おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の原因となるムンプスウイルス(MuV)の増殖に必要なたんぱく質を発見したと、東京大の加藤大志准教授らの研究チームが8日付の米科学誌電子版に発表した。  おたふくかぜは子どもがかかりやすい感染症の一つだが、まれに髄膜炎や難聴などの深刻な合併症が出ることもあり、成果は新たな治療法の開発などにつながると期待される。  研究チームは、細胞に侵入したMuVが増殖する際に働く二つの「膜たんぱく質」に着目。これらの膜たんぱく質の近くで見つかった700種類近い細胞内たんぱく質の中から、MuVの増殖と関連がありそうなものをしぼり込んだ。  その結果、USE1という細胞内の物質輸送に関わるたんぱく質が浮上。USE1の働きを抑えると、MuVの膜たんぱく質の一つが十分に作られず、感染後の増殖が抑えられることが分かった。  加藤准教授は「USE1と膜たんぱく質の結合をブロックするなどの方法が考えられる。結合の仕方をさらに詳しく調べると、治療薬などへの手掛かりにつながるのではないか」と話している。 (了)【時事通信社】
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 ウイルス増殖に必要な因子=おたふくかぜで発見―東大