国連食糧農業機関(FAO)ウクライナ事務所のピエール・ヴォティエール所長は7日、ロシアの侵攻で黒海からウクライナ産穀物の海上輸送ができない問題をめぐり、「代替ルートを模索しているが、陸上輸送には限界がある」と語った。輸出が正常化するまでには時間がかかり、世界的な食料危機が深刻化する恐れがあると警告した。  ヴォティエール氏はオンライン記者会見で、ロシア軍が黒海に面したウクライナの主要港湾部を包囲していると説明。月600万トンの穀物輸出ができなくなったと明らかにした。鉄道やトラックによる輸送に切り替え、輸出量は徐々に回復しているものの、短期間で増やすことは困難との見方を示した。  ウクライナは世界有数の穀物生産国。アフリカなどで多くの国がウクライナ産小麦に依存している。このためヴォティエール氏は、日本を含む国際的な支援の重要性を強調。南部オデッサ州イズマイル港の輸出能力増強に資金を振り向け、対応を急ぐ必要があると訴えた。 【時事通信社】 〔写真説明〕爆撃で破壊されたとされるウクライナ港湾部の貯蔵施設=6月12日、南部ミコライウ(AFP時事)
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 食料危機の深刻化警戒=ウクライナ輸出代替に限界―国連