物語を頭から最後まで書くのってすごく労力のいることで、書きはじめるのはわりと誰でもできると思うんですが、書ききるというのがなかなか難しいことだと思いますし。



受賞された方の作品を読ませていただいて、お笑いとまた全然違う発想ってあるんやなって刺激にもなります。

もうちょっと明るいトーンで話せたらいいんですけど(笑)、本当にすごくいい賞だなと思ってます。



僕が「本が好き」と言ってるので、よく本好きな人に「お勧めな本を」と聞かれるんですが、それでも正直その人のことを知らんかったら、「別にあなたのこと知らんから勧められる本なんてない」というのが僕の正直な意見なんです。それでも、よくよく話を聞いて、「じゃあ、こういう本ならお好きなんじゃないですか」と紹介することもできるんですけど、「本嫌いなんですけど、お勧めの本ありますか」という人も結構いて、本嫌いな人に勧められる本ってないんですよね、本当は。「寿司嫌いなんですけど、何食べたらいいですか」みたいなね。そりゃないですって話なんですけど。



そういうときに、本嫌いな人に本の印象を変えられるような何かってないかな、って考えたら、もしかしたらショートショートを主戦場として書かれている作家の皆様からしたら、それは別に望んでないことかもしれないんですけど、僕はショートショートを勧めることが多いですね。

というのは、決して読みやすいということじゃなくて、初めて本に触れる人が耐えられる時間というか、本とまだ信頼関係を結べていない人が本に使ってくれる時間の中で、どれだけ満足度を与えられるかというのが、結構重要なんじゃないかなと思ってまして。

もちろん長編小説でも最初の2ページの中でとか、最初の10分、20分の中で、読者に本っておもしろいんやって思わせることができたらいいんですけど。



物語の結末だったり、展開だったり、発想だったり、ショートショートは、そういう力がものすごくあると思っていて、僕はよくショートショートを紹介しているんですが、たとえばお笑い好きな人にショートショートを勧めて、「ああ、本というのはおもしろいんだな」って思ってくれた人を何人か知っています。

実際お笑いとショートショートって相性がすごくいいなと思うのは、僕の先輩でも好きな人がかなりいるんですよね。

そういう意味でも、僕の好きなジャンル、お笑いにもいい影響を与え続けてくれているのかな、と思っているので、ショートショートが盛り上がっていってくれることは、僕にとっては嬉しいですね。



ちょっとこの挨拶の締め方がよくわからないまま、2分くらい前からどうしようかなと思ってるんですけど(笑)

思っていることは、すべて伝えきってしまったんですけど、僕に言われても嬉しくないと思うんですけど、本当になんかね、(受賞者の)みなさん違うじゃないですか。当たり前なんですけど。それが、僕は「うわぁ、楽しいなあ」と思いながら読ませてもらったんですよね。

これからショートショートファンとして、書く人によって全然違うという、みなさんからしたら当たり前なのかもしれないですけど、いろんな人に、世の中でまだショートショートにあまり触れたことのない人に、伝えていけたらいいなと思っています。



今日は本当におめでとうございました。」





受賞作品集は、全国の協力書店にて無料配布中です。設置書店につきましては公式サイト上でご確認ください。



また、今秋には第2回ショートショート大賞の募集を開始する予定です。詳細は公式サイトにて発表いたします。



■公式サイト: http://shortshortawards.com/





【ショートショート大賞とは】

短い中に目を見張るようなアイデアや、あっと驚く結末があり、すぐに読めてしまうにもかかわらず、読後に長く余韻が残る。それが、ショートショートです。

そして、時間のない現代において、小説という世界への入口となり、その先に広がる小説界全体をも活性化させる可能性を秘めている。それも、ショートショートだと考えます。

この賞は「ショートショート作家」の発掘・育成を目的とした文学賞です。





【会社概要】

会社名 : 株式会社キノブックス

代表者 : 取締役会長 木下直哉、代表取締役社長 古川絵里子

所在地 : 〒163-1309

      東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー9階

設立  : 2013年10月4日

事業内容: 書籍の出版、販売

URL   : http://kinobooks.jp/
情報提供元: @Press