長野県高山村の山田温泉「藤井荘」で31日始まった渡辺明名人(39)と藤井聡太王将(20)の第81期名人戦七番勝負第5局(毎日新聞社、朝日新聞社主催)は、先手番の渡辺名人が角が向かい合った状態の9手目に▲8八銀と上がった。第3局と同じ局面になり、藤井王将が△7七角成と角交換して角換わり戦になるか注目されたが、藤井王将は2分の考慮時間で第3局同様、△4四歩と角道を止めて、角換わり戦には進まなかった。

 その後も第3局と同一の手順が続いたが、17手目に渡辺名人が右銀を3八に上がり、4八に上がった第3局とは手を変えた。この手を見て藤井王将の手が止まった。

 解説の戸辺誠七段は「互いに駆け引きがあった。藤井王将は、先手の陣形が▲2五歩を保留した形だったので角換わりを選びにくかったのだろう。渡辺名人は3八に銀を上げたが、将来、角を5九に引き、右辺に転換する狙いもあるのでは」と話した。【新土居仁昌】

情報提供元: 毎日新聞
記事名:「 渡辺明名人が出だしに工夫、藤井聡太王将の手止まる 名人戦第5局