米国防総省は3日、ロシアの侵攻を受けるウクライナに高機動ロケット砲システム「ハイマース」で使用できる長射程のロケット弾などを含む約21億7500万ドル(約2850億円)の軍事支援を発表した。ロイター通信によると、ロケット弾は「地上発射型小直径弾(GLSDB)」で、初供与となる。従来提供されてきた砲弾よりも射程が2倍長く、ロシア軍の後方に下がった補給線や指揮拠点の攻撃に効果を発揮するとみられている。

 バイデン政権は、提供する兵器がロシア国内への攻撃用に用いられないように配慮して軍事支援を実施している。ハイマースの最大射程は300キロだが、これまでは射程70~80キロの砲弾に制限して提供してきた。ロイター通信によるとGLSDBの射程は約150キロ。ウクライナ東部のロシア軍の全補給線とロシアが2014年に一方的に併合した南部クリミア半島の一部を射程に収めることになるという。

 今回の軍事支援は他に▽追加の155ミリ砲弾▽耐地雷伏撃防護車(MRAP)181台▽対戦車ミサイル「ジャベリン」250発――など。ウクライナ側は射程約300キロの地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」などの提供を繰り返し要求しているが、今回の軍事支援には含まれていない。

 米国によるウクライナへの軍事支援は昨年2月24日の侵攻開始以降、293億ドル以上にのぼる。【ワシントン鈴木一生】

情報提供元: 毎日新聞
記事名:「 米、ウクライナに長射程のロケット弾供与 「ハイマース」射程2倍に