「内容に瑕疵はない」自民埼玉県議団長 虐待禁止条例改正案撤回
自民党埼玉県議団は10日、記者会見で県虐待禁止条例改正案撤回の理由を説明した。田村琢実県議団長との主な一問一答は次の通り。
――取り下げた理由は。
◆県民、国民の皆様から不安と心配の声が多数寄せられたので、私の提案で、団員の皆様にご理解を賜った。
――議論の進め方の反省点は。
◆議案の内容等には私は瑕疵(かし)がなかったと感じているが、説明が不十分で、猛省している。
――不十分だった点は。
◆改正案は、2017年に私どもが提案した虐待禁止条例に「放置」を特出しした。条例全体の構成を説明し切れず、改正部分のみが突っ走ってしまったように感じている。
――改正案を再び提出する予定は。
◆今はゼロベースで何も考えてません。
――団会議で出た意見は。
◆団内では説明を尽くせば理解が広がるのではないかという声もあったが、私としては条例の構成を今説明しても、ご理解を得られる状況ではないと判断した。
――放置が虐待という認識が変わったか。
◆安全配慮義務が果たされていない時が虐待に当たる。きちんと安全配慮義務を果たす行動をとってほしいという思いでこの条例の制定を目指してきた。改正部分だけ質問されたので、マルかバツかで答えてしまった。
――小学3年生以下の児童だけでの登下校は虐待にあたるか。
◆登下校に関し、防犯ブザーを持っているとかそういった取り組みがなされている場合、安全配慮義務がなされていると私どもは捉えている。
――県民の声を吸い上げた認識あるか。
◆パブリックコメントを関係団体に郵送した。県民の皆様へのお声掛けがもう少し丁寧にあったら、こんな状態にはなってなかったのではないか。
――子育て家庭の現実と議員団の考えに乖離(かいり)があったのでは。
◆しっかり周りの声を聞いて、条例制定に向けて協議を続けてきた。乖離があるとは考えていない。私の説明不足によって、その乖離を産んでしまったと捉えている。
――家庭のあり方を条例で規定すること自体に反対の声も。
◆家庭のあり方に関わっているつもりはない。子供がどうやって安全に生活できるかに焦点を置いている。
――合意形成の反省点は。
◆私の説明不足が産んだもので、団内手続き、議会手続きに瑕疵があったものではない。
――県議団内の女性議員の声は反映されているか。
◆皆さんプロジェクトチームに入っているので反映させている。
――信頼回復のためにすることは。
◆まずこの条例を撤回することが信頼回復の第一歩。その後は、県民の皆様が安心して子育てできる環境作りを協議し進めたい。
――条例改正案そのものは問題ないと考えるか。
◆条例の構成自体に問題があるとは思っていない。私の説明不足。
――取り下げを決断したのはいつか。
◆団会議の時。きちんと説明して条例を可決する、修正して提案し直す、取り下げてゼロベースにする。三つを提示して、私が取り下げの方向でいかがですかと諮った。私の決断の方向性としては、取り下げが強かった。
――安全配慮義務の説明が抜け落ちたのはなぜか。
◆2017年に虐待禁止条例を制定した時、私どもが一番注意を払ったのが安全配慮義務。慎重に作って、今回条例にするときも大前提がここだというところからスタートをした。大前提が当たり前すぎて、抜け落ちてしまった。それが説明不足につながった。