国連のグテレス事務総長は9日の記者会見で、イスラエル政府がイスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザの「完全包囲」を表明したことに「深く憂慮している」と述べた。同地で暮らす「なすすべのない」民間人に対する緊急人道支援の必要性を強調し、国連の立ち入りを認めるよう全ての当事者に求めた。

 グテレス氏は、イスラエル軍の報復攻撃により、ガザでは女性や子供を含む500人以上のパレスチナ人が殺され、3000人以上が負傷したとの報告を受けたと説明。住宅、モスク(イスラム教礼拝所)、学校、医療施設などもミサイル攻撃を受け、ガザ地区全体で13万7000人が避難していると明らかにし、今回の攻撃前から「極めて悲惨だった」ガザの人道状況が「指数関数的に悪化する」と強い懸念を示した。

 一方、グテレス氏はハマスによるイスラエルへの大規模攻撃を「テロ行為」と強く非難。イスラエル側では死者800人以上、負傷者2500人以上、民間人と軍人あわせて100人以上が拉致されたとし、ハマスに攻撃の即時停止と全ての人質の解放を求めた。【ニューヨーク八田浩輔】

情報提供元: 毎日新聞
記事名:「 国連事務総長、ガザ“完全包囲”を「深く憂慮」 立ち入り求める