建設現場でのアスベスト(石綿)による健康被害をめぐり、神奈川県の元解体作業員や遺族ら5人が建材メーカー2社に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が3日、最高裁第2小法廷であった。菅野博之裁判長は、賠償を認めた二審東京高裁判決を破棄し、訴えを退けた。原告の1人については建設作業に従事した時期があり、損害額などを審理するため同高裁に差し戻した。  原告側は、2社が石綿を含む建材を製造、販売する際、粉じんに暴露すると石綿関連疾患を発症する危険があることを表示する義務があったと主張していた。  判決は、建物の解体までには長期間を経るのが通常で、警告文書を添付するなどしても解体作業員に示される可能性が高いとは言えないと指摘。危険回避の実効性が高い表示方法はなかったなどとして、表示義務を認めなかった。  訴訟では4月、国と原告62人の間で、国が総額約5億2100万円を支払うなどとする和解が成立した。 (了)【時事通信社】
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 建設石綿、元作業員ら逆転敗訴=メーカーの表示義務認めず―最高裁