袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地検は10日、有罪を立証する方針を示し、「5点の衣類」が袴田さんのものなのかが再び争点となる見通しになった。

 「法と証拠に基づき慎重に検討し、有罪立証できると判断した」。静岡地検の奥田洋平次席検事は同日午後、立証方針について報道陣にそう繰り返した。

 再審請求審の東京高裁決定(3月)では、血痕の色調の変化に関する検察側の独自実験の信用性が否定された。検察側は最高裁への特別抗告を断念していたが、奥田次席は、特別抗告には憲法違反などの理由が必要になることから「(特別抗告を)しなかったからといって、高裁の決定を受け入れたことにはならない」と語った。

 その上で「不当な『蒸し返し』にはあたらない。制度上、(再審公判での主張は)確定審や再審請求審の判断には拘束されない」とも述べた。

 懸念される再審公判の長期化については「高齢で、(事件発生から)時間が経過していることを踏まえ、迅速な公判に全面的に協力する」とした。【最上和喜】

情報提供元: 毎日新聞
記事名:「 袴田事件、有罪立証の方針 検察側「蒸し返しにあたらない」