【パリ時事】1950年代末にフランスで始まった映画運動「ヌーベルバーグ(新しい波)」を主導した映画界の巨匠ジャン・リュック・ゴダール監督が死去した。91歳だった。仏メディアが13日伝えた。死因などは不明。 30年、パリで生まれた。パリ大学中退後、映画誌の創刊に参加し、批評家として活動。ヌーベルバーグの記念碑的作品となった59年の「勝手にしやがれ」で長編映画デビューし、「気狂いピエロ」(65年)や「中国女」(67年)などの代表作を相次いで発表して高い評価を得た。「カルメンという名の女」(83年)はベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を獲得した。 即興的な演出や関連性が薄いシーンをつなぎ合わせる大胆な編集で、伝統にとらわれない自由さを映画界にもたらした。商業主義に批判的な立場を取り、反体制運動「5月革命」が起きた68年には、故フランソワ・トリュフォー監督ら数人の映画監督と共にカンヌ国際映画祭の会場に乗り込み、上映を妨害するなど物議を醸した。 2014年には自身初の3D映画「さらば、愛の言葉よ」を制作し、カンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞。晩年まで意欲的に映画の可能性を追求し続け、18年の「イメージの本」が遺作となった。 私生活では、61年に女優の故アンナ・カリーナさんと結婚したが、4年後に離婚。再婚した女優の故アンヌ・ビアゼムスキーさんとの生活も長く続かなかった。 【時事通信社】 〔写真説明〕ジャン・リュック・ゴダール監督=2013年11月、スイス・ローザンヌ(EPA時事)