静岡県熱海市で昨年7月に発生した土石流災害で、崩落起点に造成された盛り土をめぐる行政の対応に過失があったなどとして、犠牲者の遺族らが5日午後、県と市に約64億円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁沼津支部に起こした。  代理人弁護士によると、市は2007年、盛り土造成について土地の前所有者から申請があった際、災害防止策の項目が不記載の届出書をそのまま受理した。また、造成された盛り土の危険性を十分認識していながら、安全対策を強制する「措置命令」を出さなかったなどと主張している。  県に対しては、熱海市に是正を求めなかったなどと訴えている。  この遺族らは、盛り土があった土地の前・現所有者らにも損害賠償を求める訴訟を起こし、同支部で審理中。   このほか、別の遺族らが8月、熱海市長に対する業務上過失致死容疑での告訴状を県警に提出した。  土石流災害では、災害関連死を含む27人が死亡、1人が行方不明となっている。(了)【時事通信社】
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 熱海土石流、県と市を提訴=犠牲者遺族ら「対応に過失」―静岡地裁支部